あずみのクラインガルテン自然農塾 2007.6
【6月一日目レポート「田植え」】6月16日(土)晴れ
梅雨入りをしたにも関わらず、新緑の中、一昨日の雨を忘れるくらい、澄み渡る青空となりました。
先月の大雨の後の晴天といい、一期生は、晴れ女・晴れ男が多いのだろうか... ともあれ、天の恵みに感謝!
一方で、今回はとにかく、5月以降の草たちの成長の勢いに驚かされる月となりました。
シャロムスタッフからの、クライアンガルテンのあかざ畑化警告メールに、今月の自然農塾を待たずに草刈隊と化した一期生は、少なくありませんでした。
野菜畑をあかざが占領しつくす場面、「百聞は一見にしかず」という言葉がぴったりの衝撃でもありました。
左は耕した畑 あかざに覆われています。右は自然農の畑 あかざはでていません。
「にっくき雑草(くさ)」と考えがちですが、
「草が生えるのは、その農地が豊かな証拠。草があり、多種多様な生命(いのち)とともに野菜が育つ自然農の畑は美しい。」、
「"くさ"は、地下水汚染や土砂崩れなどを防いでくれ、また
そして、刈って敷かれた"くさ"の生命(いのち)は層を成し、生き物の食べ物と、住処を残す。」
「耕さない自然農の畑は、動植物のの屍(しかばね)が年輪のような幾層もの重なり、大地を年々肥沃にして永続可能にしてくれる。"くさ"の見方が変わると、"くさ"は大切な存在になる。」
とは、竹内さんの弁。
草は太陽エネルギーを固定できる唯一の物です。もし草がなければ大地が暖まり夜放出する 砂漠と同じ現象 温暖化につながります。草や木があれば 太陽エネルギーを固定して大地に戻し 毎年毎年土地が肥えていきます。そんな意味でもありがたい物でもあります。短期的に見れば草は作物のじゃまになる要素も持っています。長期的な視点も大事ですね。そして嫌われ者の草とどう共生していくかが自然農の醍醐味でもあります。
自然農畑では、2年目の畑が一番大変なんだとか。
耕した1年目はそれなりに野菜が育ってくれるが、その後、年をこした逞しい草に野菜が負けることが多いようです。
2年目を過ぎて、ハコベやオオイヌフグリといった冬草が生えたり、ミミズやヤスデ、クモなどの数多くの虫が住み着き出す
3年目以降は、自然農畑も落ち着いてくるとのこと。
このあたりの様子の違いについては、来月、7月の自然農塾の目玉の一つ、自然農法センター見学で、年毎の変遷が体験できるようです。
さて、6月初日の主題は、そう、「田植え」でした。
4月に撒いておいた「黒米の苗床」から、苗採りを行いますが、苗床から採った苗を束ねるための藁を、稲藁で準備しておきます。
稲藁は、麦藁に比べて、水につけるとやわらかくなるので、扱いやすいそうです。
藁は、さまざまな使い途があり、蓑合羽や草鞋、あるいは納豆作りにと、古来から日本の生活習慣に根付いてきました。
ちなみに、茹でた大豆を藁籠に入れて馬で運搬中、長旅で揺られて納豆になったという説があるそうです。
そうそう、苗床に向かう途中で、今日の晩餐に使う野菜を収穫しておきしましょう。
「玉葱」
玉葱の葉(葱)が自然に倒れた、しかも晴れた日が収穫時です。
葉がピンと立って葱坊主になる、いわゆる「とうだち」は、玉葱が次の種を残す行為であり、食べるには良くないようです。
「夏大根」
根っこをしっかり見て、引っこ抜きます。引っこ抜いた後、大根についた土は、葉っぱにかけずに、土に戻すことに
注意しましょう。
「白菜」
重さ1.8キロ以上が食べごろ。今回収穫した白菜は、3キロ級のジャンボ白菜です。ノコギリ鎌で、根元を切ります。
白菜は、「とうだち」すると花が咲き、菜花として食せます。
菜花の中で一番美味しいのが、白菜だそうです。
それぞれの野菜の収穫をした塾生の顔には満面の笑みが。野菜の収穫には格別の喜びがあるのでしょうね。
これで、晩餐に使うぶんの野菜には十分でしょう。苗床に行って、「黒米の苗採り」です。
今回は、2箇所に陸苗代を作りました。今年の春に草を刈って作った苗代に比べ、以前からワラが積んであった場所に作った苗代の方が生育がよかったです。
苗床の準備は、前年秋から十分に準備しておくことが大切です。
苗採りのポイントは、「稲の苗」と「雑草(くさ)」を見分けること。
パッと見では、いろいろな「くさ」が混じりあっていて、なかなか区別がつきません。
「稲の苗」は、「くさ」に比べて、黄緑色をしていて細長いのが特徴ですが、特に、稲の擬態をする「野びえ」と区別するには、「節(せつ)」に白い毛があるかどうかを見て判断します。白い産毛が出ているのが「稲の苗」です。
また、稲の葉が4.5〜5.5枚の苗を「成苗(せいびょう)」、2.5〜3.5枚のものを「稚苗(ちびょう)」といい、田植えには、成苗を使います。
ところで、日本の米技術というのは、世界トップクラスで、除草以外の研究は、ほぼし尽くされたといっても過言ではないそうです。一苗で、茶碗一杯分のご飯ができるとのこと。
安曇野では、田んぼの水温が冷たい等の理由から、一般的に10本植えにするそうですが、自然農では、苗が光・水・土・風を十分に享受できる1本植えにします。
土一面に育った稲の苗を採るには、鍬やのこぎり鎌で、稲の根を切らないように気をつけながら、ゾーンを決めて土の一部を掘って、稲を選別しながら採ると良いでしょう。
稲の苗を選別するときに、もう一つ気をつけるべき点があります。
それは、「ばか苗」をはじくということです。
「ばか苗」とは、前年にウイルスに感染したもので、明らかに大きく育ちすぎているな、とわかるような苗です。
ちなみに、「ばか苗」は、60度のお湯に10分間つける「温湯消毒」で防ぐことができます。
いずれにせよ、自然農では、苗採りも、人間の子育てと一緒で、必要最低限の手間だけをかけることが肝要です。
田植えに入る前の下準備として、もう一手間。
一握り分の本数の苗を、下部の根で揃えて、藁を巻いておきます。藁は、苗を数回巻いたら、最後にねじって、巻いた隙間にひっかけます。
こうして一束にして、広い田んぼの中に、束を点在させることで、効率よく田植えができます。
次に、自然農の田植えについて。
畑に稲の苗を植えるときは、後退しながら植えていくと、土を自然に足で踏みつけていくので、土の固さがいい感じで植え進めることができる。
苗と苗の間隔は、靴一足分、30cm程度で、苗は最初に植わっていたときより少し深めに植えると、苗がしっかり立って良い。
以下は昨年の自然農の田植えの写真です。
使われていなかった田んぼや、はじめて田植えをする場合に、自然農で始める年は、無理せずご近所の方に代掻き(しろかき)をしてもらうと良いとのこと。それでは、田植えの下準備も万端、いよいよ田んぼに向かって出発です。
田植えの時季も時代によって変遷してきているようですが、昔は、稲をはじめとした「芒(のぎ)」のある穀物の種を蒔く「芒種(芒種)」、あるいは「かまきり生ず」頃の6月6日から半夏至の7月2日までだったということです。
現在は、なるべく早くとゴールデンウィーク前に田植えをはじめる農家が多いようですが、昔の田植え時季に戻る傾向も出てきているようです。
自然農塾では、昔ながらの時季にあわせて、本日6月16日が田植え日です。
ちなみに、安曇野では、「蝶の雪形」が見える時季が昔の田植えのシーズンだったそうです。
なるほど、蝶の形をした雪が蝶ヶ岳の山肌に見えますね。
今回の田植えでは、3種類の苗をそれぞれ1本植えします。
(1) ハウスを使ったコシヒカリの苗
苗の高さは均一に揃っているが、根が絡まっているので、 ほぐしながら植えていきます。
(2) 先ほど陸苗代から苗採りした黒米
苗の高さが揃っていないが、温室育ちでない生命力に期待
(3) 根が絡まない工夫が施されたプラグトレイで
高さを均一に育てられた黒米の苗
前日にシャロムスタッフの皆さんが引いてくれた縦横30cm間隔の線に沿って、水を引いた時に浮かないように、苗は、落ち着く深さまで入れます。
ちなみに、昔の農家では、若い娘さんの田植えの列を決めて、列ごとに植えられた苗の出来不出来を見て、農作業のスキルを判断し、お嫁さん候補を探していたとか...
線に沿って、列を成して、塾生全員で一気に田植えの開始です。
水の深いところもあって、線が見えずに、苗のきれいな列を作るのが難しそうでしたが、植え終わった田んぼの苗は、きれいな列を成し、田んぼから上がって俯瞰すると、なんともいえない達成感が湧き上がってくるのでした。
田植えで泥だらけになった身体を、温泉で洗い流し、さっぱりしたところで、シャロムの森の広場で晩餐です。
レタスのサラダと、キノコのお味噌汁が饗されていますが、今晩のメインは、大きな鉄板2枚で作る焼きそばです。
クヌギやケヤキの木を薪にして、火をおこします。
焼きそばの具材は、お昼に収穫した、玉葱、大根、白菜に加えて、油揚げ、葱、人参、もやし、シャロム流のベジタブル焼きそばです。
「焼きそばに、大根や白菜?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、とれたての野菜をふんだんに使い、火を囲みながら屋外で皆で食べる焼きそばは、やっぱり美味しかったのでした。
いつもよりアルコールが進んでいる塾生もちらほら。
火を囲みながら、皆で語らうなんてのは、何年振りでしょうか?
いきおい会話も弾み、恒例の(?)お香講座に、お香を使った暗闇で嗅覚だけが頼りのスリリングなかくれんぼ、はたまた薪の火の熾し方講座、などなど...
自然農塾の夜は更けていくのでした。
明日も朝は早いぞと思いつつ、雑草の夢にうなされながら(?)
2日目のレポートにつづく...
レポート 中西
はいは〜い!
2日目は、お待ちかね、畑です!
早朝4時頃から畑に出て作業しているメンバーもいれば、昨夜遅くまでファイアーセッションで盛り
上がっていたメンバーは、ヨガが始まる6時寸前までシュラフの中にいたりと、それぞれの朝を迎えました。
安曇野の朝はまだ寒く、朝露の中、軍手や服がびしょびしょになりながらの作業は日中と違ってとても楽です。
太陽が昇ってくると、葉についた朝露がキラキラと輝き出してとても綺麗です。
東を向けば山麓におりた霧が雲のように映り、太陽を背に雲の上に浮かび上がるシルエットが幻想的でした。
西を向けば太陽の光を浴びた穂高に積もった雪と快晴の空、白と青のコントラストが素晴らしい!
まさに絶景です☆
さて、本日はまずシャロムのクライインガルテンで午前中の作業開始です。
昨年蒔いた小麦が大きく成長を遂げています。
大麦には、特徴のひとつである「ノゲ」といわれる自己防衛装備がついています。
「ノゲ」は鳥から身を守るためのものなので、ツンツンとしていて麦一粒ずつについています。
麦にはノゲのついてるものとついてないものがあり、鳥に食べられやすい小麦にはついていません。
また、麦の収穫は米に比べて早く、「麦は18歳、米は27歳」と言われるように若くして刈り採るそうです。
すでに鳥に食べられた形跡があり、このまま放置しておいたら壊滅する恐れがあるので、後ほど少し保護してあげましょう。
右写真はぐっさんが蒔いた泥団子
スタッフの方に準備して頂いてる間に、「夏野菜の仕立て方」について教えて戴きました。
野菜たちのつぶやきに耳を傾けて下さい。
◆トマト◆
つぶやき・・・
私の身体(茎)には産毛が生えていて、その産毛から朝、空気中の水を吸うの。
可愛らしい外見とは違って、こう見えて私肉食なのよね。虫が寄ってきたら産毛から少しずつ食べるのよ。
私ね、水と光が大好きだから、他の草の陰にならない様こまめに草刈りをしてね。
そしたら大きく育つから。
逆に嫌いなのは、風。ゆらゆら揺れて不安定だと安心して出産(実が成ること)できないから、支柱に寄せて安定させて欲しいのよね。
その時、かける紐は八の字にして、身体(茎)の部分は緩めで、支柱にはしっかりかけてね。
大きくなったとき身体(茎)が締め付けられると苦しいから。あと、花の部分で縛らないように注意して。
それと、脇芽が出てきたら摘んでね。これを「芽かき」っていうんだけど、脇芽を成長させるのに余分なエネルギーを使っちゃうと出産する(実を成らす)余力がなくて、遅れちゃうのよね…
かいた芽で大きいのは、さつま芋と同じ様に挿し木にするとまた大きくなるから。
一度死んだフリするけど、その時は自立した根をはっている最中だから、安心して見守っていてね。
●小玉トマト・・・Ex.イタリアントマト等は「芽かき」不要 芽かきをせずに一斉に収穫
●大玉トマト・・・Ex.桃太郎等は「芽かき」必要 芽欠をすると実る時期がずれる
◆キュウリ◆
つぶやき・・・
第一子出産(実が成ること)は早いのよね。その子が少し大きくなったら安心しちゃってもう二人目はいらないから、それ以上私自身が育つことはないわね。
たくさん子供(実)を産んで欲しいなら、5〜10節までの子(実)は可哀想だけど芽かきをして。
私もトマトと同じ様に風が苦手なの。安定する為に手(蔓:つる)を伸ばして何かに捕まりたくなるのよね。
だから、手(蔓)は絶対に取らないでね。
<キュウリの健康診断>
●健康・・・葉の外側がツンツンしている。
●不健康・・・葉が反ってくる。
◆ナス◆
つぶやき・・・
僕はインド人。温暖好みさ。
キュウリと同じ様に最初の実は親指くらいの大きさまでには取ってね。実が大きくなってから取るとダメージが大きいから。
葉の葉脈は根のはり方を表しているんだ。元気な葉の葉脈は新しい根のはり方、弱った葉の葉脈はポットの根のはり方を表しているんだ。
トマト、ナス、キュウリともによい実を成らす為には「芽かき」作業が必要となってきますが、これは必要最小限に人の手を加え自然により近い形を保つ育て方で「自然型」と言います。
一方、「芽かき」をしないで芽を残す育て方を「野生型」と言います。この場合、他の芽を伸ばすのにエネルギーを使うので養分が分散される為、茎・葉・実が一気にワーっと増えますがひとつひとつの実は小さくなります。
さてさて次は、スタッフの方に切って頂いた支柱を使い、小麦を保護してあげましょう。
鳥はキラキラするものを見ると羽が引っかかると思い、近寄ってきません。
その特性を生かして、小麦を囲む様に支柱を立て、ナイロンの釣り糸を張りめぐらせます。まずは支柱の周りを、その後内側をジグザグに。ポイントはよく光らせる様にピンと張ることです。
これで来月か再来月に小麦の収穫ができるでしょう。
皆さんでうどんを打ってもよし、ピザを作ってもよし!楽しみですね☆
次は、ジャガイモの芽かきです。
ひとつの種芋から数本の芽が出ていますが、2〜3本残してその他の芽は株元を押さえながら抜きます。
ひとつひとつ掻き分けて、数えながら行う作業にみんな集中しています。
ジャガイモは地温が25度以上になったらそれ以上育たずに枯れるので、その前に収穫しましょう。
お隣に植えたトウモロコシも順調に育っていました。
種を蒔いた上に刈草を被せておいたので、他の草が押さえられトウモロコシの芽は見つけやすかったです。
2粒蒔きをしたので、2つ芽が出ているところは小さいうちに移植します。
新しい移植先の草を地ぎわで刈り、刈った草は他の草を押さえる為に畝の上に敷いておきましょう。
準備が整ったところでお引っ越し。土ごと芽を取り、30cm間隔に真っ直ぐ生えていた状態で植えます。
気づかれない様に、悟られない様に…手早く行います。
トウモロコシは他力受粉で、風によって受粉するとのこと。
ついでにトウモロコシの種も蒔きました。
ここで竹内さんより、トウモロコシについて余談です。
トウモロコシを主食とする地方では、男性は良い種の見極めができて一人前とされるそうです。
一家の大黒柱となる男性は、種の目利きの出来、不出来で家族の行く末が左右されるのでとても重要ですよね。
さらに最近では、農業技術の開発が進み遺伝子組み換え種に次いで、「ターミネーター種」という新たな種が開発されているそうです。
ターミネーターとは、”滅びゆくもの”という意味があり、種にスイッチが入っていてある農薬を撒くと芽が出る。
逆にいうと、その農薬を撒かないと芽が出ないという仕組みになっているそうです。
技術革新は凄いことですが、結局企業戦略のひとつにすぎない様に思います。本当に必要なものなのでしょうか…。
次に大豆の種蒔きをしました。
蒔き方は多品種混合の3点蒔きです。土の状態が良く、フカフカしていたので蒔くところだけ少し押し固めてから草を刈り、移植し易い様に少し間隔をおいて指で3箇所穴を開けます。
その穴に1粒ずつ種を落とし、土を被せず草をかけます。
カラスノエンドウなどの冬草は自然に枯れていくので刈る必要はありません。
この大豆は冬の味噌作りに使われる予定です。大きくなぁ〜れ。
◆大豆の特性◆
最初は乾燥を好み、花が咲いた時に水を吸う特性があるので、田んぼの畦に植えるのは理に適っていると 竹内さんの談。
根につく根粒菌は、豆が作った水や養分を溜めて空気中の窒素を固定します。土地が痩せていれば痩せているほど根粒菌が増えて固定する窒素の量も増え、結果その土地は肥えてきます。
イネ科のトウモロコシとマメ科の大豆の相性がいいとされるのは、土の養分をたくさん吸うイネ科のトウモロコシを植えた後、そこの土地は栄養不良状態となります。そこにマメ科の大豆を植えることで再びその土地の栄養状態が回復するからです。
窒素には植物が吸収できるものとできないものがあり、根粒菌が固定する窒素は「可給態窒素」と呼ばれ、水溶性で植物が吸収できるものです。
また、根粒菌に固定される窒素は、化学肥料と違って水に流れる心配がないので必要なときに必要な分の窒素を吸収することができるのでとても便利です。
豆と根粒菌の持ちつ持たれつの関係は私たちも見習うべきところですね。
大豆は窒素リン酸カリで育つということを最初に発見したのはドイツ軍だそうです。
過酷な戦闘を戦い抜くため、軍人の大事な食料源として栽培されていたことが伺えます。悲しい歴史の陰で大きな役割を果たしていたのでしょうね。
大きく育ったレタス。そろそろ収穫時期でしょうか。
これはなんでしょう?
・・・答えは大根の種です。初めてみた方も多いと思いますが、一見枝豆みたいです。がしかし、一口食べると青臭い味がしたと思ったら大根の辛味がしてきて、間違いなく大根です。中に綿毛があり、そこから発芽して根をはるそうです。
大根の根は東西に向かって生えるので昔はそれで方角がわかったそうです。その後、根を回転させながら徐々に育っていくという竹内さんのお話に、みんなへぇ〜と合唱していました(笑)。
右の写真はアマランサス
続きまして、小豆の種蒔きをしました。
蒔き方は大豆と同様で3点蒔きです。上記参照ください。
30cm間隔に印のついたロープを引いて、1人2列ずつ一斉によーいドン!
みんなでやればあっという間です。お腹が空いてエネルギー不足にも関わらず、最後の力を振り絞って頑張りました。
大豆は一斉に花をつけて収穫するとのことですが、一方の小豆は花をつける時期が異なるので収穫時期もずれるそうです。
ブランチ前の最後の作業は、野沢菜の種取り@です。
一見カラスノエンドウが枯れているのかと見間違えるほどよく似ています。
比べて観ると先が細くなっていてエンドウとは違う形をしていました。
枯れてよく乾燥している状態のものをポキポキと折って採りました。
ここで再び竹内さんより余談です。
◆野沢菜のルーツは天王寺蕪(かぶ)
京都や大阪は、昔から日本文化の中心とされてきましたが、野菜もその例にもれず、いくつもの優良品種があります。
例えば、京菜・千匡(みぶ)菜・すぐき菜・聖護院大根・九条ねぎそして天王寺蕪。
野沢菜はこの「天王寺蕪」がルーツといわれています。
◆種子を持ち帰ったお坊さん
宝暦6年(1756)、野沢の名刹健命寺の第8代目の住職晃天瑞大和尚は京都に遊学しておりました。
そこで手に入れたのが天王寺蕪の種子。さっそく持ち帰って植えたところ、葉柄、茎丈の大きい不思議な「蕪菜」に成長しました。
野沢温泉は標高600m、1月の平均気温が零下6度という高冷地です。温暖な西国育ちの天王寺蕪は、野沢温泉の気候や風土により、特産「野沢菜」に生まれ変わってしまったのです。
地元野沢温泉では昔から野沢菜漬けのことを、葉柄が大きいことから「おはづけ」と呼んでいます。
さてさて、待ちに待ったブランチです☆
皆さん美味しそうなご馳走に目を輝かせ、いつもよりたくさんお皿にとっていまし
た。
本日のメニューは、玄米、ひよこ豆のカレー、スパゲティ、味噌汁、全粒粉パン、お
粥パン、フォカッチャ、焼き里芋、サラダ、ぐっさん浸け(!?)です。大地の恵みと
作ってくれた人に感謝です☆
太陽の下、みんなで食べる食事はやはり美味しいですね。至福の時です。
エネルギーを蓄えたところで午後の作業開始です。
まずは、午前中に採った野沢菜の種取りAから。
平らなところにビニールシートを敷き、その上で木づちで種が入っている部分を叩きます。
すると弾けて中から黒ゴマみたいな黒い種がでてきました。
叩く以外にも、シートを覆い被せて足で踏み踏み。ダンスを踊りながらやると楽しいですね!
大体とれたら、枝つきの大きい殻は除けて、後は細かい手作業で…手でこすったりして残りの種を取り出します。よく乾燥しているものは少し触っただけで、弾けて中から種が出てきます。
その他にもマスタード、ゴマ、和辛子も同様にして種取りします。
さらに殻と種を分別する為にふるい(?)等にかけます。
最後に、箕に種を移し、宙に舞わせながら息を吹きかけて細かい殻やくずを取り除く「風選」という作業を行い終了です。
その後は、各自のクラインガルテンで思い思いの作業を進めました。
もともと熱帯で育つスイカは、まだまだ朝晩冷え込む信州の地で育てるのが難しい様で、麻袋やビニル袋などで囲いをして、風除けをしてあげましょう。
ここへきて少しずつ各自の畑に個性が見られてきました。
同じ野菜でも成長具合がそれぞれ全然違っていたのにビックリ。
マメに見て手をかけてあげた分、野菜は大きく育つのでしょうか。体験スタッフをしていた森ちゃんの畑の野菜はどれも立派に育っていました。
わが子のごとく、やはり目の届くような近い場所で育てるのがいいのでしょうね。
今日は昨日に引き続き天気に恵まれたのはいいのですが、日中の作業はやはり暑さと
の闘いでした。
慣れない炎天下での作業は思いのほか堪え、途中で心が折れてしまいそうになるほど。
畑での農作業はやはり早朝に限りますね。
ぐったりしている皆さんを見兼ねてか、途中休憩をしましょうと竹内さんが声をかけてくれて一時中断。
水分補給をしながらワイワイ話している時間は楽しいひとときです。
今回も皆さん各自収穫した野菜をお持ち帰りしていました。
汗水たらして育てた野菜には愛情が込められていて、格別に美味しく感じます。
例えスーパーで売られている野菜と同じものだとしても、自分にとっては特別であり、皮も根も食べようとか、できるだけ野菜本来の味を楽しみたいとの想いから、味付けはシンプルに塩だけで食べようとか、大事に
感謝の気持ちをもって戴くようになりました。
命の恵みに感謝、大地の恵みに感謝、太陽の光、水、風に感謝。
不思議と、野菜の育みとともに感謝の気持ちも育まれているように感じます。
これからも自然農を通じて多くの学びと感謝の気持ちを得ていけたらいいなぁと思いました。
次回は、自然農法センターと竹内さんの畑の見学ですね。とても楽しみです。
レポート 三浦志保
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