L.E.T.S  L.E.T.S Local Exchange Trading Scheme=LETS

地域経済振興システム、地域交換取式制度と訳されています。LETSは地域のコミュニケーションを活性化し、お互いが助け合い、生き甲斐を持つ地域づくりを目的にした、地域経済システムです。



   以下 エコサポート 杉浦則之 さんの文章を紹介しておきます。

   オーストラリア・ブルーマウンテン地区でのLETSについて

   オーストラリアではLETSを活用している地域が約200カ所あり、
   今回私達が訪問したのはシドニーから車で約3時間のところにあ
   る、自然豊かなブルーマウンテン地区
   にあるLETS事務所。約1000名の登録メンバーがあり、ECOS
   (エコス)という単位の地域通貨を利用しています。この地域通貨
   はLETS内で自由に取り決めることができ、地域通貨を利用する
   場合は、小切手か集計表スタイルの記録用紙に利用内容と
   使用金額を記入して相手のサインをもらい、毎月の使用金額を
    事務局に報告するだけで地域通貨を利用できます。
    事務局では毎月の使用状況を集計してメンバーに公表してお
   り、地域通貨を使った会員はマイナス表示になりますが、マイナ
   スになっても利息を支払う必要はありませんし、プラスになった場
  合でも利子はつきません。このようにして、地域通貨はプラスでも
  マイナスでも自由に地域内で利用できるため、普通のお金が滅っ
  ている時でも、LETSのメンバーが提供できる知識や技術といった、
  地域の財産を安心して利用することができます。現在、ブルーマウ
  ンテンLETSに登録されているサービスの種類は60種以上あり、
  育児、介護、料理、大工、車修理、クリーニング、といった日常的な
  サービスから医者、マツサージ、引越し、運転手、メンタルケアー、
  ヒーリング、会計士など、非常に幅広くバラエティに冨んだ内容に
  なっています。LETSのメンバーになるには、事務局に申込書と25
  ドルの年会費(次年度からの年会費は20ドル十10ECOS)を支払
  うことで、誰でも会員になることができ、会員には月2回の会報が
  発行されます。会報には会員からの各種サービスの情報が記載さ
  れていますが、料金は現金と地域通貨を組み合わせた価格で表
  示されており、例えばダイニングチェアの販売広告の場合、価格が
  E40十20ドルと書かれています。これは地域通貨で40ECOS十普
  通の通貨で20ドルで販売するという意昧で、LETSのメンバーは地
  域通貨を使うことで、少ない現金支出で取引きをすることができま
  す。このように「LETSは地域で暮らす人にメリットの多いシステムで
  すが、地域の人すべてがLETSを理解して、参加しているわけでは
  ありません。LETSではお金を貯めて儲けるとか、損をするといった
  ことがないため、お金を儲けることが働く目的であったビジネスマン
  には、LETSのしくみを理解して参加することが難しいようです。最
  後に、LETS事務局の女性が、「LETSLocal Exchangeというより
  もLocal Energy Trading Systemですと説明していたことがとても印
  象に残りました。LETSは地域に住む一人ひとりが持っているエ
  ネルギーを相互利用することで、地域全体の生活エネルギーを高
  めることができる、「地域エネルギー活性化システム」ともいえま
  す。

   LETSの感想と今後の取組みについて
   今回、LETSを取材してみで、、日本ではお金は財産であり、個人
   が財産を貯めることが豊かな生活を送るための条件になってい 
   ますが、LETSでは地域の人々が持っている知識や技術が本当
   の財産であり、その財産をお互いが安心して利用し合えるシステ
   ムをつくることが、お金に頼らずに生きがいのある生活を確立す
   ることがわかりました。LETSはグループやサークルなど小さな団
   体でも実施が可能ですので、ぜひ日本でもNPOやボランティア団
   体などで取り入れてみてはいかがでしょうか。また、オーストラリ
   アではいLETS以外にも、パーマカルチャ-やサスティナブルハウ
   ス、ネイチャーケアーカレッジ、などを訪間してきましたので、詳し
   い内容についてはエコ・サポートまでお間い合わせください。な
   お、このLETSを日本に紹介するために、今年はオーストラリアか
   ら講師を招いてLETSセミナ-を開催する予定です。お楽しみに。

   

ところで、中部リサイクル運動市民の会の雑誌s(イーズ)に掲載した、L   
ETSゲームの記事の原稿をお送りします。


1.LETS(レッツ)ってなに?
LETSLocal Exchange Trading Systemの略で、日本では地域経済信託システムなどと訳されています。
海外では1500ヶ所以上の地域で利用されており、地域のコミュニティーを活性化 させ、自立した地域づくりに役立ちます。
LETSを導入した地域では、現行の貨幣と併用して地域独自で決めた地域通貨を利用し ます。地域通貨は一般の貨幣とは大きく違い、紙幣や貨幣に該当するものは発行せず に、取引記録を残すための、小切手や一覧表のようなものを使います。
LETSを利用するには、まず事務局に、地域で自分が受けたいサービスや物品の内容と 提供できるサービスや物品を登録します。メンバーは、登録された内容をもとに、お 互いが連絡して話し合い、内容を価格を決めて取引をします。取引でサービスや物品を受けた人はマイナスのカウントがつき、逆にサービスや物品を提供した人はプラス のカウントがつきます。そのため取引記録を合計すると、プラスマイナスは常にゼロ になります。そして、プラスを増やしていっても、利子はつきませんし、マイナスになっても利息ははらいません。
つまりプラスの人は、地域で役に立っている人で、マイナスの人は困っている人とい えます。
このように、LETSではメンバー同士がコミュニケーションをして取引をするため、お互いの顔が見える関係が生まれ、地域の結びつきが高まります。

2.LETSゲームの原稿
先号で紹介した、LETS(レッツ:地域経済信託システム)を、日本でも導入しようとする動きが、全国に少しづつ出てきました。しかしLETSは本や資料を読むだけでは理解することが難しく、はじめて参加するメンバーには、十分な説明が必要になります。
そこで私たちは、オーストラリアで実際にLETSを地域に導入する時や、新しく参加す るメンバーへの説明会で行われている、LETS導入ゲームをもとに、3月24日に10名のメンバーで、日本ではじめてLETSゲームを実施しました。

3.LETSゲームの流れ
   今回実施したLETSゲームは、大きく二つのパートからできており、まず午前中に
現在の資本主義経済の市場をシュミレーションしたゲームを行ない、午後からLETS市 場をシュミレーションしたゲームを行ないます。午前中のゲームでは、参加者が一人 ¥25000の資金を持って取引ゲームを行ないます。この取引きで資本主義経済の 問題点が浮き彫りにされ、資本主義システムが、なぜ貧富の差を生み出し富が偏在す るのか、また税金の問題や地域の経済が低下する理由、失業者問題から環境問題や国 際問題など、現在の地域や世界が抱えている、ほとんどの問題の原因が理解できます。
   そして、午後からはLETSでの取引をシュミレーションします。まず、参加者一人   
一人が希望するサービスや提供できるサービスを書いてもらい、そのコピーを全員に 配ります。参加者はこの資料をみて、自分の受けたいサービスを提供してくれる人を 見つけ自由に商談をします。LETSではサービスの定価は無く、お互いが話し合って料 金を決めて、サービスを受けた人にはマイナスのカウント、サービスを提供した人にはプラスのカウントがつきます。今回のゲームではLETSの取引通貨の単位をEco(エ コ)にして、1Eco≒1円としました。
こうしてLETSのルールやしくみを体験してもらい、午前中の資本主義経済との違いを 比較しながら、LETSのメリットを話し合います。1日のゲームですが、参加者は楽し みながらLETSを体験して学ぶことができます。

4.参加者の感想
・文章を読んでいても何となくピンとこなかったLETSが、ゲームをすることで体で実   感できた。お互いを活かし合い助け合う、新しい経済システムの芽が生まれると感じ ました。
     未来デザイナー 清水義晴

・現在経済システムが崩壊してゆく中、LETSは起業・NPOなど新しい時代の経済システムとして、多くの課題の80%を解決してくれるシステムだと感じています。
     金融機関   松井和博

LETSの普及が、自立型コミュニティーの再生と、人を含む地域資源循環システムの構築に役立つものと確信しました。市民が地域経済を主体的に創造することにつながると思います。
     中部リサイクル運動市民の会  中川恵子

・今までは商品=お金でしたが、LETSでは商品=相手の喜ぶ顔や感謝の声になります。LETSの仲間を増やすことで、素晴らしいコミュニティーができていくと思います。   

    
鈴鹿山麓日本村  海山 裕之

・頭で考える以上に、実際にゲームをしてみると発想が変わり、広がってゆきます。   
LETS
を使えば、今の貨幣経済システムから新しいシステムへスムースに移行することができると思います。
     エコブランチ  鶴田 紀子

・一番の感想は「こんなのあったらいいな、楽しめるな」ということです。LETSの働 きがよくわかり、こういった集まりの中から「LETSマニュアル」ができたらいいなと思います。
     中部リサイクル運動市民の会  和喜田 恵介

・今の貨幣経済が、自分の心に大きなストレスを与えていることがわかりました。   
LETS
を実践すればストレスも減り、楽しいコミュニケーションができると思います。   

    
なんでもヘルパー屋  井上高志

・「あなたが喜んで、私が嬉しい」という楽しい循環を、誰もが普通にやっていける   
のが、LETSだと実感しました。生きがいを再生させる自然の生態系に最も近いシステムだと思います。
     なんでもヘルパー屋  福西 鉱次

LETSの取引が始まった瞬間から、その場のエネルギーが急に高まり、熱気が渦巻きました。ゲームをするだけで、自分の新しい可能性を見つけることができます。
      エコ・サポート   杉浦 則之


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