Someone, Something
いま、好奇心 「 自 然 食 」 'オーガニック''マクロビオティック' といえば、 いずれも「自然食」につながるナチュラル&ヘルシー食のキーワード。 安曇野の地でヒュッテを営む臼井健二さんの暮らしぶりは、 まさにそんな理想の食を基本にした、自給自足的エコロジーライフです。 今月は、臼井さん流生活哲学とその実践法をご紹介いただくとともに、 私たちが自然食を取り入れていくためのヒントも沢山いただきました。 オーガニックとは・・・・ マクロビオティックとは・・・・ 無農薬有機栽培。過去最低3年間、 自然食によって健康と長寿をめざ 化学肥料・殺虫剤・除草剤などを す生活法。穀物菜食を基本とし、 使用していない農場で栽培された 無農薬・自然農法の穀物や野菜を 農作物およびその加工品をいいます。 中心とした食事をとります。 お話 カントリーイン舎爐夢ヒュッテ 臼井健二オーナー 半自給自足生活で 季節の恵みをいただく。 僕の一日は、畑に出ることから始まります。朝6時から1時間ほどの畑仕事が 朝の日課。この春は、新しく借りた畑も合わせ、計3反の畑に人参・青梗菜・白 菜・キャベツ・ラディッシュ・春菊・野沢菜・トウモロコシ・ナス等々、無農薬 有機農法でいろいろ育てています。 納屋ではニワトリ10羽とヤギ、アヒル を飼っていましてね、畑の堆肥はそれらの糞と林の落葉。ニワトリが生ごみを食 べ、ヤギが庭の草を食べ、乳を出す・・・ 無駄がないでしょう? そうそう、春先 や秋に林や山に入れば、食べるものだらけ。スーパーマーケットの趣ですよ。 自然のサイクルに逆らわず、自然と調和し、季節の恵みをいただけるのは、や はり素晴らしいことです。夏にはトマト・ナスなど体を冷やす野菜、冬には大根・ 人参など体を温める野菜がとれますからね、よくできています。そして、その土 地の風土にあったもの、そこで育ったものを食べるのが、人にとって自然なのです。 見た目を良くする人工着色料や、食品添加物、フレイバー、防腐剤、旬を無視 した作物など、いま人々は100 種以上10グラムの異物を毎日食べているそうです よ。知らず知らず、それが蓄積されていくわけで、怖いものです。いろんな害も 出ています。 僕らの内蔵は畑といっしょだと考えてください。土に良いものを与えて土質が 良くなれば、作物がうまくできるから、化学肥料も農薬もいらない。身体に良い 食品を与えて健康になれば、化学薬品などはいらない。クスリに頼らなくていい わけです。 食の潮流は、マクロビオティックへ。 人間は、穀物菜食の動物です。歯を見ると、穀物のための臼歯と野菜のための 門歯が多く、肉食用の犬歯は少ないですね。もともと穀物菜食だった日本人も、 戦後は食の欧米化や、飽食による栄養過多で、いろんな病気を増やしてきました。 そろそろ食というものを、健康の観点から見直していくときでしょう。 アメリカではいま、高蛋白高エネルギーの食事が見直され、「ヘルシー」「ナ チュラル」「ダイエット」の3語が重要なコンセプトになっています。アメリカ 人たちが注目している「マクロビオティック」も、もともと日本食をベースにし た食事法。アトピー、ガン、エイズがこれで治ってしまったという例もあって、 今後一層注目されると思います。 僕のヒュッテで出す食事も、自家栽培の野菜と地元の食材、調味料を使い、塩 尻産の玄米を主食とするマクロビオティックなんです。シンプルに、素材の甘さ や旨味を生かした健康的な食事をとれば、身体がよろこびます。自然治癒力も高ま り、ダイエット効果だってあります。 マクロビオティックの基本は「身土不二 シンドフジ 」。身と土、二つにあらず----- 作物をまるごと食べるという考え方です。もちろん漂白や添加もせず、あるかがまの 状態で、その季節にできたものを食べます。 そして、オーガニック(無農薬有機栽培)を大前提としています。 オーガニックは、ブームというより、徐々に定着していくと思いますね。それ を求める消費者が増えているというのも事実。ただ美味しければいい、ではなく、 健康に留意して、素朴な美味しさが味わえるほうがいいと、多くの人が気付き始 めているわけです。 それらにこだわる、こだわらないは別にしても、一般消費者としてはまず、地 球に負荷をかけないもの、ひいては自分たちの身体に悪影響のないものを選ぶ目 を持つことが大切でしょう。食べ物も、おもちゃも、洗剤も・・・直感的に「何 か変だな」と感じるものは、たいてい変です。間違っているんですよ。 農的田舎暮らしについて。 僕が、生まれ故郷の安曇野で宿を始めてから、今年で20年になります。ここで 手作りの家に住み、ゲストを迎え、手作り野菜を中心とした食事をともに楽しむ '自給自足的エコロジーライフ' は、当初から変わらないスタイル。もっぱら「自 然循環・閉鎖循環」をテーマに、日々生活を営み、自然に帰らないものは使わな いようにしています。 シンプルな農的田舎暮らしは、21世紀に望まれる生活であるように思いますね。 自然循環のある自給自足的生活は、省資源、低公害を可能にし、地球に負荷をか けません。それに、豊富な物質生活は、必ずしも人を幸せにしない、と僕は思っ ています。ほんとうは、もっとシンプルで自由に、時間に縛られることなく、豊 かに暮らせるはずですから。 (写真キャプション) 5反の畑と臼井健二オーナー 野菜を収穫するオーナー夫人 無農薬有機栽培の野菜が元気に育っています。 5月上旬には田植えも。 この日は「バイオダイナミック農法」という新しい農業の勉強会。地元の人達が集ま りました。 ヤギとニワトリも農作業に一役。 カントリーイン舎爐夢ヒュッテ遠望 マクロビオティック カントリーイン舎爐夢ヒュッテの玄米自然食。 北アルプスの山麓、安曇野に建つカントリーイン舎爐夢ヒュッテは、臼井オー ナーが、山仲間と3年がかりで手作りしたハンドメイドハウス。雪を頂いた山並 みとカラマツ林を背にし、広々とした田園を目の前にした外観は、ヨーロッパの 片田舎を思わせます。 ヒュッテで出される料理は、そんな雰囲気にふさわしいオシャレな玄米自然食 です。特に夕食は洋風コース料理ということで、地味になりがちな自然食のイメ ージを変えてくれるきっかけにも。身体にいいものをオシャレに、美味しくいただ けたら、身も心も元気になりそうですね。 オーナー夫人・朋子さんの創意工夫から生まれるメニューを見ると、玄米と野 菜を中心にした料理に加え、魚料理が1品入っています。自家製スモークサーモ ンや、地元でとれた新鮮なイワナがそれ。菜食主義のなかでも、魚を加えたタイプ を 'フィッシュ・ベジタリアン' といいますが、伝統的な日本食も同じです。マクロビ オティックといっても、あまり堅苦しく考える必要はないんですね。 (写真キャプション) そば粉のクレープ野沢菜包み、スモークサーモンと大根のマリネなど美味しそうなデ ィッシュが並んだ夕食メニュー。 朝食は屋外のテラスで、ビュッフェスタイルで楽しみます。 国内産小麦の天然酵母パン 'パン・ド・カンパーニュ' は、噛むほどに美味しい! 自然志向のおやつはいかが? シャロム風レシピを教えていただきました。 玄米おかゆパン 残り野菜と玄米でできていて、素朴な味わいが楽しめるパン。もちもちっとした食感 で、食べ応えしっかりです。ごまみそペーストつけて食べるといっそう美味です。 1.だしをとった後の昆布10cm角と、キャベツの芯1〜2コ、大根のしっぽ3cm 分(または同量の皮、他の野菜くずでも)を千切りにします。 2.1の材料と玄米2合、水1〜1.2リットル、塩小さじ1を圧力鍋に入れて、重 りが回り始めたら弱火にし、1時間炊きます。 3.冷めてから全粒粉1カップ、小麦粉3カップ、塩小さじ2〜3、干しぶどうを好 みで入れてこね、5時間〜ひと晩寝かせます。 4.天板に油をひき、粉をはたいて、生地を流し入れ、クルミをのせます。210度 のオーブンで1時間焼きます。 玄米コーヒー コーヒー顔負けの香り、コク、苦味が楽しめる玄米コーヒーは、もともと煎じ薬。身 体を温める作用があり、便秘や生理不順などにも効くそうですよ。 1.玄米を炒ります。煙が出て真っ黒になるまで炒って、芯まで焦げ茶色になってい ればOK。ミルで挽いて、粉状にします。 2.コーヒーをいれるときは、茶さじ1に水1合の割合で煮立て、フィルターで濾し ます(エスプレッソマシンがあると簡単ですね)。 玄米ってどんなもの? お米のモミ殻だけをとりのぞいた状態が玄米です。白米はさらに、生命力を持つ胚 芽まで取り去って、胚乳だけにした粕(米が白いと書く)。玄米は糠(健康な米)を 持っています。玄米を水につけると芽が出てきますが、白米はくさっていきます。 玄米はうまく炊くと味わいがあり、おかずなしでも美味しく食べられます。繊維が 多いので便秘しないのもうれしいことです。 *シャロムクッキングノートより抜粋 カントリーイン舎爐夢ヒュッテ 宿泊情報 自然食や自給自足的エコロジーライフに興味を持った人なら、ぜひおススメしたいシャロム での休日。開放的なカントリーフィールドでマクロビオティックが味わえるのはもちろん、気 さくなオーナーと語らったり、朋子夫人が毎朝開くヨーガ教室に参加したり、あるいは料理の レシピを教えてもらったり、農作業をお手伝したりと、多彩な楽しみが見つかります。また、 希望すれば、アトピー除去食や完全菜食も用意してもらえます。 長野県南安曇郡穂高町豊里 TEL0263−83−3838 http://www.ultraman.gr.jp//shalom/ ・1泊2食付き9,000円 ・交通/JR大糸線穂高駅下車、車で10分 |