安曇野パーマカルチャー塾 2007.3.2 4,25

2007年 3/24(土)  第5期 安曇野パーマカルチャー塾の報告
 
1、パーマカルチャーをはじめよう

★<簡単な自己紹介(どこから来たか、パーマカルチャーとの出会い、仕事など)>★
<名前を覚えるためのボール投げゲーム>
みんなで輪になって、ニックネームを呼びながらボールを投げながら渡していく。
ボールを落としたら最初からやり直し(黄色ボール、亀の子たわし、プラスチックトゲトゲボール)
最初は1種類のボールで、どんどん2種類、3種類と増やしていく。回す速度も速くする。
あわてると落としてしまうのだが、より確実にはやく渡していく方法を考える。
1、輪を小さくして、隣の人と近づき渡しやすくする。体を斜めにすると近づきやすい。
2、投げていく順番に、立っている位置も並び替えて渡す。



今日はじめてあったので、最初はぎこちなかったのだが、自分の気に入った名前で
何度も呼び合いながらボールを落とさないように協力しているとすこしづつ一体感が
でてきた。 最後の並び替えで、あまりに速く終わったので、自然と拍手がでた。
単純なゲームだが、体を動かしたせいか緊張感もとれてきたし、1回聞いただけでは
なかなか聞き取りにくいニックネームも何度も聞けて、ありがたかった。
「発想の転換で これだけ違う!」と実感。工夫できる柔らかな頭になりたいものです。

★<シャロムツアー>★
森は生態系のとても豊かなところです。ビルモリスンは世界を森で覆い尽くすといっています。

・コンポストトイレ 
上にふたがあるEMボカシ肥料専用容器、バケツの中に網があり、下に蛇口があって
水分の分離可能。まず、炭素が多い落ち葉を入れ、使うたびに隠れるくらいの落ち葉を
そのつど入れる。(見た目も良いし、においも出ない)
屋根は、草屋根で良い香りのするミントを植えている。

土を固めたアースオーブン

  

ロックスパイラルガーデン

ストロベールハウス



・メタンガス発生装置
台所の野菜くずにトイレのウンチや豚糞を入れて発酵。⇒メタンガスが発生(サブシステム)
生活の中に補完システムを持つ重要性。
 

 


・温室
キウイ 夏は葉がしげり、日陰を作って涼しい。冬には、葉が落ち、日光の暖かさが入る
    (パッシブ・ソーラー)
 ペアガラスは高価だが、建築の時に設計変更があって不要になったものを無料でいただく
 (普通のガラスと違って切って使えない。産業廃棄物)


 天ぷら油で走る車 料理などで使用した油一斗缶で400円とられるのだが、送迎の車の燃料として使う。
 (菜の花が育つ時にCO2を吸収)

 

・雨水を貯める桶
ぼうふらが発生するのを防ぐため、金魚が泳がせる。水の再利用

・水の浄化
外の水道の水(小鳥の蛇口)は、ロックスパイラルガーデンの池に流れる。ここでお米を育てる予定。
水を汚さないように循環を意識するようになる。
 


・森の家

自然に帰る家造り
4期生の製作。
みんなで協力し合うとこんな家も完成できる。今日はやり残した壁塗りをされていました。
基礎は版築 土と石灰を混ぜ合わせ突いて固めたもの コンクリートは自然に帰らないが版築の基礎はすぐに自然に帰る。自然素材を多用。屋根もいた壁


 


★<種まき>★
1.直播き 畑に直接まく 暖かい時期には可能
2.苗箱 苗を温室である程度大きくしてから、畑へ移植
  ここの地域では気温が低いため、温室で管理 温室の中で発酵熱を利用して暖める
  上に箱を並べて育てる

種は、在来種(昔からその土地で種を取り続けて作られている)、固定種(他から持ってきて
合ってきたものを選ぶ)を選ぶこと。
 


F1、交配種は、良いところをかけ合わせたもの。味が良かったり、虫に強かったりするが、
種は良いものがとれないことが多い。値段が高い。(種の袋に書いてあるので注意)
防虫のため、薬が塗っているものは避ける(ピンク色など)。
植えた場所がわからなくなるので表札をつける。日付、名前を書く。

人差し指で一直線に5mm〜1cmくらいの深さの筋をつけ、1cm間隔で一粒ずつ丁寧にまく。
手にたくさん取りすぎるとまきにくいので、少量ずつつまむこと。
その後、両方からつまむように軽く土をかぶせ、たっぷり水をやるときに流されないように
手で押さえる。
塗れた新聞紙をかぶせて乾燥を防ぐ。発芽後すぐにそれをとる。

踏み込み温床  油かす、米ぬか、落ち葉などを重ねていく。60度後半まで温度上昇。
1.栄養分をつくる
2.生ごみの処理
3.発酵熱で発芽促進

★<紹介ビデオ>★
・宇宙船地球号の番組(オーストラリアの事例)
土壌が良くないので、鶏を放し飼い、鶏が土を引っかき、鶏ふんで土壌改良
生き物の習性を効率よく利用
土壌養分流出を防ぐため、農園周辺にバナナ(5m以上の深さの根)で囲む
化学肥料・農薬は、土壌にダメージを与える。
ここは熱帯性なので、みかんはふつう育たないが、さつまいもを一緒に植えると
さつまいもが乾燥を防いでくれて育つ。
企業の利益優先に疑問。鮮度が落ちているものが多い。新鮮なものが少ない。
バリー・グッドマンさん 30度以上でもエアコンなしで暮らす。風が入る窓の下に、ヤシ・シダを植える。
そこを通った涼しい風が反対側の上の窓からでていく。電気は使わない。
洗濯で使った水がバスルームを通って、ごみと一緒に外に流れていく。そこにヤシ・シダがあるので
水遣りの手間が省ける。

マレニー。20年前に林業の衰退で過疎化。ジル・ジョーダンが町の復興のため、独自の融資を考えた。
クレジットユニオン。新しい持続可能なパーマカルチャーの仕事、有機野菜づくり、販売への融資を優先。
これまでの銀行と違って、利益よりも持続可能かどうかを優先。貧しい人や高齢者にも利用できる。
地域通貨(エコマネー) 労働交換(そうじ、料理)を行う。
暮らしやすい町と評判になり、活性化していった。



★<梅ちゃん談話>★
広い土地がないとパーマカルチャーができないというわけではない。
物の考え方である。 循環 多様性 調和 自然への配慮 人への配慮 余剰物の分配
たとえば、暑い夏に、窓際に蔓性植物を植えて涼しくする。余ったおかずをわける。
雨水をため、植木鉢の水遣りに使うなど地球の負担を小さくするような考え方をすればよい。
難しく考えずにとりあえずやってみよう。

★<多機能の薪ストーブと床暖房>★
薪ストーブの熱エネルギーを利用し、床や壁の中に配管を通している。
普通の薪ストーブだと、消すとすぐに冷えてくる。蓄熱体になるものをたくさん利用している。
レンガ、石、土、水。これらは、すべて質量が大きく、あたたまりにくく冷めにくい。
熱い煙を利用するのが壁。水をあたためて床暖房。
普通の業者に依頼すると温度管理が難しいと断られるが、
床暖房の原理をよく観察し、理解することで安く作ることができる。
北海道だけで販売される床暖房のユニットが約3万円で売られており、利用可能。

***
トイレの壁の星や月や虹の模様、森の家の木の枝で文字を書いた表札、
かわいい怪獣(?)のパン焼き石釜(いろんな色のビー球が埋め込んであってきれい!)
おもわず笑ってしまいそうな楽しそうな雰囲気があって、魅力的でした。
宿泊者が記念に写真にとろうと思うくらいのものをつくりたいです。

食事の時に、パンでお皿をきれいに拭いて食べると、気持ちいいですね。
レタスなどのサラダでもできますね。

宿題になったせいか循環できることはないかと、今までより広い視野で見るようになりました。
防災グッズとして購入したけど使っていなかったソーラー懐中電灯を帰宅後にすぐ探して、
今は毎日使っています。
地球に負担のかからない暮らし方のヒント(おしゃれで、他の人もマネをしてみたくなるような)
をどんどん発見していける場所ができてうれしいです。これからもよろしくお願いします。


  今日の夕食メニュー

  

  

                                   以上レポート 由紀

1)6:30 建築実習(コンポストトイレ予定地の確認)

@現地確認
天気は小雨。予定地確認の前に昨夜遅く(12時過ぎ?)到着された下川さんの自己紹介、みんなの簡単な自己紹介があり、寝起きの頭のためのウォーミングアップ(グー・チョキ・パー体操?)から2日目のプログラムがスタートしました。また、朝の集合に遅れる人がいると(それは私だったのですが…すみません)、1日全体の進行が遅れるという注意もありました。
その後、早速シャンティクティ裏のコンポストトイレ予定地を確認しました。


予定地では、梅崎さんからトイレの大きさ(1間×4尺=約1800mm×約1200mm)が提示され、あわせて「間(けん)」や「尺(しゃく)」「寸(すん)」の単位について説明がありました。

復習すると、1間=6尺、1尺は10寸になります。1寸が30.3mmなので、1尺は303mm(約30cm)となります。トイレの設置に際しては、大きさだけでなく、向きも考えなくてはなりません。そのため、地形を観察したり(やや斜面になっている)、風の向きを確認したりしました(正確にはわからないが、南風が強い?)。また、シャンティクティの建物から、トイレのほうへデッキがつながること、トイレ予定地のやや下に浄化槽が設置されていることについても説明を受けました。

予定地を観察している最中にも、今回の施主である臼井朋子さんから「レインボー・ヴァレー・ファームのトイレを参考に」などといった提案がありました。


A与件の整理
予定地確認後、シャンティクティ内に戻り、施主へのインタビューを通じて「与件の整理」を行いました。与件の項目(チェックリスト)としては、


1.施主に関する情報
1)氏名:臼井朋子さん
2)職業:ペンションオーナー
3)建築施設を利用する人の構成(属性・関わり方):お散歩の会(親子15組=30人程度)の時、外で遊んでいる時に使う。毎月2,3回、20人くらいの小学生が使う。夏場を中心とした宿泊者(平均2,3組=5,6人)がデッキから直接来る。
★井戸水が涸れた時の予備(補完システム・重要!!)
4)住所:池田町大字会染552−1(あいぞめという素敵な名前)
5)生活信条:循環のある暮らし、楽しく心地よく暮らす
6)食習慣:20年間ベジタリアン(健二さん、子どもたちも含め)宿泊者については自炊+朝食のみ提供。子どもたちは主に2人(小学6年と2年、高校生のお子さんは寮生活)

2.建築施設について
1)整備しようと思った動機・大事にしたいこと
・トイレは外でも気持ちよくできる
・行きたくなるようなトイレ(明るいイメージ←外のトイレって大体暗いので…)
・掃除がしやく(カビは気になる)、ナチュラルなイメージ(かわいくても良い)
・機械はできるだけ使わずシンプルに、かつ「しくみ」が見えるほうが良い
2)整備に使用できる敷地について(広さ、方位、斜度、風:季節別の方向・季節別の強さ・台風の頻度など)
・前述・現地確認のところを参照。雪については積もっても20〜30cm程度。地すべり地帯に指定されている(あまり気にしなく
て良い…健二さん談)。
3)必要な機能と利用方法
・固液分離が良いのでは(固体はコンポスト、液体は浄化槽へ)。
・固体はスコップでかき出して、畑で堆肥として使う(運ぶ必要あり)。
・夜間用の照明があったほうが良い。
・小さい子だと3歳くらいの子が使うので、洋式のほうが使いやすい
・井戸水が使えない時もあるので、手洗いの水の確保も必要。
4)敷地内にある資源
・井戸水、畑、倒木(製材してデッキとして使う)
5)整備予算
材料費等20万円(参考:森の家も20万くらい、ツリーハウスは12〜13万円程度)
6)明らかな問題点・整備にあたっての留意点
・泥んこで入ってくると床が汚れる。
・設置場所近くにあるカラマツの葉が入ってくるのも掃除が大変。
・ある程度、作りやすさも優先してもらってよい。
・水が止まることがあるのを前提として整備する。
7)整備されているインフラ
・浄化槽
・現状は未設置だが、デッキがつながることを前提とする
8)未整備だが、必要となるインフラ
・夜の照明
・手洗いの水

7:45 与件の整理(インタビュー)を終了し、シャロムへ移動

シャロム到着後、朝食(自然酵母のパン、スープ、玄米コーヒー)


2)9:30 建築実習2(コンポストトイレのアイデア出し、全体工程)
@全体工程の確認
今回の実習でつくりあげるコンポストトイレのアイデア出しに先立ち、
まず梅崎さんより、全体の工程について説明がありました。
3月 ヒアリング・アイデア出し(今回)
4月 プラン決定(宿題の持ち寄り)
5月 製図・墨付け
6月 材の刻み@
7月(農業実習)
8月(ギャザリング)
8月 材の刻みA
9月 棟上げ、屋根・外壁
10月 外壁(続き)・内装
11月 内装仕上げ
12月安曇野ギャザリング(修了)
今回の講座の8割に出席すれば、修了証、8割に達しなかった
場合は受講証が授与されます。

A9:45 畑のグループごとにアイデア出し+共有、全体で発表まず一人ひとりがアイデアを考え、それを畑のグループ内(3〜4人)で共有し、グループ内の方向性や異なるアイデアが出ている所を全体で発表しました。グループごとのポイントを簡単に紹介します。
1班:けしきを大切にする。雨水利用の時に、水を浄化する植物を活用してはどうか。
2班:地すべり地帯なので安全対策を重点にする。大便と小便を分けることを考える。
3班:コンポストの運搬に台車を使う。
4班:レインボーヴァレーファームの事例を参考に、壁にビンを埋め込んであかりとりにしたり、草屋根・ソーラーパネルの傾斜屋根等。

 

 



これらのアイデアも参考に、参加者それぞれでコンポストトイレについてのコンセプトをまとめたものを次回までの宿題として持参。

3)パーマカルチャー講座(システムデザインについて)梅崎さんより、鶏のインプット・アウトプットを事例としてシステムデザインについての説明がありました。鶏にとってはインプット(例:生ごみ)であってもそれは人間のアウトプットであったり(鶏卵はその逆)、鶏のアウトプット(例:熱)をチキンホットハウスで活用したりといった循環の考え方を学びました。



シャロム・ヒュッテでは、パーマカルチャーの考え方に基づいた様々な「しかけ」が見られますが、今回は水・栄養分・エネルギーの3つについてシステムデザインの見方で分析します。参加者の希望をとったところ、エネルギー希望の方が多く、水1グループ、栄養分1グループ、エネルギーは2グループに分かれてグループワークを行いました。


12:00 昼食(たっぷりの野沢菜ピザ、玄米など)

13:30 システムデザインのグループワーク発表水のグループからは、中水道の活用が施設内の循環に寄与して
いることなどが発表されました。また、栄養分のグループからは、生ごみや糞尿の堆肥化が栄養分の循環につながっていることが発表されました。エネルギーについては、どちらのグループの発表からも、エネルギーの循環は難しいという雰囲気が伝わりましたが、一つのグループからは、薪や植物油の利用(車)が二酸化炭素排出フリーになることや草屋根やペアガラスといった工夫がエネルギーの有効利用につなっていることが指摘されました。


4)14:00 農業実習(種まき)
今回は昨年から残っている畝を使わせていただき、じゃがいもと葉物の種まきをしました。種まきの実演とあわせて、臼井健二さんから自然農がパーマカルチャーを超えるというお話もありました。
(その詳しい内容はとても私の文章能力ではまとめられません)


報告は簡単に以上ですが、私の感想として、初めてシャロム・ヒュッテに伺い、まず水や空気、そして3度の食事がおいしいことに驚きました。
そして、生ごみの堆肥化・ガス化、中水道などサブシステムの重要性にも気づかされました。農業実習では、なかなか稲野さん、臼井さんのような手つきにならず、いも1個、種1筋でも非常に苦労して植え、蒔きました。発芽から収穫までが非常に楽しみです。皆さん、どうもありがとうございました。
 

レポート増原(なおき)