9月1日(土)
心地よい暮らしの講座も、今回で5回目。
9月に入り、シャンティクティへの道のりの田んぼも、黄金色に色づき始めていて、すっかり初秋の風景になっていました。
毎回移り変わる季節の風景を見られることも、楽しみのひとつとなっています。
【自己紹介&近況報告】
今回は単発参加の方も多く、おなじみのメンバーと新しいメンバーが半々くらい。
4月に単発参加の愛ちゃんも久しぶりの参加で、みんなで再会を喜びました。
新たな出会いにもちょっぴりドキドキしながら、自己紹介がスタート。
それぞれ普段の暮らしや、この夏のできごとなどを報告し合いました。
【チベット医学とは?】
今回はゲスト講師に、長野県小諸市在住で、日本で初めてチベット医(アムチ)になられた小川康さんをお迎えして、チベット医学のお話と薬草茶作り。
私も昨年まで小諸市で暮らしていて、そのような方がいらっしゃったことに嬉しく感じました。
■色々な薬草と効用
最初に、いくつかの薬草のスケッチ画の中から、各自好きなものを選択。
それが今のあなたの状態を表しているのかも〜なんて脅かされながら。
私の選んだ薬草は、ヒマラヤの青いケシの一種「ムクチュンデンユン」。
難産の時に用いられる薬草とのこと。
鹿の親が難産の時に食べたのを見たことから、用いられるようになったといういわれがあるそう。
いつかその時のために、お守りにしようかな。
他には、ショウガやノギク、ザクロなどの薬草、効用としては胃や目、骨折の薬になるもの、解毒作用のあるものなどなど、それぞれの効用やいわれを教えていただきました。
■薬の作り方
@どこに取りに行くか作戦を考える(山、特に峠の気候は、変わった薬草が生えている)
Aひたすら薬草を探す、採取する
Bとってきた薬草を鑑別する
C薬草を10cmくらいに刻み、洗って2〜4日干す
D工場で丸めて丸薬にする(丸薬にするのは、湿気を防いだり、携帯しやすいから)
E薬に祈りを捧げて、完成!
完成してからも、薬へ毎朝毎夕お祈りをし、1ヶ月に1回はチベット密教の法要を行うとのこと。
ただ薬を「製造する」のではなく、「祈り」が込められた薬作りに、ステキだなぁと感じました。
■チベット医学の特徴
@薬草の鑑別能力が優れている
A薬を作る能力が優れている
B薬で利益を生み出そうとしない、寄付
C教えはチベット医学の経典「四部医典」1冊
D「四部医典」の教えを80枚の絵(曼荼羅や仏画、木など)にしたこと
メンツィカン(チベット医学暦法学大学)では、山にこもっての過酷な薬草の実習と、四部医典の暗唱を徹底的に行うとのこと。
またチベット医学は、薬の技術だけでなく、チベット密教や美術などとも深いつながりがある、ホリスティックな医学とのことに奥深さを感じました。
■絵図から読み解くチベット医学の教え
「薬の都タナトゥク」と、一本の木で身体と病の本質を示した絵図を見ながら、描かれている教えについて解説をしていただきました。(レジュメ参照)
小川さんからの、「身の回りの役に立つ薬草を常に理解しておくと、災害時などどんなときでも役に立つよ」という言葉に、すり傷にはヨモギが良いなどのように、日本でも昔から伝えられてきた、身近な野草を使った知恵があることを思い出して、薬草は何も特別なものではなく、私たちの身近にあるものなんだと感じました。
これから、身近にある野草から注目して見てみよう、薬草の知恵を知っていきたい、そんな知恵を後世にも大切に伝えていけたらいいなと思いました。
【お風呂タイム&夕ごはん】
野菜がおいしくいただけるのが毎回楽しみな、タミさんの夕ごはんの時間♪
今回は、小川さんに教えてもらいながら、チベットのお祈りをして、いただきまぁす(^-^)
今晩のメニューは、
@ベジバンバンジー
A夏野菜のあんかけ
Bタイ風ナスのバジル炒め
Cフィリピン風シニガースープ
Dきゅうりの漬け物2種
小川さんのお話を聞きながら、夏野菜の恵みをたっぷり、どれもこれもおいしくいただくことができて、心も体も幸せに満たされた時間でした。
【薬草茶作り&交流会】
引き続き小川さんによる、薬草茶作りのデモンストレーション。
薬草茶をふるまう魅力は、手間ひまをかけて、人をおもてなしすることができることと語られました。
まずは、カキドウシのみのお茶をいただきました。
お茶は焙煎するとおいしくなるとのこと、とっても香ばしい香りがしました。
次は、カキドウシに焙煎したハトムギ、柿の葉、ベニバナ、カンゾウを加えたブレンド茶。
最後に、小川さんのチベット医学に対する今後の目標について、お聞きすることができました。
これからは、チベット医学を日本に広めるというより、生涯学習的に、こどもから大人まで、薬を楽しんだり考える機会、意識を高めることを目指したいとのこと。
具体的には、薬草を採取するところから薬草茶を作る体験など、食育ならぬ「薬育」を実践していきたい、そのことで、日本の医療の文化の質が上がるのではないかなと語られました。
メンツィカンでの、5年間の厳しく大変な修行を乗り越えて、アムチとなられた小川さん。
チベット医学に対してしっかりとした自信や信頼を持ちながらも、それにとらわれずに、感覚で薬草を楽しむことを忘れない姿が、とても印象的でした。
今度は実際に、薬草観察会に参加してみたいなと思いました。