上野玄春さんに贈る言葉 福島修道
敗戦日本の混乱期。
テキヤの親分の血を受けた赤ん坊が産声を上げた。
激しい学生闘争の時代。
自意識の爆発の連続。
若き美術教師に安らぎの日は来なかった。
見た夢を描いた幻想的な作品群。
「自我の海」「怨霊生誕」「林檎伝説」「夢の舞踏」「地下水脈」
創造と破壊が同時進行していた。
夢の世界が彼の精神を蝕んでいた。
夢と現実の境が消えた。
錯乱。
金縛りのまま空中に浮遊している狂気の姿。
恐怖が正気を取り戻させた。
「ナンマンダ」
突然出たナムアミダブツにびっくりした。
職を投げ捨て、仏陀のふるさとインドを目指した。
旅の途上、病をこじらせた。
「このまま インドで死ぬのかなー」
命絶え絶え、聖地ブッダガヤにたどり着いた。
仏陀像の前で瞑想の対話が始まった。
「教えてください。」
「なぜわたしはこんなに苦しまなければならないのですか?」
「お前が人に与えたものが お前に返ってきたのだよ」
「えっー?人を苦しめた覚えはないですよ。」「恋人には喜びを与えたし、」
「ほんとうに、そうかね。」
仏陀は静かにさとされた。
思い返せば、自分の欲望を満たすためにやってきたことばかりだった。
自分の正しさだけを主張して生きてきた若き修羅の目に涙が浮かんだ。
呪縛が解け、魂に光が流れ込んだ。
画風が変化した。
「救済の時」「印度の記憶」「転法輪」「えにし縁」「仏は常にいませども」
「バラタの調べ」「祈りの葉」「光の中で」「緑の中で」「今吹く風」
「南の風」「緑の刻」「向陽樹」「光の夢」「冬の朝」「池の辺り」
命の光を宿す緑の葉の中に
神も仏も妖精もその存在を顕した。
その絵を見る者が癒されるようになり、
その人に会う者が癒されるようになった。
若き日の誓願。
「自分の描いた絵を見るために、遠くから人が来る日が来ますように。」
誓願はかなった。
まもなく、一枚の絵「緑の刻」がパリのルーブル美術館に展示される。
玄春さん。おめでとう。
わたしたちが だいすきな だいすきな
玄春さん、玄春先生、玄春上人が 今、ここに、いる。
多彩な才能を自由に楽しみ、天界の遊びに私たちを招いてくださる人。
玄春さんの優しさ。
玄春さんのここちよい声。
玄春さんのやわらかい笑顔。
玄春さんのみちびく仏教医療ヨガ。
玄春さんの魂鎮めの祝詞。
玄春さんのリードする気の舞。
玄春さんのつかさどる儀式。
玄春さんに愛されてきた余韻にわたしたちは守られ、
玄春さんを深く愛しているわたしたち自身を感じる。
玄春さん。完全なる人、覚者ブッダのさとされたとおりだね。
「与えたものを 与えられる」
創造と破壊、生と死を支配する神よ。
あなたは与える。 そしてあなたは奪う。
私たちの隊列の先頭をゆく導き手のひとりを
あなたはなぜ奪おうとなさるのか!
わたしたちは玄春さんの温かいぬくもりのオーラを浴びていたい。
「あー、安曇野に来て良かった。」
「北アルプスと梓川が、ヒマラヤとガンジス河なんだ。ここはリシュケシだ。」
約束の聖地、安曇野に秋風が渡り、秋雨が降る。
重く垂れた稲穂は刈り取られてゆく。
安曇野の風景がとても寂しくなる。
輪廻の車輪が、きしみながら 回っている。
止まったらいいのに。祈りと瞑想の時が来た。
玄春さんの声で、私たちは呼吸瞑想に入る。七つの呼吸。七つで吸い、
七つで止め、七つで吐きます。
(頭上に美しい白い花が咲いているとイメージする。
これを千遍輪サハースララチャクラという。
吸う時にそこから光が入ってきて、背骨を通ります。
背骨が丁度茎になります。
そして息を止めます。止めた時にはおなか丹田のなかに
根っ子がいっぱい生えていて、そこから栄養が、からだ全体に
流れてゆくとイメージする。
吐く時はおなかから水中にエネルギーが出ている。
そして空中に蒸発してゆく。そのようなイメージで息を吐いてゆきます。
はい。それでは、七つの呼吸、蓮華の呼吸に入りましょう。
回り続けていた輪廻の車輪がゆっくりと停止した。
みんなをやわらかな黄金色の光がつつんでいる。
それぞれの魂の内側から 清らかな泉がとめどなくあふれ出した。
心の傷が癒されてゆく。
ポンとはじける可愛い音が響いた。
今、美しいピンクの蓮の花が ひらいた。南無妙法連華経
玄春さんとアトムさんが育んだ「ゆかり」という名の可愛い花だ。
新しい命の誕生。南無妙法連華経
尽尽御妙の法ダーマの花の世界。
私たちみんながひとつの元につながっている世界。
夜空に散らばる星と星も結ばれて新しい星座が生まれた。
中心の玄春さんの星の光が一段と強さを増して輝いた。
南無妙法連華経 南無妙法連華経 南無妙法連華経 南無妙法連華経
南無妙法連華経 南無妙法連華経 南無妙法連華経 南無妙法連華経
南無妙法連華経 南無妙法連華経 南無妙法連華経 南無妙法連華経
玄春さーん 玄春先生 玄春さーん
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