2009年6月20日(土) 晴れ
昨日までの不安定な天気が嘘のような暑い日に。
今回はいつものメンバーに加えて、4期卒業生のジュンコさんが補講で参加しました。
●13:30 自然農法国際研究開発センター見学
波田町にある自然農法国際研究開発センターに伺い、
自然農法で育種をしている圃場を見学させて頂きました。
※ 自然農法センターHP
http://www.janis.or.jp/users/infrc/
育種課の原田さんと巴さんに案内して頂きました。
ここ自然農法センターでは、有機農法や自然農法用の種の育成・普及を目的に、
自然農法による育種と採種を行っています。また、その種を頒布する業務も
行っているそうです。果菜類を中心に、雑穀なども育種しているとのこと。
今回見学させて頂いた育種の圃場では、無肥料や少ない肥料でも十分成長し、
作りやすく、たくさん量が取れ、かつおいしい系統を選抜・育成しています。
自然農法で育成・採種された種は、ストレスに強く生命力に溢れているとのこと。
◆草生栽培◆
まわりを眺めると、とても手入れが行き届いていて整然とした圃場、といった印象。
農薬や化成肥料を使わず、不耕起での草生栽培
(※緑肥や草との競合がある条件下での栽培)を行っています。
草生には、麦、オーチャードグラス、赤クローバー、クリムゾンクローバーなど、
マメ科やイネ科の草を用いています。育種されている作物の両側にそれらの植物が
育てられていて、その場所と育種をしていた場所とを循環させて栽培するのだそうです。
◆種(交配種と固定種)◆
種は、交配種、固定種の両方を採種しているとのこと。
一般に市販されている種の多くはF1種と呼ばれる交配種。
※F1種…優秀な親同士を掛け合わせてつくられた雑種の第一世代
F1種は「雑種強勢」といって、交配してできた初期の雑種が、その両親よりも
生育・耐病性・収量などの点で優れている、という現象を利用して採種されています。
ただし、農薬や化成肥料の使用を前提に育種されているものが多いとのこと。
一方こちらのセンターでは、交配種・固定種を問わず、根張りのよいものを
選抜・育成し、農薬や化成肥料を使わなくても栽培できる種を育てているそうです。
◆きゅうり◆
まず見せて頂いたのは、きゅうり。
育種中の「バテシラズ3号」という品種。素敵な名前です。
また「上高地5号」という雨よけやトンネル早熟栽培向けのきゅうりも。
きゅうりの寿命は、播種から約4か月。
まず幼苗期には、根張りをよくすることが大事で、
そのためには@水をやりすぎないA肥料をやりすぎないことが重要とのこと。
そうしないと苗が徒長してしまうそうです。
本葉6〜18枚の伸長期にも同じことが言え、この時期にも根の張りを
充実させるため、水や肥料を抑えることが大切なのだそうです。
◆トマト◆
現在、露地で栽培可能な大玉トマトを育成中とのこと。
掛け合わせる親を選ぶ際の基準は@木が丈夫A病気に強いB実のつきが早い、など。
◆育苗◆
こちらでは、ナス・トマト・ピーマンなどは、直播きせず育苗しているとのこと。
通常これらの野菜は温度をかけて育苗しますが、そうすると苗が徒長してしまう
ことが多くなるそうです。そのため、生育に必要な最低の温度は確保しつつも
温度はかけずに、ゆっくり育てるとのことです。
ちなみに、よい苗とは根の張りがよいもの。根の張りがよくないものは、
種を残そうとする植物の本能が働き、早く花を咲かせるのだそうです。
根の張りがよいものの特徴は、たとえばトマトの場合、生長点が淡い緑色で、
わき芽が多くでているもの。
◆その他(ナス・メロンなど)◆
ナスは、紫御前(中長ナス)・小布施丸ナスを、
生育に必要な最低温度(16℃)は保って育成中とのこと。
メロンについては、現在そのほとんどがトンネル・ハウスを利用して
栽培されていますが、それらを使わずに栽培できるメロンを現在育種しています。
ただし、問題が山積みとのこと。
見せて頂いた株は定植直後にすぐアブラムシが寄ってきて、
キュウリモザイクウィルスというウィルス病にかかっていました。
こういった病気を防ぐために次のような方法があるそうです。
@土とたい肥を1対1の割合で混ぜる。
Aくん炭にEM菌を浸み込ませる(@の一割程度の量)。1〜2年寝かせる。
B苗を定植する場所に20cm程度の穴を掘る。
Cそこに@とAを混ぜたものを両手1杯分ぐらい入れる。
そこにメロンを植えると、もともと根の発達が弱いメロンの根の活着が
スムーズに行われ、病気にかかりにくくなるそうです。
また、アブラムシの対策としては、メロンを植える場所のそばにある草を
刈らずに置くこと。そうすることで、その場所にテントウムシが居ついてくれ、
定植直後にメロンについたアブラムシを食べてくれるのだそうです。
◆小松菜の採種◆
両サイドが防虫ネットになっているビニールハウスがありました。
小松菜(新戒青菜という品種)の採種用だそうです。
小松菜はアブラナ科で、ほかのアブラナ科と容易に交雑しやすいとのこと。
(※ただし、アブラナ科内でも交雑しやすいものと稀にしか交雑しないものあり。)
そのため、虫などが花粉を運ばないように、
ネットなどで隔離して採種する必要があります。
その上で、人の手で交配を促します。
羽毛状の毛のついたハタキなどを使ってなでるように揺らし、
花粉を飛散させて受粉を促すのだそうです。
そうして茶褐色になったとき種をとります。
乾燥させすぎるとアブラムシが寄ってきやすいそうです。
後で伺ったのですが、個人で採種する場合には、
イボ竹などの支柱を立てて防虫用のネットで上面と側面を囲えばよいとのこと。
キュウリ栽培用のパイプを利用してもよいそうです。
特に雨よけなどは必要ないとのことでした。
◆草生について(追記)◆
草生として利用されている小麦の畝は@地力をあげるA畑のなかの生き物のすみか、
という役割があるのだそうです。小麦は7月に収穫し、その後は秋野菜もしくは
豆類をつくります。そうすることで、余分な栄養素を小麦に吸ってもらい、
豆類の根粒菌が栄養を補ってくれます。
草生の役割はというと…
@草と競争させることで、野菜の自立心を育てる(自力で根を強く張ろうとする)。
A敷き草として利用できる(保湿の役割や草を抑える働き)。
◆結球レタスの採種◆
もともとはサニーレタスのような結球していないレタスが原種に近く、
そこに人の手が加えられて結球したレタスが生まれてきたとのこと。
そのため、採種するには抽だい(※花の茎が伸びだすこと、「トウ立ち」ともいう)を
促す手伝いが必要なのだそうです。まず収穫の時期まで待って形の良いものを選びます。
そして…
@抽だいしやすいように、玉を十字に切開する(※生長点を傷つけないように)
A玉をほぐして生長点を出す
すると、切開後1日で切開した中の白い部分が外葉のような色に変わります。
この作業を2回ほど繰り返します。そのようにして開花を促した上で採種を行います。
こうしないと結球レタスの場合は花芽が伸びず、採種できないとのこと。
ちなみにレタスは低温に強く、3℃位までだったら大丈夫だとのこと。
また、レタスの株の切り口からでる白い液はレタスの糖分だそうで、
安眠作用があるとも言われているそうです。
◆不耕起栽培での課題◆
最後に、不耕起栽培での課題について説明がありました。
ネズミやモグラとどうやって共生していくかがひとつの課題とのこと。
たとえば、草生に利用しているイネ科の植物など大きな有機物があると、
ミミズが増え、そこにミミズを食べるネズミが寄ってきていたずらをするそうです。
ただ、私たち人間にとって不都合に思われるこういった事象の背後にも、
実はみな何かしらの意味があり、その営みに沿って、すべての存在を活かしながら
野菜をつくらせていただく、ということが大切なのではないかとのことでした。
その後圃場を後にし、センターに戻って有機栽培の麦茶を頂きました。
ほどよく冷えていて、皆「おいし〜い」の一言。
その際、センターで頒布している種でお薦めのものは?が話題に。
今から播ける種では「筑摩野五寸」というニンジンが特にオススメとのこと。
このニンジンをジュースにしたとき、飲みやすくするためにリンゴを加えた
ものより、ニンジンだけのジュースのほうが甘かった、との逸話アリ。
●15:40 シャロムの畑を見学
自然農法センターを後にし、シャロムの畑を見学。
ケンさんに案内して頂きました。
ここでは、いろいろな農の形を実践しているそうです。
森林農法の区画・コンパニオンプランツやバンカープランツの区画、
できるかぎり人の手を加えない区画、粘土団子の区画、自然農の区画など。
◆森林農法◆
森林農法とは、近代農法のように森を伐採して単一作物を植えるのではなく、
森を残したまま、森の中に様々な果樹や作物を植えていく栽培方法。
アマゾンの開拓民は、森林を伐採しそこに単一の作物を植えました。
ところが初めはよかったのですが3、4年たつと収量が減っていったそうです。
そこで、開拓民は森の姿を観察し、そこで生態系のバランスに気付きます。
そして、そこで木を切らずにいろいろな作物を育てたのだそうです。
今森林農法が注目されているそうです。
◆川口由一 自然農 ◆
耕さず虫も草も敵としない 持ち出さず持ち込まず。自然に添った農
◆MOA自然農法◆
これは世界救世教の岡田茂吉が提唱した農法
コンパニオンプランツとは、近くで栽培することで互いの成長によい影響を
与え合う植物。バンカープランツとは、農作物を育てる際、病虫害の天敵の
すみかをつくる目的で植える植物。
しかし実際は、わざわざ人の手でそんなことをしなくても、
自然は調和の方向へと向かうのだそうです。
◆福岡自然農法 人の手をできるだけ加えない「畑」◆
自然は人の手を加えないと、森になろう(還ろう)とするそうです。
一方で、人が自然に働きかけると、そこは砂漠の方向へとむかいます。
この区画にも、木が生えだしていました。傍らにはおいしそうなクワの実が。
農という営みは自然破壊の一つの形であると言えるのかもしれません。
狩猟採集という森と共存してゆく生き方のほうが、
元来この世界の在り方に適っていたのかもしれません。
一方で、シャロムの畑をみていて感じるのは、あるものが突出しているのではなく、
その景色のなかに存在するものすべてが穏やかに調和を保っているといった感覚。
人の手が加わっているけれども、あたたかみがあり包容力のある風景。
そんな自然の姿を静かに眺め、感じとる感性や余裕が私たちの側にありさえすれば、
あらゆる場所や瞬間に、私たち自身の在り方や生き方を振り返るヒントが
横たわっているのかもしれません。
シャロムの畑に立っていると、土や大地を踏みしめる一歩一歩に、
その足元で営まれているそれぞれの無数の命があることを…
つまり私が生き続けているあらゆる瞬間に、私のこの命が、
他の多くの命の上に成り立っているということを意識せざるを得ません。
そうした犠牲の上に、私のこの命が、
「今」「ここ」に「在る」ということを、忘れずに携えつづけてゆくこと。
その命のやりとりが行われているその場に身を置き、目を背けずに向き合い、
私自身の在り方を絶えず顧みてゆくこと。
私は、そういった場から離れてしまっていることで、
その手触りやそこから立ち現われてくる感覚を忘れかけていました。
野の上に立っていると、そういった命の循環の景色が私を揺さぶります。
農という営みを通じて、この世界の命の営みにできるだけ寄り添った生き方を
感じ取ってゆくこと。その一つのあり方として、今私たちが接している自然農という
農のかたちは、その具体的な学びの場になってゆくのではないかと感じました。
●16:40
温泉(すずむし荘)へ
●18:00 日本のシステムデザイン(宿題発表)
今月の宿題だった「日本のシステムデザイン」について発表。
「日本」というシステムのなかで「水」「栄養」「エネルギー」と
いった要素が、それぞれどのような流れを作り出しているか。
そこにどのような相互関連(インプットとアウトプット)がみてとれるか。
その全体像(デザイン)を調べてくる、という宿題でした。
それぞれ「水」「栄養」「エネルギー」のうちで自分が興味をもったテーマを
調べてきました。まず、同じテーマを調べてきた人同士で情報をシェアしてまとめ、
テーマごとのグループで発表しました。
◆水◆
■現状
・日本の年間降水量
6400億立方メートル(世界平均の2倍)
うち約36%が蒸発散し、残りの64%(4100億立方メートル)が利用可能。
・しかし、1人当たりの降水量を計算すると世界平均の約1/4
・資源として人が使える量
1人当たり年間3200立方メートル(世界平均の1/2)
・利用可能な水量のうち、日本の水資源使用量は年間900億トン。
@農業用水 66%
A生活用水 19% B工業用水 14%
・日本人1人あたりの水消費量 約338リットル(世界平均の2倍)
@トイレ 28%
A風呂 28% B炊事 23%
C洗濯 17%
■「バーチャルウォーター」という考え方
バーチャルウォーターとは、食べ物などをつくるために必要な水のこと。
一般に日常生活で私たちは水を使用していますが、食料を初め私たちが関わって
いる様々なものを生産するときにも、その生産過程でたくさんの水が必要となります。
そのために必要な水のことを「バーチャルウォーター」と言うそうです。
そして、この言葉が生まれてきた背景には、
「食料の輸入は、その生産に必要な水資源を他の用途に転用できるという意味で、
あたかも水の輸入と同じである」という考え方があるそうです。
例えば、牛肉の生産には牛の食糧(牧草、トウモロコシなど)が必要。
そしてその牧草やとうもろこしといった食糧にも、同じように水が必要。
牛舎を清掃する水も必要になってきます。
そう考えていくと、食糧それぞれの生産・栽培に必要な水の量は…
牛肉1kg 20600リットル
豚肉1kg 5900リットル
鶏肉1kg 4500リットル
とうもろこし1kg 1800リットル
米1合 555リットル
コーヒー1杯 210リットル
お茶1杯 12.8リットル
一方、日本の輸入品目におけるバーチャルウォーターの割合はというと…
牛肉 45.3%
小麦 18.6%
大豆 16.0%
とうもろこし 12.4%
いずれも、牛肉が突出しています。輸入牛肉を食べるという行為は、
それだけ多くの水を「輸入」することでもあるといえそうです。
ちなみに牛丼1杯の牛肉の量は約70g。
その牛肉に必要なバーチャルウォーターは1480ℓ(お風呂8杯分!)。
世界では11億人の人が安全な水を使用できないでいるということと
併せてその事実をとらえるとき、考えさせられるものがあります。
日本では穀物の場合、年間約500億トンものバーチャルウォーターを輸入。
その他のバーチャルウォーターを追加すると、年間1000億トンを輸入。
日本の水資源使用量は900億トン。国内で使うのと同じぐらいの量を
「輸入」に頼っています。
■その他の問題点
こういった指摘もありました。水道は遠くの水源から。使った水は下水処理。
雨水の多くは、コンクリート上を伝い河川に排水されている、といった現状。
そこから起こってくるのは、飲めない水道水・都市型の洪水・渇水のリスク・
地下水位の低下・河川の汚染といった問題。
■これからどうすればいい?
@各地の取り組みを参考にする
・墨田区の取り組み
路地尊(地下にためた雨水を汲みだす仕組み)を街角に配置する、など
・エッカーヘルデ市(ドイツ)の取り組み
石畳の目地から雨水が地下浸透
雨水の取水→貯水→送水→利用が町ぐるみでシステム化されている
A日本に根付いていた水の智恵を甦らせる
・もともと日本人は雨や水を非常に大切にする民族で、
水や雨に関する言葉やことわざが多いのはその表れではないだろうかとの指摘
・郡上八幡の水舟…上段が飲料水・中段が食物の冷却用・洗浄用水・
下段が洗濯用水という利用の仕方。下流の人への配慮から水を汚さない意識が
育まれている。また水流には鯉をはなし、藻などを食べてもらって水を浄化する。
B節水と残飯の少ない食生活
・最大量の水利用は、食べ物をつくるための水であることを忘れずに。
C環境容量・環境時間・環境コストを考える
・たとえば、生活用水ではトイレでの水使用量がとても多いことを考えると、
コンポストトイレの普及が望まれる。水洗トイレは水を使う量の他にも、
その汚水を浄化する施設やシステムに莫大な資源やエネルギーが
使われているとのこと。
・ダム開発などの大型整備よりも、1人1人が水不足を認識してムダを無くす。
・雨水の有効利用と水源保全。地域内に水源をつくり、それを保全し、
水の循環を図ってゆく。緩速ろ過を利用し適切な処理を行う。
ゴミを適切に循環させ土壌の浄化を図る。そこに浸透した雨水や適切に
処理された排水が、井戸や湧水などの地下水の保全につながってゆく
D地産地消
・地産地消で、水をその地域内で循環させる。
D自然農へ
・水を大量に使用しない自然農へ。
◆エネルギー◆
■現状
・日本のエネルギー自給率は約20% しかし1960年代には約6割を自給。
・原子力発電がなければ、約4%のエネルギー自給率になる。
・その4%も、ほとんどがダムによる水力発電。
・再生可能なエネルギー(自然エネルギー)の利用は現在約2%。
■これからどうすればいい?
@わたしたち自身の生活スタイルの見直しで、エネルギーを使う量自体を減らす。
・自動販売機やトイレの温かい便座は本当に必要だろうか?
・車の使用を控える。石油関連製品の4/7が乗用車に、
2/7がトラックやバスで使われている。
A再生可能なエネルギー(自然エネルギー)の使用を増やす。
・太陽光、水力、地熱、風力、バイオマス、燃料電池、水素など。
ただし水力発電などは小さなシステムで。大規模なものは、
その生産・建設に莫大なエネルギーが必要になる。
B地産地消
・長距離輸送に使われている大きなエネルギーを削減することができる。
B麻の利用
・麻は繊維としてだけではなく、シャンプーやせっけん、
代用プラスチック、またバイオべぃぜるとして燃料としても使える。
◆栄養◆
■現状
・日本の食糧自給率はカロリーベースで約40%
・現在、食糧自給率40%を45%に引き上げようとする動きがあるが、
@農地を拡大しての大規模化A工場での野菜生産が念頭にあるため、
石油エネルギーの利用を前提としたものになっている。
・国内においても食糧自給率には地域的な偏りがあり、
北海道では自給率192パーセント。一方、東京は1パーセント以下。
・一方、日本の食べ残しによって廃棄される食糧は年間2000万トン。
これは、世界全体の食糧援助量1000万トンの2倍にあたる。
・食べ残しの処理にも石油エネルギーが利用されているという悪循環。
・食糧生産では、日本国内の畑でつくられるものが30%。
残りの70パーセントが海外の畑で生産されている。
■きゅうりと大豆の例
・たとえば、きゅうりをその本来の旬の時期に生産した場合、996kcal。
一方ハウス栽培した場合には5054kcalがその生産に必要になる。
・大豆の場合、国内生産は約19万トン。一方輸入大豆は約490万トン。
国内生産大豆(約4パーセント)…納豆、豆腐、など
輸入大豆…豆腐、みそ、醤油、製油、きな粉、もやし、など
(※輸入大豆の場合、ポストハーベストの問題もあり)
・輸入大豆の二酸化炭素排出量を考える
たとえばアメリカアイオワ州から2万キロかけて運ばれてきた
大豆に使われた二酸化炭素の排出量は、豆腐1丁分で約71g。
これは、3時間の冷房に使われた二酸化炭素の量に匹敵。
一方、地元で栽培された大豆で作られた豆腐は1.3g。
・6kgの大豆を作るのに、素人の場合は約100平方メートルの土地が
必要だとすると、収量を重視する農家の方は40平方メートルでも可能。
しかしその場合、農薬を使用したり、遺伝子組み換えなど品種改良された
大豆を生産する方向に傾きがち、との指摘。
■これからどうすればいい?
・今、わたしたちは考え方の選択が迫られている。
旬のものを旬に食べるか、食べたい物を食べたい時に食べられるようにするか。
「効率」という名のもとに押し進められてきたものを、もう一度振り返る必要あり。
・栄養(食糧)の問題は、同時に水やエネルギーの問題と密接に関わっている。
より全体的な視点が必要。
・根本的には、個々人の意識が重要とのこと。
そこで、ガンジーの「カルチャー」の考え方が参考になるとの指摘がしばちゃんから。
詳しくは『ガンジー・自立の思想―自分の手で紡ぐ未来』に綴られているそうです。
最後にスタッフの方からの感想。
ケンさん「NHKの環境番組なんか(?!)をみるよりずっとわかりやすい」
詩さんからは、システムデザインの観点からするとインプットについての情報は
とてもよく調べられていたけれど、アウトプットについてはちょっと情報が
不足していたのではないかとの指摘。たとえば、降った雨水、私たちが使った水、
私たちが海外から輸入した水がどういったかたちでアウトプットされてゆくのか…
最終的には海に注ぐのですが、そこまでのプロセスの情報が少なかったとのこと。
こうして、知らなかったことを学ぶことでそれを意識し、
自分自身の生活やあり方を振り返る契機ができます。
「私」がそういった契機を通じて変わっていくことが、
家族や友人に少しだけ影響を及ぼし、それが地域をほんの少しだけ変え…
そんな風に水面に落ちた一滴の水が静かに、でもはっきりとその波紋を拡げて
ゆくように、その小さな変化がパッチワーク状につながって大きく拡がってゆく。
翌日の講義で梅さんがこんな言葉を引用していました。
「私たちは無力ではない。微力なだけだ。」
日本のシステムデザインを考える中で知ることになった日本の現状は
かなり深刻なものでしたが、私たち一人一人が変わってゆくことが、
そういった現状を憂いたり、社会の制度などを変革しようとするより、
ずっと本質的でしっかりした変化を作り出せるのかもしれない…
翌日の講義で梅さんがそうおっしゃっていたのが印象に残っています。
そういえば昔、こんな言葉を目にしました。
ただ、自分自身を改善しなさい
それが、あなたが世界を改善するためにできるすべてです
●19:30 サムソンさん&ユウコさん、ご結婚おめでとうパーティー!
なんと今夜は、前回の梅崎&ナツキータに続き、
サムソンさんとユウコさんの結婚おめでとうパーティー!
8年間一緒に過ごしてきたのだそうです。
今月はじめに入籍されたとのこと。おめでとうございます!!
ケンさん&つっちゃん手作りの花かんむりが二人の頭に。
前回の梅さん&ナツキータの鍋敷のかんむりより、
随分とアップグレード(?)しました。
サムソンゆうこさんおめでとうpdf
「私たちは共に生きることを誓います。」というケンさん手書きの誓約書にサイン。
そして、シャロムスタッフ手作りのケーキにふたりで入刀。
二人のやりとりをみていると、なんだかとても微笑ましく感じます。
とても素敵なお二人です。お幸せに。
さてテーブルには、手巻き寿司やケーキが並びます。
こんな風に手作りのものが中心で、できるだけお金をかけないパーティー。
じんわり心があたたまります。
それは、急激で鋭いこころの高揚をもたらすことはあまりありませんが、
そっと私たちの芯からじっくりあたためてくれます。
お金をかけずに、こころや想いを込めるパーティー。
マザーテレサの言葉を思い出しました。
大切なのは、何を成し遂げたかではなく、
それにどれだけこころを込めたかなのです
何をしたかではなく、どれだけこころを込めているかということを
見失わないでいること。そう考えると、時間をお金にかえて自分自身を
削っているような今の生活のあり方を見直してゆく必要があるようにも思えました。
ここちよい雰囲気の中で、そんなことをぼんやり考えました。
その後、つっちゃんが参加してきたヴィパッサナー瞑想の話題に。
詩さんも2回行ったことがあるとのこと。また瞑想を実践している方や
興味のある方もいて、話が盛り上がっていました。
詩さんが「瞑想をしていると、自分という存在が粒子でできているのが本当によくわかる」と言った言葉が心に留まりました。
宮沢賢治の『春と修羅』の冒頭の一節が脳裏をよぎりました。
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
そしてキャンドルナイトへ。
電気を消し、廃油で作ったろうそくで部屋を灯します。
普段の生活のなかでは視覚に傾きがちな五感が、
その働きを他の感覚へと移行させてゆくのが感じられます。
ろうそくの灯りに包まれていると、こころが静まってきます。
そこにはとても穏やかな時間が流れていました。
河野佳弘 (コウ) |