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稲の種籾まき 陸苗代の作り方 春田

 A草を刈る種をまく 

 B種を採る 

 Cまとめ 冬


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安曇野の大地から 畑の様子と自然農学習会のレポートをお伝えします

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安曇野自然農学習会 2006.10.22

日時 2006年10月22日(日) 

講師 佐伯彰(さえき・あきら)竹内孝功(たけうち・あつのり)臼井健二(うすい・けんじ)

レポート こう・ぷみん 

春夏秋と季節が巡るとともに、暮らしの中に農が身近になりつつあります。草も虫も敵としない、耕さない畑に種をまき、実を結ぶ姿を体験すると、草のある畑は特別なことではなく当たり前のこととして受け入れている私がいます。身の丈にあった農は楽しいものです。無理せず、楽しく続けることが、長い目で見ると続けることができるすてきな暮らし方だと思います。

今回は、畝作り、レタスの種まき、小麦大麦の種まき、草の中に種をまく方法。田んぼでは、稲刈りをしました。

今年の田んぼは、草に稲が負けてしまったようです。初期成育、水の管理、丁寧にする必要のあるところでどれだけ丁寧にできるか。過保護になりすぎないか。経験を重ねバランスを身につけていくのを楽しみたいですね。

来年のための良い経験。Ploblem is Solution. 問題は解決である。失敗して学ぶことができる。

慣行農業では、農薬や化学肥料の使い方がマニュアル化されているので、野菜をつくるという点では失敗が少ない。一方、自然農では、その土地風土にあった方法、種を播く時期が適切でないと上手くいかない。自然の理から外れる、ちょっとくずれることで生育、収量が大きく変わってきます。

 講師の紹介。

竹内さん。去年は教えてもらう側。今年は教える側。どちらも学ぶことが多い。川口さんの自然農と出会い、自分自身で実践して学んだものを分かち合いたい。松本市 梓川で自給スクールをされています。

佐伯さん。教えるのは苦手とのことですが、暮らし方や田んぼ畑そのものが自然農を物語っています。世界中を旅して、あまりにも自分自身にできることが何もない、と気づいたそうです。自然農を実践し、今ではお米、野菜の他に味噌、醤油、穀類、胡麻などを自給しています。

 臼井さん。シャロムヒュッテのオーナー。自然農をはじめパーマカルチャー、バイオダイナミック的農法、有機農法を田畑で実践されています。安曇野自然農学習会にて自然農を分かち会う場を提供していただいています。

○畑の観察

余計な草がないすっきりきれいな畑です。

覚えているでしょうか。この畑も6月にはいっぱいの草で覆われていましたね。

夏の間に覆い繁った草は、太陽の強い陽射しをいっぱい浴びてエネルギーを貯えます。

夏の終わりに一面に繁った草を刈って伏せます。秋口、そこに秋野菜を植え替えます。

すると下には十分な有機物があるので、りっぱな野菜が収穫できるのです。

失敗はない。新たなものに変える力があります。

Problem is Solution.問題は解決。そこからが次の足がかりなのです。

 レタスの苗床。小さいままベビーリーフでいただくのもよい。レタスは、はじめは集団の方が育ちやすい。まとめて育てて、移植した方が健やかに育つ。このままの大きさで冬を越し、春4月に定植、5月に収穫。ハウスがあれば、そちらに移植すれば冬にも収穫できる。

2ヶ月前に播いた蕎麦(そば)。蕎麦の刈り時は難しい。一斉に熟さず、徐々に熟すので、8割熟したら収穫。刈り取った後、保管しておけば追熟する。畑に場所があれば、そのまま畑に置いていてもよい。追熟したら脱穀する。

ニンニク。養分を貯えて冬を越す。春5月にニンニクの芽をぬきとり、下の部分を肥大させる。翌年7月に収穫。

レタス、タマネギ、ニンニクは、冬の寒さにあたって美味しくなるといわれています。というのも、凍らないように糖度をあげて身を守っているのです。

○畝作り

畝というのは、野菜のベッド。作物が育ちやすいように環境を整える。レタスの苗床づくりと同じ。安曇野の黒ボク土のように水はけがよい土地では平畝が一般的。畝をつくり、通路をつくるのは区別するため。自分一人だと畝も通路も必要ないが、第3者が来たとき、ここが通路でここに野菜が植わっていると分かるようにする。

秋のうちに畝をつくる。今の時期、草や作物が枯れていく流れの中で土を動かしたほうが周りに影響を与えるのが少ない。畝作りのあとは、もう土を動かさない。土を掘り返す(耕す)という行為は、自然界では、土砂崩れ以外では起こらない。耕さない畑では、草が覆い、微生物・小動物生き物が棲む。一方、耕すことで生き物の棲み家がなくなり、砂漠になる。耕した畑は雨が降ると保水力がよくなくなる。自然農では畝を一度つくると壊れない限り作り直さない。

畝作りには、自然農の考え方が凝縮されています。

(手順)

@     畝をつくる部分の草を刈る。

前進しながら草を刈り取る。後で畝になる部分に土をのせるので、刈り取った草は脇に除けておく。草を刈るときは根を残し、地際で刈る。自然農では地上部の草は地上で枯らし、地下部の根は土の中で枯らします。土の中では根が張りめぐらされ、根穴構造がつくられています。この構造を人工的につくろうとするためにできたのが鍬でありトラクター。耕すというのは、実は土の中で自然にできあがっているのです。

 

 

A     畝の両側に紐を張る。

通路と畝の境目をつくります。畝幅を決め、その両側に紐を真っ直ぐにはります。足で一跨ぎできる幅、手が届く幅など作業しやすい畝幅を自分で決める。一般的には、畝幅60120p。

B 溝を掘り通路をつくる。

紐に沿って、スコップまたは鍬で溝を掘ります。掘りあげた土は畝の上に盛ります。草の上に土をかぶせると、土のなかで草が嫌気発酵し、虫が湧く原因になるので注意。事前に草を除けておくのがポイント。通路を作ることでモグラ除けにもなる。

C     軽く耕す(畝に鍬を入れる)

畝の部分に土をのせたので、のせた上の土と元々あった下の土との二層構造になっている。そのため、軽く耕し土を馴染ませる。

D     平らにし、鎮圧する

畝に凹凸があると野菜同士で競争し生育に差がでます。平らにして、はじめの環境をそろえることで発芽を揃い目が行き届きやすくなります。

E     刈った草を敷く。

敷草をすることで、微生物や小動物の棲家ができる。草を土の中に鋤こまず、土の上に敷くことで、ゆっくり分解し作物に悪影響を与えない。草などの有機質が分解され堆肥になり土が柔らかくなっていく。草の量に余裕があれば、通路にも敷く。

畝作りも、みんなでやると楽しい。自分の畑でつくるとき、近所に人や知人に呼びかけてにお手伝いに来てもらう。お礼にお昼をだし、楽しくやる。すべてを一人でする必要はない。一人でしていてはつまらない。欠けてていい。欠けている者同士が補完する。稲刈りだからやろうと声をかける。10人いればあっという間にできる。何でもかんでも一人でやると嫌になります。みんなですれば楽しむことができる。農村では近所の農家同士で手伝いあう「結い」という伝統があります。日本では昔からみんなで楽しみながら農をしているのです。 

○レタスの種をまく。

先ほど作った畝の端に、レタスの苗床をつくり、種を播きました。

@       平らにする。

苗床を平らにします。(畝をつくったときに草を刈っています。)

A       種をまく

B       覆土する

苗床の脇から掘り起こした土を使って覆土する。

C       鎮圧する。

鍬の背で鎮圧する。鎮圧し水みちを通すことで、作物の根をしっかり下まで張りめぐらせるようにする。

D       草を敷く。

厚く敷きすぎると、もやしになる(徒長する)ので注意。発芽したときに敷き草を除ける。草がないときには、近所の草を分けてもらう。

○草の中に種をまく

草の中にどうやって種をまくのか。誰でもできる簡単種まき。種をまくのが身近になります。

 

@草を刈る

草があるのは有難い。草を活用して草を抑える。草の芽が出るのには、光、温度、空気、水どれもが必要。刈った草を脇に厚く積み重ねと、下には光があたらないので、新しく草は生えてこなくなる。

B     表土を1cmかきとる。

表土には発芽できる状態で草の種が落ちています。そこに野菜の種を播くと草と野菜で競争してしまいます。そのため、種を播く前に、表土の土を1cmかきとり、草の種をよけます。

なぜ、土はこんなに柔らかいのか。自然農の畑では、耕さず、草を刈るときも土の中に根を残したまま刈り取ります。そのため、土の中は、根が朽ちた後にできる根穴構造というミリオーダー単位の隙間でいっぱいなのです。朽ちた根は、微生物の棲家になり、団粒構造という隙間の塊ができあがります。耕さない土のなかには、眼にはみえない隙間だらけになっているのです。

C     空気を入れる

まったく耕さないというわけではありません。よく根切りと称して鍬を入れることがあります。有機質のない土は、頑なに手を結んでいます。その手をほどいてあげるのです。それは人間でも同じです。初対面だと頑なに手を結んでいる人も、会話をすることで打ち解け、手が開きます。人間関係では会話が重要です。それは理解を生み人を結びつけます。土にとっての会話は空気層なのです。自然農の畑は団粒化が進み、いつも手を広げている状態です。もしも固いようだったら土の中に空気を入れる(耕す)ことで、頑なに手を結んでいる土がほぐれて懐を開けてくれます。開いたところに種を播いていきます。

C 種をまく

E       鍬を使って覆土、鎮圧する。

鍬の頭側を使って土を切るようにして覆土します。その後、鍬の背を使い鎮圧します。

F       草を敷く

乾燥が激しいときには、草をもっとかける。23日後、様子をみて、発芽していれば草をのける。

○ 畑の観察

化学肥料・農薬を使い単一作物を栽培することで経済的に見て、効率良く栽培することが可能になっています。大規模な畑にレタスだけをつくることで経済的に潤っている農家の方がいます。一方、農薬を使うことで自分の体を悪くし病院通いの農家の方もいます。どちらも同じ人なのかもしれません。農薬や化学肥料を使った単一栽培。経済や効率で見れば、はじめは100点なのかもしれません。それでも、どこか無理があるのです。はじめの100点がどんどん下がっていき、体を悪くしたり、マイナスの状態になる可能性があるのです。

自然農は、経済、効率でみると60点かもしれません。60点でもいいのです。無理せず、楽しく続けることが、長い目で見ると続けることができる持続可能な暮らし方だと思います。

 

○ 麦をまく

自然農の基本的な種の播き方には、バラ播き、スジ播き、点播きの3通りがあります。

バラ播きは、畝一面にバラ播く方法で、密植させてもよく育つ菜葉が主で、間引き菜が多く収穫できます。そのため、苗床を作って移植するレタスなどの野菜に適しています。

スジ播きは、約10cm幅のスジに種を播きます。スジ播きは、葉菜やニンジンや小麦といった比較的小さな種で、幼いうちに支えあいながら競い合い生長していく野菜に適しています。例えば、野沢菜・ホウレンソウ・二十日大根・種の小さなアブラナ科などがスジ播きに適しています。

点播きは、種の比較的大きなものや、豆類などのように地上部が大きく繁るものは、適当に間隔が保てるので適しています。例えば、キャベツ・ブロッコリー・大豆・大根などです。点播きの利点は、間引く手間が省けることです。種が少ないときや、なかなか畑にいけない場合には便利です。

播き方にそれぞれ特徴がありますので、それぞれ試してみて、自分にあった播き方を見つけてみるのも楽しみですね。

土地によって、風土にあったおすすめの麦がある。安曇野では、しらね(小麦)、しゅんらい(大麦)。近所の人に分けてもらうのが良い。

今回、小麦をスジ播きとバラ播きの2通りで播きました。

○すじ播き

@ 草を刈る。

麦を播くところに、まっすぐ紐を張る。その紐に沿って、鍬で草とともに表土をはぎとる。そうすると、鍬幅の種を播く部分が、スジ状にできる。はじめの丁寧にすることで育ち方が違ってきます。

 

A     麦をまく

指の間からこぼれるように播く。ほどよい間隔で。一度に播かず、往復して播くと均一に播ける。種まきを丁寧にすると、後々作業が楽になるだけでなく、収穫量にも差がでます。

B     鍬で軽く耕す。

軽く耕すことで覆土されます。

C     種を播いたすじを踏んでいく

覆土した土をしっかり下の土と密着させることで、乾きにくくなり、地中の水分が上がってきて発芽が揃うようになります。

D     鍬で草を刈りながら、すじ上に刈草を敷く。

いっそう乾きにくくなると同時に、鳥が種を見つけにくくなります。

E     敷草を踏む。

 

○ばら播き

小麦の種をいっぱい草の上からそのまま播きました。一度に播かず、往復して播くと均一に播きやすい。播いた後、草の上から踏んでいき、しっかり種を着地させます。草の中に麦の種があるので、鳥に見つかりにくい。種が土に着地して1週間で発芽する。翌年7月上旬から中旬にかけ収穫。

大麦の場合、翌年6月下旬に収穫。また、大麦の穂が出てきた時期が、夏野菜(トマト、キュウリなど)の定植時期。

畑の様子

○田んぼ

622日に田植えをしてから4ヶ月。とうとう稲刈りの日になりました。稲穂の茎の先3分の1ほど白くなったら収穫時。今年の分げつは12本とすこし少なかったようです。それでも、田んぼに立って、実っている穂の姿を前にすると嬉しいものですね。

今回は、稲刈りと稲架掛(はざかけ)をしました。

○稲刈り

農家では、朝露が乾いてから、午前中に稲を刈り、その場に干しておく。お昼ごはんをとって休憩。午後3時ごろから、穂がしなびたところを束ねていき、はぜかけしていきます。今回は、午後に一度にしています。

@       稲を刈る

のこぎり鎌で株元で刈り取ります。今回、稲の背丈が長かったので、ハザ掛けの高さを考え、少しカブ元を残して短めに刈りました。

A 刈った稲を束ねる

2,3株刈り取ったものをひとつにして、三つ重ねます。藁を3本準備して束ねる紐として使い、結びます。

A       稲架(はざ)に稲束をかける。 

田んぼに、はざ「もの干しのようなもの」をつくり、稲束をかけていきます。はざでお米を乾燥、追熟させます。天日と自然の風で乾燥させるので、いっそう美味しいお米になります。

稲束を、はざ「物干しのようなもの」に掛けて干していきます。稲束を4方向に交互にかけていきます。地方によって3方向に交互にかけていくなど他の方法もあります。交互に重ねていくことで、稲束が動かずに固定され安定します。

○あぜ豆(大豆)

田んぼの畦にまいた大豆ももうすぐ収穫ですね。大豆は、もともと田んぼの畦で栽培され、あぜ豆とよばれていたそうです。

大豆の植生は、はじめは、乾燥していないと発芽せず、花が咲く頃に多くの水が必要。一方、田んぼでは、田植え前には水がなく、田植え後に水を入れる。ちょうど、その水の具合が、大豆の植生と重なる。田んぼの畔が大豆にとって適しているのはそうした理由です。

大豆は、各地方で在来種と呼ばれているものがあります。小糸在来。丹波黒豆。みなさんの住んでいるところにもその土地にあった昔から栽培されている大豆があるはずです。地元の大豆はどんなものか探すのも楽しみですね。

1週間前にレンゲの種を播きました。翌年レンゲの花が咲き、枯れた時期が、田植えの時期。今年の田植え前のレンゲ畑を思い出しますね。

 みんなで記念撮影。

振り返りと自己紹介タイム

名前、どこから来たのか、今関心があること。

今関心があることはどんなことでしょうか。