【1日目】 9月18日(土)

■酷暑の置き土産か体調を崩した人も多く、また仕事の都合など、出席者の少ない9月の講座は、渋滞のため到着が遅れている高速バス組を待って「土のデザイン」の実習と講義をすることになり、畑の手入れからスタート。臨機応変な対応に、関心&感謝。

 

 

■13:30〜畑の手入れ>

種蒔きは秋まきの「葉もの野菜」。ホウレンソウ、春菊、青梗菜、壬生菜…。大根も蒔けます。トウモロコシは種になっているものもあり、トマトはそろそろ終了といったところ。タカキビが見事に育って、畑に変化と彩りを添えていました。ズッキーニの成長には目を見張るものがありました。夕食のメニューがほうとうだということを聞き、カボチャ・ニンジンを収穫。その後サツマイモも試し堀りをしてみるとなかなかの成長ぶりで、ほうとう用に一畝掘りました。

[豆知識@]サツマイモは暖かい地方出身。冷蔵庫に入れるとすぐに腐ります。常温で保存しましょう。寒い地域で保存する際は、温度に注意!また、保存する際は一本の茎から別れている数個のサツマイモをバラバラにするのではなく、兄弟一緒につなげたまま保存したほうが保ちがいいそうです。

[豆知識A]カボチャもサツマイモも、収穫したてより少しおいた方がおいしくなります。

 

 

■15:25〜<土のデザイン・実習:土の観察>講師 四井真治さん

とっても暖かい“いい声”の四井さんは、土の仕組みを理解することが畑作りのヒントになると最初におっしゃいました。

○土の構造=森のような構造   ○畑の理解→地球の理解

土は層構造であり、これは森に通じる。つまり健康な土は、生物が住みやすい「多様な」「安定した」環境を作り出しているということ。

(例)空隙がある=空気が通りやすい=生き物がいる→生き物が土をたがやす

・「植物は、成長の過程で自分で土を耕しています。植物の周りに生きる生き物も同様に、土を耕しています。」

・「畑のつくりを理解することは、地球を理解することに繋がります。」

・植物によって、根の分布が違う=共生できる

・植物は、雨などでどんどん下へ下へと送られてしまう栄養分を、表層に集めるという働きをしている。結果、表層に栄養分がつもり、遷移に繋がる。

○土の観察(実体顕微鏡を使って)

シャロムの畑の土は「黒ぼく土」←草原や林の土と同じ 火山灰由来の土で、もっと深く掘れば赤い土が出てくる その周りに腐植が固まりくっついている

動物のほうが栄養を体内に集めているが、植物は長く、あるいは短く、深く、あるいは浅く、栄養を集めて溜めていく。

○根粒菌の観察(クローバーの根)

空気中の窒素を固定する、重要な役割を担っている「根粒菌」

窒素=タンパク質の重要な原料となる=植物の重要な原料である

[豆知識B]うんちは肥料としてメジャーだが、じつはよいのは「おしっこ」。寄生虫の問題もなく、エアレーションをして(=ポンプで空気を送り込む)抜気をすると臭いも出ない。

[豆知識C]臭いが出るということは、未熟だということ。未熟=エネルギーが多い=熱が発生→生き物が集まってくる→害虫も集まる そこで、畑に生ゴミをそのまま入れるのではなく(生ゴミの約90%が水分)、堆肥にしてから入れるとよい。堆肥は重さも1/20になり運搬も楽である。

○土の観察U 臭いを嗅ぐ

土の表面は粒々になっていた。これは「ミミズの糞」。いい土である。ダンゴムシは分解能力が高く、これもいい土を作る。シャーレの中に落ち葉とダンゴムシを入れて観察するとよい。土の中に白っぽいトビムシも見られた。

土の臭いを嗅いだ。・土の臭い ・湿った土の臭い ・根っこの土の臭い ・うちの庭の臭い いろいろなコトバで表現されたが、これは「放線菌」の出す臭いだった。ちなみに、管理されている多くの肥料が投入されてるであろう畑の土は、臭いが全くしなかった。つまり生き物がいないのである。

放線菌は糸状菌を消化することができるので、虫の死骸で増える糸状菌を食べることができる。糸状菌は菌に対する抵抗力を持つ虫を食べることができる。

仕組みを持たない土は、痩せていく。岩石は土になり、やがて風化していく。植物が蓄えるはずの栄養が流れ出す一方だ。仕組みがないと人の力、つまり“土壌操作”が必要になる。畑は本来、森の仕組みを応用したものだったはずだが…。

○コンパニオン・プランツについて

参加者からの質問に答えるかたちで、「コンパニオンプランツ」についても言及。ニンジンにウジがわいて困っているという参加者の相談に「ウジが嫌う植物があるので、それを植えるといい。その植物が何だったか、後ほど調べます。」とのこと。

・トマト⇔バジル 《効能》虫が寄ってこない トマトの味がよくなる

・ナス⇔ニラ(アサツキ・ニンニクなど) 《効能》硫化アリルが青ぐされ病(青枯れ病)を防いでくれるので、連作をしても問題がなくなる

上記のようなことは知られているが、他にも人間が知らないコンパニオンプランツ的な仕組みがあるかもしれず、自然農はその仕組みに則っていると言える。

連作障害の原因には、@病気(土の中の菌による) A栄養分の偏り Bアレロパシー(嫌地現象)が考えられ、それらをすべてクリアしているのが、自然農である。

 

―――ここで、畑での実習&講義は終了。このあと室内で引き続き講義を受けることに。四井さんは参加者の気づきや疑問を取り上げ話してくださるので、参加者は「具体的に」イメージをし、講義を聞くことができた。

〔参加者より質問〕早急に自然農に適する畑にしたい。現状は生き物が何もいない。

〔四井さんより〕本来は7年はかかる。足りないものが多いので、必要なだけ控えめに入れる。土壌分析をするとよい。

 

■講義

○藁マルチの効果  <5cm以上の厚さに!>

   日光・雨が直接当たらない=急激な温度変化を防ぐことが出来る

   いろんな生き物が棲める

   分解に窒素が使われるので、表土が窒素不足で草が生えにくい

○土の構造

   単粒構造(パウダー状)と団粒構造(腐植でまとまった理想的な状態)

   団粒構造が理想的な理由=水はけがよくて水保ちがよい=多様な環境

○肥料とは

   堆肥(有機物が完熟した状態)

   一般肥料 { 化学肥料 鶏糞 豚糞 }

   ぼかし  { 米ぬか 油かす おから 燻炭 魚カス 生ゴミ }

○土とは

   (水・30%)+(空気・30%)+(母材他固形物・40%)

   森林の土は50%以上が空気ということもある。

○土の収支 畑から「持ち出す」だけにならないように

  ◎本来、自然の仕組みを応用したのが「畑」だった…。

   腐植質を補うために、草生栽培にするか堆肥を入れる必要がある。

   森林と草原では草原のほうが植物の寿命が短いので、腐植質はたくさん作られる。

 

「自然の仕組みの理解を、畑や生活に取り入れる。すると『人として生まれてよかった』という実感がもてるのでは。本来の『豊かさ』の気づきに繋がります。」

 

 

○プランターでの栽培

・10Lの土に 

{ 完熟堆肥…300〜400kg 鶏糞…50g (油かす…45g) グアノ(海鳥やコウモリの糞)…18g 草木灰…10g カキ殻…12g 水酸化マグネシウム…7.5g 刈草(青草)や切りワラ…適量 }→ 混ぜて、黒いビニール袋に入れ口を閉じ、日光の下で2週間ほどおいて熟成させる。使わなければその後冷暗所で保管。

・木のプランターがお薦め(腐りにくい材を使用)

・底には穴(2cm位の穴を3つほど)をあける

・一番下に根腐れ防止剤(=粘土の固まり)をパラパラと敷く。(発泡スチロールの砕いたものを再利用しても可)土づくりに自信があれば不要。

・冬は水分がとばないようにマルチをして休める。水やりは続ける。

・病気が出たら、天日干しなどが必要になる。

・シーズンが終わったら、完熟堆肥を一割追加する。(=安定をはかる。腐植の維持管理のため。)

○生ゴミ堆肥の見分け方

   小松菜を蒔いて、根の先が茶色になったら×。発芽しない場合も×。

           毛根・細根が生えたら○。

   フトミミズが逃げたら×。

(参考)米のとぎ汁は濃いと腐敗するので、薄めて10日に1回くらいの割合で。

[うたさんんの豆知識]米のとぎ汁は味噌汁、煮物、キムチ鍋に最適!おいしいから捨てないでいただきましょう。(^-^)

 

■夕食 『手打ち(手びねり?)ほうとう』

参加者みんながキッチンに入れていただいた。本来はうどんのように生地を延ばして切るのが一般的だが、ほうとうにもいろいろある。今回はPC方式?!で、小麦粉・塩・水でこねた生地を、手のひらに乗るくらいのサイズに切り分けたあと、各自好きなように延ばす。ひも状が一番おいしいが、いろいろなかたちも楽しい。餃子型あり、プレッツェル型あり、三つ編みにカタツムリと、思い思いに楽しんだ。畑で収穫したカボチャやサツマイモがおいしかった。

懇親会を兼ねての夕食は、詩さんの手づくりビールも振る舞われた。また地元のリンゴジュースが大変おいしく、ボトルごとに味がちがうことに感激。盛り上がった話題は『干支』詳しい説明は省きましょう (^^)

 

 

■ラダック上映会〜歓談とビデオ鑑賞

 NPO「開発と未来工房」から届きたてのDVD『地域から始まる未来 グローバル経済を越えて(25分)』を上映。前回の『懐かしい未来』を踏まえての今回は、短く分かりやすくよくまとまっていると好評。本編巻末の出資者の名前の中に「安曇野パーマカルチャー塾2004」の文字が流れると、笑顔が。みんなで制作主旨に賛同し、出資させていただきました。

 その後、NHK『地球白書』のダイジェスト版を観ながら、夜は更けていきました。

 

記録:橋元 友美

パーマカルチャー講習 9月19日(日) 記録係 園部佳代

 

1.畑の実習

(にんにくの植え方)

     スーパーで売っているものは芽止めがしてあるので、種の購入はたね屋さんがおすすめ。ただし、1固まりが300円と結構いいお値段。寒冷地用、温暖地用があるので、気候に合っているものを選ぶ。

     固まりをばらして使い、大き目のものを使う。薄皮はむかなくてよい。

     スコップで穴を掘り、5センチ程度土が上にかぶる程度。にんにくは強いので、草のマルチはどっさりと載せておく。15センチ間隔に植える。

     芽がでてあるていど成長し、冬になったら一旦成長がストップする。春になったら復活して成長を続ける。冬の間、葉っぱが茶色くなっても大丈夫。

 ヒトコト:さすが、西洋では魔よけに使われていただけに、強い!私でも作れそうだ。

 

(にんじんの間引き方)

     根っこをいためないためにも、雨が降った後、土が湿っているときに、間引きをする。いいものを残し、葉と葉がかるく触れ合う程度。最終的には10センチ間隔ぐらい。

     手で抜くか、根っこの部分をはさみで切る。手で抜くときはお隣の残すにんじんの根をいためないように注意すること。

     もちろん間引きしたにんじんは食べましょう。

ヒトコト:間引く作業はちょっとかわいそうな気がしないではないけど、しっかり食べてあげればいいのですね。

 

(なすの収穫時期)

     ヘタにそって、まるで「襟」のようにシロっぽいところがある。それは成長して大きくなったばかりのところで、太陽の光を得る前でまだ紫色になっていない部分。その白い襟が大きければ、まだグングン成長していることであり、小さければ、成長がストップになりかけていること。白襟が小さくなってきたころがなすの収穫時期。

     はさみを入れるところは、実のところではなく、茎から分かれているところ。

ヒトコト:収穫時期は見逃したくないですね。せっかく作った野菜くんたち。一番いいときに食べたいです。

 

(トマトの脇目処理)

     放っておくてトマトは四方八方にぐんぐん伸びていくので、脇目を積む必要がある。脇目をとらないと、実の成長が不十分になりミニトマトになってしまう。

     脇目とは主枝と、既に成長した脇枝の間に新たに生えてきた新しい枝。取れやすいので手で取ってあげる。トマトは生命力が強いので、その脇目を土に挿してあげると、そこからまた大きくなる。

     トマトは実も大きいので、主枝に支え棒が必要。支え棒と主枝の結びつけ方は、ひもを単純にくくるのではなく、8の字型に支え棒と主枝の間でひもを一旦クロスさせて、くくってあげる。あまりきつくやらないように、遊びを持って。

ヒトコト:トマトがこんなに強いとは知らなかった。来年はぜひ植えるぞ。

 

・とうもろこしの収穫時期・・・ひげが茶色く枯れるころ

     ピーマン・・・枝の節のところで切って収穫。タネをとるには赤くなるまで待つ

     バジル・・・先端部分(新しく出てきた部分)を摘んで食べる。収穫しつづけたい間は花を咲かせないようにつぼみは摘む(花を咲かせると一生が終わった気分になるらしい)

     小豆・・・一度にではなく、順次実ができて、順次熟してくる。房が茶色くなったら摘む。茶色の房は雨にあたるとかびるので気をつける。ふさのまま干して、感想させて中の小豆のダイヤモンドを取り出す。

     かぼちゃ・・・収穫後、すぐ食べるよりも、1ヶ月ほど追熟させるほうがよりおいしい

ヒトコト:とうもろこしの収穫を心待ちにしていたのに、なにかの幼虫の住処になっていた!

 

≪本日の収穫≫

さつまいも、とまと、かぼちゃ、いんげん、にんじん、ねぎ、ズッキーニ、きゅうり、あずき、バジル、アスパラガス、

 

2.観察実習

二人一組(どんな様子かは写真をごらんくださいませ)

・インディアンずもう

     ひじフェンシング

     人間ブリッジ

     ?(人間フリーフォール?)

     ブラインドウォーク(一人が目隠しをして、もう一人が森の中を誘導し、言葉を使わないで、一緒に森の中を散策する)

言葉と視覚に頼ったコミュニケーションがなんと大部分なことか。言葉なしのコミュニケーション。視覚情報から来る思い込みからの解放。研ぎ澄まされる他の感覚(特に足の裏)、見えない世界を見る。パーマカルチャーは観察が大事!

 

3.パーマカルチャーの原則

梅さん、6月オーストラリア・クリスタルウォーターズ訪問の時の写真を紹介

     現在、87世帯が暮らしており、人口は200人ちょっと。1世帯およそ1エーカーの土地を持っている。1981年にスタート。

     ため池利用、フェンスの活用、森を作り森を目指していく。共有地があり、トレッキングや放牧ができる。朝市でコミュニティの作物を売る。日差しが入る屋根の角度。1年は家を作らず観察に費やす。太陽電池。コンポストトイレ(落ち葉ではなく、新聞紙)。廃材のバスタイル壁、、、などなど。クリスタルウォーターにはパーマカルチャーの実践例がたくさん

     原則論は、レジュメを参照。

ヒトコト:実習をずっとやってきたので、原則論がすんなり頭に入ってくる!

 

4.建築実習(説明不可能なので写真をご覧あれ)

ホットチキンハウス、さらなる進化を遂げる!

 

 

 

やぎ部屋を作り、メロディ嬢も嫁入り前に、にわとりと同棲することになりました。もちろん育苗部分はちゃんとあります。2階建ての上の部分は、にわとりとやぎの体温で、人間が冬でも野外で過ごせるような構造になっています。というのは、うそでして、やぎやにわとりの飼料置き場になります。

ヒトコト:電動カッターで木を切るのは快感!家って案外かんたんに作れるのかも、、、と大勘違いしてしまうくらい、勢いよく、みんなで作ってしまいました。来月には完成してしまうのではないかというスピードでした。