対して竹内さんの房州早生は自然な茶色。小ぶりな空豆で薄皮も食べられます。
エンドウはの種蒔時期が一般に10月〜春となっているそうですが、春はすぐ暖かくなってしまうのであまり量が取れないそうです。
豆類は寒温性といって寒さに当たる事で種をつけようとするので、秋に蒔いて冬越しさせるのが良いのだとか。
竹内さん流エンドウの蒔き方のポイントは、麦と一緒に蒔く事。
それと巣蒔きにする事。
麦と一緒にするのは大きく育ってくると寒さに弱いエンドウを一緒に育った麦が防波堤のような役割をして守り、背の高い麦にエンドウがしがみつく様にしてどんどん成長できるから。
またムシが付きにくいという利点もある。エンドウにつきがちなアブラムシはまず麦の方につくので、エンドウの方にアブラムシが付く頃には、麦のアブラムシに吸い寄せられたテントウムシなどがやってきてアブラムシを食べてくれるというのです。
虫達の動きを良く観察した上での知恵なんですね。
◆エンドウマメ
種蒔きは麦とエンドウを1:1の割合で混ぜ合わせ、
軽く掘った穴にゴチャゴチャっとそれぞれだいたい5〜9粒ずつぐらいを入れて土を被せしっかり押さえる。
土の中に入った種の状態が鳥の巣のように見えるので巣蒔き。
巣と巣の間はエンドウと麦なら15〜20cm間隔ぐらい。
土を押さえた後、いつもは避けた草を上に戻すのですが、今回はそのまま。
土の黒い部分を出しておいて太陽の熱を吸収し温かくするためだそうですが、 あまり温かくても芽が出ないので、温暖な地方などでは草をかける。
これは空豆や小麦でも同じ。
麦が伸びてきたら挟む様にして2本糸を張って倒れないように支えても良い。
◆ソラマメ(市販の方)
エンドウと同じく巣蒔き。巣と巣の間隔はもう少し空けて30cmくらい。
プクっとした黒い割れ目がある方(お歯黒)を下にして2粒ずつ蒔く。
芽が出てくるお歯黒部分を下にするのは、この部分が太っているため、 上に向けていると芽が伸びる際に土の中で引っかかり真っ直ぐ伸びないという事故を防ぐため。
次に蒔く房州早生はこの部分がそれ程太っていないので、特に下に向けるよう気をつけなくても良い。
土の掘り方、寄せ方はエンドウマメと同じ。
◆房州早生(ソラマメ・自家採種)
市販のよくあるソラマメより小さめ。一つの鞘に3粒くらい入っているので、 同じように3粒まく。後は上記の豆と同じ。
自然の状態では、豆は鞘に入ったままで枯れて落ち、鞘が水分を吸って時期がくると鞘の間から芽が出る。
まさしくこの状態が愛ちゃんの大豆畑で今回見られました。
生命なんだから当然の事なんだけど、自然に循環している姿を目の当たりにしてちょっと感動しました。
◎小麦の蒔き方
小麦はその地方地方で土地に合った品種があり、関東では農林61号が多い。
今回は千葉のアオバ(だったと思うんですが、メモは忘れていたので違ったら訂正して下さい)。
茶色い部分がグルテン質で、これが多いと強力粉になる。
グルテン質を上げるため、種を蒔く時にフスマやヌカを撒く方法もある。(但しこれらが葉に付くと発酵してしまうので、葉が出てきてからは撒かない。)
撒き方には以下の3つの方法がある。
@ばらまき: 一反で10キロ必要。数で勝負の痩せた土地に向く。簡単。
Aすじまき: 一反で5キロ必要。 肥えた土地に向く。
Bてんまき: 一反で3〜4キロ。 肥えた土地に向く。蒔くのにコツが要り時間がかかる。
ばらまきとてんまきをしました。
@草と土が混ざらない様に表面の草を刈り、一方に避ける。
A溝をつくる。小麦は小さいので浅めに。幅は10cmくらいでした。
B根切りをする。
C平らにならす。
D種を蒔く。 ばらまきなら3cm間隔。
てんまきは20粒くらいをまとめ蒔き、それぞれの集団の間隔を10〜15cmあける。
ばらまきがお互いが邪魔にならないようゆったりめに間隔をとるのに対して
てんまきはまとめる事で種同士が仲間として認識し、一緒に力を合わせて成長するように促す蒔き方。
こうゆう話をきくと、種が人間の子どもに見えて一気に親近感がわきます。
どちらも元気に育ってください。
◎寄り道
次のソバ収穫に向う途中、みっちゃんの畑に見事に実るゴマ達を発見。
今にも爆ぜそうになってましたよ、みっちゃん。
ちょっと拝借してみんなでゴマの実を見させてもらいました。
実の中にぎっしり詰まったゴマ。金ゴマだ〜輝いてる。これを水で洗って(洗いゴマ)料理に使います。
もちろん食べる竹内さん。私も残りをちょっともらいました。美味しいです。香ります。
◎ソバの収穫
ソバを刈る時に気をつけたいのは、大事な実を落としてしまわない事。
からまないように気をつけて刈るのは当然ですが、
水分の多い午前中のうちに刈るのもコツ。実がしっかりついています。
植物はみんな夜の内に夜露を吸っているので朝が一番水分が多いのだそうです。
逆に叩いて実を落とす時は乾いている方が落ちやすいので、昼に行うと良い。
ある程度の量になったら紐で束ねて横倒しにして2〜3日乾かします。
こうすると茎から水分が抜けて危機感を持ったソバがより種にエネルギーを向けるらしい。
こぼれ話B
ここのソバ畑は草の間にばらばらと種を蒔きましたが、
ぐっさんは草を刈って筋蒔きで畑に種を蒔き、すぐに鳥に食べられてしまったそうです。
これに対して竹内さんは、朝種蒔きをすると必ずどこかで鳥が見ていて人が引き上げた途端やってくるから、暗いのが苦手な鳥目の彼らに見つからないよう夕方に蒔くと良いよと答えていました。
鳥の目を気にして夕方に種を蒔くというのが、なんだか微笑ましいような長閑なような気分になったのは私が農の素人だからなんでしょうが、何にしろアブラムシやらテントウムシやら鼠やら鳥やら、人間以外の生命の動向をいつも考えている生活というのが新鮮で、逆にそんな事を考えずに生きていた自分の生活がとても不自然な事のような気がしてきました。
太陽の動き、月の動き、動物の動き、植物の動き、微生物の動き、菌の動き、いろんな事を考えてこそ成り立つ自然農の生活が本当はもっとも人間らしい生活なのかなと、そんな事を考えさせられたぐっさんと竹内さんのやり取りでした。
◎ブランチの後、土曜日が雨だった為に順延した今回のクライマックス、稲刈り。
まず稲を刈って3株ずつくらいに束ね、逆さにしてはざがけしていきます。
前日チラっと見た風雨の中の稲の風景も心がザワザワとして印象的でしたが、晴天の下キラキラ光る黄金色の田んぼもまた、溜息の出る美しさ。
こんな光景が見られるのも、ぐっさんが水の管理や草取りと、細やかに気を配っていてくれたお陰。
目の前に見えるものだけでなく見えない所でどんな事があったのかに思いを馳せる事も大事だと思うと、最後の感想会の時にイッシーが言っていたのですが、本当にそうだなと思います。
ぐっさんをはじめスタッフの皆さんに感謝です。
◆稲刈り
最大の注意点は鋸鎌の刃を必ず下に向けて刈る事。
うっかり指などに当たると血や肉や骨を見る事になるから、です。
自分の骨は一生見たくないので刃の向きには充分注意して刈りました。
最初はモタモタと刈っていたのですが、ぐっさんや竹内さんの指導のもと皆どんどん刈っていきます。
コツは腕の力で切ろうとせず、体を後ろへ引く力を利用し刃を全部使うようにして一気にザクっとやる事。
◆刈った稲の置き方
次の束ねる事とはざ掛けにする工程を考慮して、置き方にも工夫があります。
3株を一つの束にし、はざ掛け時に7:3(だいたい2株:1株)の分量に割って掛けていくので 一株ずつ穂先を揃え、扇状に三株重ねて置いて行きます。
そうすると束ねて7:3に分けるとき、簡単に分かれる。
◆稲を束ねる
予め水に浸して柔らかくした藁を2〜3本使って3株を1束にまとめる。
扇の重なった部分に藁を通してギュッと纏め、両側の藁を互いに引っ掛けて逆方向に引っ張る事でロックし そのまま藁を纏めてグルグル捩り更に縛りを強くする。
最後に端を捻じ込んで、先を揃えて終わり。ああ、上手く説明出来ません。
お手本をやって見せてもらって実際にやってみても、飲み込むのに私はかなり手間取りました。
束ね方が緩いとはざ掛けをした時に抜け落ちてしまうので、しっかりぎっちり束ねるのが大事。
◆はざ掛け
まずは稲を掛ける台を棒で作ります。
足用の両端は支えを入れて3本、間は2本の棒をクロスして木槌で固定し紐で縛る。
そこに長い棒を渡していってはざ掛けの台をつくる。
束ねた稲を7:3に分けて7の分と3の分が交互になるように掛けていく。
こうすると棒にかかる重みが最終的に均等になって倒れない。
1束1束押し込むように押さえて、ギュギュウに詰めて掛けていきます。
この時、束ね方が緩かったり、3株に分けてから束ねていたなかったりするとはざ掛けできません。
不合格の稲束が出るたびに、自分がやったやつだったんじゃないかとちょっとオロオロ。
後で聞いたら同じように思っていた仲間は意外と多かったようです。
だいたい一反(およそ100u)で60キロの米が取れ、ちょうど一人分/1年ぐらいになるそうです。
2〜3人の家族なら300uくらいの田んぼで良いのでは、との事。
それにしても初稲刈りという事を差し置いてもかなりの労働感でした。
(翌日、私はやっぱり右腕が筋肉痛を起こしました。力の入れ具合が変だったのと、日頃の運動不足・・・。)
疲れました。ここからまだ脱穀があるんですよね。
畦作りから始まり田植え、草取りと、田んぼの仕事のほんの一端を手伝ってきただけですが、
ゆうこさんの林檎のケーキ、美味しかったです。
土曜日の夕飯もご馳走様でした。
感想会でがんちゃんが、今までたくさん田んぼは見てきたけけど自然農の稲は匂いが違った、と言っていたのが
回りに田んぼのない中で育った私には驚きでした。
いい匂いだなぁと思っていましたが、他の田んぼとは違うんですね。
・採れた野菜への感想
今回採れた春菊を土曜日のゆうこさんの夕飯に倣って生のまま食べてみました。
やわらかいし甘いし程よい春菊のクセと鼻に抜ける香りの良さに家族みんなで感激です。
カブは小さなものは生でもとても甘くて、大きく育ったものは浅漬けにして食べました。
自分で採れた貴重な野菜たちが嬉しくて、利き酒でもしているかのように真剣に味わってしまいます。
自然農の野菜は香りも強く瑞々しくて、命を頂いているんだなぁと実感できる。
この塾に参加してみて良かったなぁと思うことの一つです。
以上、日曜日のレポートでした。
小川美保子