安曇野自然農学習会体験レポート22005515日)

 

耕さない田畑「自然農」

 

自然農、それは「耕さず、肥料、農薬を用いず、草や虫を敵とせず」川口由一さんが提唱する栽培。今回も長野県、安曇野のシャロムヒュッテで小田詩世さんと共に自然農を体験学習し、感じたことを皆さんと分かち合えたらと思い書かせていただきました。

 今回は 夏野菜を中心に、サツマイモ、里芋、オクラ、トウモロコシ、落花生、ズッキーニ、雑穀のもちキビ、レタスの定植。そして、先月行った畝(うね)作りの復習を行いました。

 

 

サツマイモの苗を植える         

 サツマイモの苗です。

 

       

 移殖ゴテで土に切り込みをいれてそこにサツマイモの苗を斜めにさし込みます。そしてのこぎり鎌で刈った草を土が見えないようにのせます。(草の中のサツマイモの葉がわかりますか?)

 

       

今回は、畝幅が120cmと広かったので、2条(=2列)に30cm間隔で植えました。

 

【自然農でのポイント】

 自然農では、潅水(水やり)は基本的にしません。雨が降った翌日などに植えるとよいとのことです。サツマイモは、痩せた日当たりの良い乾燥地を好みます。そこで、畝は高畝(たかうね)にしてあげると、水はけもよくなりサツマイモが良く育ちます。今回使うサツマイモの苗は品種がわかりませんが、早生(わせ)のもの、晩生(おくて)のものを混ぜて植えると収穫の時期をずらすこともできます。

自然農の畑では、畝は最初に作ると毎年その畝を利用するので、サツマイモは、連作すれば美味しくなるので専用の畝を用意するのも良いとのことです。

 高畝:畝を高く持ったもの。

   早生:収穫までの期間が短く、早く蒔けるもの。晩生は、その逆。 )

 

里芋を植える

       

みんなで詩世さんの説明を真剣に聴いています。20cmも掘った穴に里芋の芽を上にして植えました。

 植えた里芋に土をかけ、草のお布団で乾燥を防ぎます。

【自然農でのポイント】

 里芋も、日当たりが良いところを好みます。サツマイモと逆に土は肥えていて、湿気を好むので、水が少ない年はサツマイモの出来がよく、逆に雨量の多い年は里芋の生育が良くなります。里芋は、種芋の上に子供、孫を育てるので何回かに分けて土寄せをします。例えば。最初は、種芋と同じ位の土をかけまずが、元の地面より低く、次の土寄せで元の地面ほどかけ、次にちょっと周りの土を盛り、最後にこんもりともってあげると良いとのことです。(土をかけるごとに、被せてあった草はとり、盛った土に被せなおすと湿気を保てます。)

                        

上の図は、左から里芋の土寄せをイメージしたものです。

 

落花生の種まき   

 「一粒は、大地に。一粒は、鳥に。一粒は私に。」

【自然農のポイント】

豆類をはじめ、大きな種の蒔き方はほぼ同じです。「一粒は、大地に。一粒は、鳥に。一粒は私に。」と一ヶ所に、3粒ほど蒔きます。被覆(種にかける土)は、種の大きさの2さら3倍くらいが目安。そして、刈った草を土が乾かないようにかけてあげます。落花生の場合は、30cm間隔に蒔き、大きくなるにしたがって最後に一番いいのを残し1本になるように間引いて上げます。落花生は、名前のように花が散るとその先端が地中にもぐり、実を結びます。収穫した落花生は、塩茹ですると最高に美味しいですよ。

 

オクラの種まき   

  サツマイモの畝の中央にオクラ蒔きました。

【自然農のポイント】

 オクラは、熱帯性の植物、移植を嫌います。一人では育ちにくので、4〜5粒蒔き競争・協力しながら成長します。50cm間隔で植え、最後に1〜2本残るように、間引きます。オクラは背が高くなるので、地を這いずるカボチャと一緒に植えることもできます。今回は、サツマイモの苗の真ん中に植えてみました。

 

トウモロコシの種まき 

  みんなで「一粒は、大地に、、、」と

【自然農のポイント】

トウモロコシは、風により他家受粉するため、ある程度の数を栽培しないと受粉にむらができ、実つきがわるくなる。そこで、一条蒔きよりも二条蒔きのほうが無難です。株間は、30cmです。

自家採種する時は、カラカラに乾燥させて、実の中も硬くなっているのを確認してから、トウモロコシの中央部の形のそろった実を種として採ります。

他家受粉:自分自身の株で受粉(自家受粉)するのではなく、他の株の花粉が着くことではじめて受粉すること。

自家採種:自分の畑で今年育てた野菜の種を採ること。)

 

ズッキーニの種まき

【自然農のポイント】

 ズッキーニは、カボチャの仲間です。ネイティブアメリカンのいいつたえに、3姉妹という物語があります。3姉妹のカボチャ・インゲン・トウモロコシは大の仲良し、「トウモロコシの株元にカボチャがつるを這わせ、トウモロコシにインゲンがつるを巻きつける。」と素晴らしい出来が期待できるそうです。ズッキーニの種まきは、落花生と同じで、株間30cmです。

 間引く時は、自然農の原則に、「いのちの営みをこわさない。」だから土はなるべく動かしたくないので、地上部のものは、地上部に。地下部のものは、地下部に残します。根は抜かず、ハサミで地上部を日差しの弱い曇りの日に、間引きます。ちなみに、葉ものの場合ハサミで切るのは数が多くたいへんな時、間引きで根を抜くこともあります。

 

レタスの定植  

    前回の学習会で蒔いたレタスがこんなに立派に!

【自然農のポイント】

 前回蒔いたレタスがいっぱい発芽していました。レタスは、集団で育てて、本葉が3〜5枚くらいに成長したら、レタスを一つ一つ定植して、大きく育てます。

根についた土を落とさないように、丁寧に移動させます。極意としては「あれ?いつのまに移動させられていたの?」とレタス自身が気づかないぐらいだったら、根にストレスを与えることはありませんから、レタスの生育が良くなります。

 

雑穀(もちきび)の種まき  

  モチキビを小麦の間に蒔きました。

【自然農のポイント】

雑穀は、基本的にとても強いので、特に注意しなければいけないことはありません。生

育の初期に、草に負けそうならば刈ってあげればすくすく育ちます。小麦などの穀物同様、畝に全面ばら撒きでもいいですし、条蒔きでもかまいません。

 自然農の種まきに、共通にいえるのですが、草を刈り、草の根を切るように浅く耕し、鍬の背で平らにたたき、パラパラと蒔きます。そして草の種のないような土をかぶせ、さらに鍬の背もしくは手でたたいて土と種を密着させ、刈った草を均一に敷いておきます。このとき、かける草は、生のイネ科のものがもっともよいです。マメ科の草だけを敷き詰めると、韓国のりのようにかたまり、種が発芽しても、ふたをされた状態で、出てこなくなってしまいます。だから、敷き草は、適度に光が入るくらいが適当です。

 そして、発芽してきたら、直射日光の弱い時(曇りの日や夕方)に、適度に敷き草をとってあげることで光が入るようにしてあげると、芽はすくすくと成長できます。

 

畝作りのおさらい  (くわしくは、先月のレポートを参照してください)

          

    まず草を刈り、通路を掘ります。               通路の土が畝になります。

      

通路と畝を鍬で平らに整えます。        最後に刈った草を敷き詰めて完成!

 

記念撮影!

 

畑がおわると                    

 畑での学習会のあと、シャロムヒュッテの掘りごたつで美味しいお茶を飲みながら自己紹介も兼ね和気あいあい語らいあいました。

 

次回の予定

次回は、619日(日)。田植え・大麦収穫・大豆インゲン播種・草刈・植え付け・定植と盛り沢山!今月から参加費も無料と魅力いっぱいです。

 

もっと自然農を詳しく知りたいそんな方は、川口由一著『自然農 川口由一の世界』(晩成書房)、『自然農から農を超えて』(カタツムリ社)、『妙なる畑に立ちて』(野草社)をご覧下さい。今回も読んでくださいましてありがとうございました。

 

竹内 孝功(たけうち あつのり)                   Email:takecook3@yahoo.co.jp

福岡正信氏の自然農法をはじめ、川口由一さんの自然農、岡田茂吉氏の自然農法などを学ぶ。現在(財)自然農法国際研究開発センターで研修中。人の数だけ農法があると思っている。自然の真理を学び、無理無駄がないオシャレなオーガニック「ナチュラルオーガニック」を多くの人に紹介したいと思っています。『自然農・自然農法で自給自足のマニュアル(仮称)』小冊子を出版したいと思っています。