2010自然農ギャザリング
12月5日 晴れ
朝起きると竹内さんが言っていた通り、畑は霜で真っ白です.今日はシャロムはもう
休業中なのでモーニングヨガに起こされることもなく、みんなのんびりと寝ていました.
「おやじさん」こと臼井さんも、東京にお出かけ中ということで、スタッフの方もマッタリ
集合で...7時30分の集合時間にいたのは、イッシーさんと数人の塾生のみ.
新井さんが早速、手際よく木を集め焚き火をはじめ、集まっているメンバーで暖を取り、
昨日からゆでている大豆のいい香りをかぎながら待っているうちに、竹内さん、
スタッフの方、塾生まったりと全員集合.また今回はシャロムの元名物スタッフの
ゴカさんが飛び入り参加となりました.
そして今日の最初のメニュー、味噌作りスタート.
まず、イッシーからの味噌作りの講義です(これがシャロムでの最後の講義・・・).
これが昨日出来たばかりの麹です.花が咲き出すと麹は完成で、食べると甘くて
おいしいです.麹は寒さには強いです.暑い時に作ると雑菌が混じるので、味噌
は寒いときに仕込みます.最初に塩きりといって、塩と麹を混ぜます.次に大豆
をミンチマシーンでミンチにしてパン2斤位の大きさにまとめて、麹と混ぜて半年位
で味噌が出来ます.
味噌は1人5キロ持ち帰ります.
分量としては麹が30キロ、大豆が30キロ、塩が12%位.高いものは25%.長野で
は麹と大豆が1対1ですが、白味噌は2対1で麹の方が多いです.白味噌は1〜2
週間で出来ますが塩分が5%で腐りやすいです.なので白味噌は酒粕を入れて
保存しやすいようにしています.
竹内さんから、塩きりについて補足説明.麹を塩きりするのは、麹が多くて塩が
少ないと発酵しやすくなります.結果、味噌が出来上がるのが早くなるのですが、
一方で劣化も早くなり保存が効かなくなります.塩を入れると麹の発酵がゆっくり
になるので、塩きりをするわけです.
塩きりしておけば、麹が味噌と混ざったところにはかならず塩があります.通常、
味噌は空気に近い上が腐りやすいのですが、塩と麹がきちんと混じっていないと
中から腐ってきてしまいます.なので、麹が味噌にまんべんなく混じるように
工夫します.
塩きりは、蕎麦の回しの要領で均一に混ぜます.
味噌は家に帰ったら、長期保存する場合は消毒した樽に移すか、ない場合は
ダンボールのまま上にタウンページでもいいので、重しをします.重しをする
ことでまんべんなくつかるようになります.
講義終了後は、大豆ミンチマシーン係、それをパン2斤位にまとめる係、ゆでた
大豆を運ぶ係等に分かれて、作業を進めます.一番体力いるのは大豆
ミンチマシーンをくるくる回す係ですが、ここは若い佐藤さんと馬力のある
コムさんが力を発揮し、オヤジの私はすぐにあごが上がりました.
味噌作りの準備が終わった9時30分.餅つきのスタートです.最初に新井さん、
前田さんの餅つきベテランが模範演技・・・さすが.次にぐっさんが餅つきの杵
の使い方の模範講義.塾生が交代につきます.来年から新しく農業スタッフに
なる若い方には、ぐっさんから心温まる厳しい指導も・・・来年かんばって、
ぐっさんを支えてくださいね.
餅つきも終り、10時30分ブランチです.もうシャロムは休業なのでついた
餅がブランチです.黒い玄米餅と白い餅を食べます.白い餅はきなこ、
またはエゴマで.黒い玄米餅はとりたての大根をすってつけて食べます.
玄米餅をすった大根で食べたものはメチャうまかったです.竹内さんは、
来年もこれやろう!とおっしゃっていました.
自然農塾、最後のブランチが終わった11時30分、大豆玉と麹を混ぜ
味噌作りをはじめます.ただ混ぜるだけなのですが、樽につける時は
混ぜて投げて入れていきます(空気を抜く).
持ち帰ったら10度以下のところ、ずっと涼しいところに保管してください.
味噌は表面が一番かびやすく、次が側面です.表面がかびた場合、
白かびだったから混ぜ込んでしまえばいいです.黒かびだったら取り、
器の回りをアルコール消毒します.
味噌を箱に詰めた後、いよいよ最後の畑作業に向かいます.
収穫と撤収・・・ついこの間畝作りしたばかりのような気がしますが、
もう終了とは...
14時30分.3月からの想い出が詰まった地下ドミトリーに向かい、
今年の振り返りと来年のヴィジョンを語り合いました.以下話した
順番どおりに.
篠宮(私)
「自然農の世界には去年から入りましたが、シャロムの自然農塾に来て、
自分が求めていたものは足るを知る生き方、そのような東洋的な価値観だと気づきました.
だから農業をやろう、移住しようというのではなく、来年はその価値観を深めるべく、
自然農はやりつつも東洋医学、経絡指圧とかをもっと勉強したいと思います」
鴨下さん「
安心できる野菜を自分でつくりたいと思い自然農塾に来たわけですが、
いろいろな方と話をしていく中で、移住するとか農業をやるとかではなく別に仕事を
持ちながら自然農をやるということだと思いました.来年は毎週一回は畑に行くという
スタイルを確立し、食費を軽減できたらと思います」
村田さん「都市部で生活して消費するだけの人生のむなしさに気づき、
自分で食べるものは自分で作るという素朴な魅力に気づきました.来年は今年
学んだことを生かして実際のフィールドでひとつずつ、出来ることから実践して行きたいと思います.
ただ消費するだけの人生から違う視点をもって生きたい」
鶴森さん「安全な食べ物に興味を持ち、自分で作れるようになりたいとシャロムにきました.
この一年を通じて季節ごとの変化に感動したり、自然に対して優しくなり計算通りに
行かないことも楽しめるようになりました.来年は経験を無駄にしないように、
家の近くで畑を借りたり、出来た野菜をムダにしないよう料理のレパートリーも増やしたい」
みちるさん「1年間ありがとうございました(2年でしょう!との竹内さんの突っ込み).
去年で終わらず今年も来てよかった.課長の話も含め新たな発見もたくさんありました.
自然農の考え方は大切だし、小学生にも学べば地球も変わると思う.来年はもっと
やりたいことをやる、行きたいところにどんどん行きたいと思う」
今林さん「自然農で畑をずっとやりたかったので、やれるようになってとても
楽しい1年でした.最初着た時から、ずっと毎月楽しく過ごすことが出来ました.
シャロムでは毎月1回しかこれなかったので、来年は家の近くで畑を借りて
季節の変化をもっと感じられるようになりたいと思います.」
馬渡さん「去年、世田谷で自然農をやりはじめ、今年本格的にやりたいと
参加したのですが、目指すのはこれだと確信が持てました.11月に川口さんの
講演を聞いて竹内さんの話と重なるところがあり、貴重な経験をしたと思いました.
来年は自然農を続けて、自然農を知らない人に自然農を説明できるようになりたい.
畑とカフェをやるべく準備もしていきたい」
飯田さん「去年から自宅のベランダで有機野菜をやるようになり、自然農に興味を
もつようになったが、参加してみて自然農は肥料もやらずに野菜が育つことに驚き
を感じました.来年は近くで畑を借りられるようになったので、それをやるのと穀類をやりたい.
今年は仕事より習うことを優先したので、来年は仕事と畑のバランスを取りながらやりたい」
小向さん「なんとなく畑、農業をやってみたいと思って参加したのですが、
自然農の土ってこんなにすごいんだと思いました.春先のふかふかの土の
感触が忘れられません.ああいう土地が欲しいと思っていたのですが、
偶然伊豆で農業をしつつ借りられるペンションを見つけたので、
来年はそれをやりたい.シャロムで経験したような生活をしてみたい.」
佐藤さん「自然農に興味を持って来たのですが、春先のハコベを見ただけで
着て良かったと思いました.ひとりでは経験できないことを経験してよかった.
来年以降はここで学んだことを佐久の実家の畑で実際にやっていきたいと思います.
長野に住んでいて実感はなかったのですが、恵まれたところなんだなと気づきました.」
前田さん「今年の三月の反省会でこれからどんなドラマが待っているかと話し
たのですが、本当に素晴らしいドラマが待っていました.一年やってみて自分が
考えている程自然はあまくない、逆に自然に教わらないといけないと感じました.
来年は新しい土地をパーマカルチャー菜園にするための準備をしていきたい.
何年か後には虫も来る、人も集まる楽園にしたいと思っています.」
新井さん「この1年自然農について経験し、理論的にも学ぶことが出来、
これからの人生の方向性を決めることができました.一瞬だったかもしれないが、
自分で蒔いた種で野菜を収穫し、それを食べる事がてぎたという経験は感動物でした.
来年はこの自然農を継続したい.そのために、来年も出来るだけ
安曇野に来て勉強していきたいと思います.」
以下欠席された方より
稲垣さん「自然農との接し方が体験を通じてより深化しました。
自然農は単に野菜を育てるのではなくて自然を知り、自然と遊び、
生命を感じることなのだとわかりました。
来年は三重で自然農を今の倍の1反で試します。
稲作ができるところがあれば稲作も挑戦してみます。夢を確実にものにします!」
宮崎さん「シャロムにいると山と大地のエネルギーがくるくると渦をまいて
脳みそと身体がいっしょにくるくるしてきて、知らないうちに浄化しても
らっていることに気づかされます。
臼井さんやたくさんの賛同者たちがそこに心を込めて、
創造している何かが私たちに注ぎこまれているのだと感じます。
期間的に半分くらいしか参加できてなくても それでも貴重なかけがえのない
不思議な塾でした。まだ持っていない小さな自分の庭の中に自分の
好きに花や野菜を植えていろんなものに生えてきてもらって、
それと共に生きるというか、眺めて暮らしたいとかそれが夢です」
渡邊憲子さん「自然農を実際に体験し、毎回のように感動
したことがあります。
それは、野菜の本来の生き方を教えていただいたことです。
自然の仕組みを理解し、野菜本来の能力が発揮できるように
環境を整えてあげれば自然のままに野菜も育っていくという
のが感動でした.来年は、今借りている自分の畑にもっと愛情
をかけ、自分の住んでいる地域や自然や人を大切にしていき、
地域で人と自然にかかわることを仕事として実現させていきたい
と思って動き出しています」
渡辺真江さん「田んぼも畑も生活の一部として、たんたんと
していきます。田んぼも畑も、いるだけで、幸せや大きな
安心感を感じます。田んぼや畑を一緒にする仲間を
どんどん増やしていきます。そして、小さな村を作り上げます。
シャロムの畑の心地よさや、ハッピーヒルの力強さがとても印象に残っています。」
最後にスタッフの皆さまからの一言です.
ぐっさん「自然農は捧げた行為に対するごほうびだと最近は思います.大事なのは行為を捧げること.来年は卒業生向けに畑を開放したいと個人的には思っています」
ゆうこさん「4年前はじめて自然農に出会って、今では生活の一部になっていることに感謝しています.ここで会ったことは何かの縁だと思いますので、同窓会とかでぜひ来てください.」
ごかさん「あるものを食べるという生活ですが、結構楽しい生活を静岡で送っています.
自然は厳しいですが優しいんだなとも思います.」
イッシーさん「自然は何をやっても許してくれます.また、健二さんが行っていることですが、所作、振る舞いにムダがないようにしないといけない、何をするにも横着しない、ものごとを丁寧にすることがとても大事.特に農業、自然農をやる場合でも重要.ぐっさんの種を蒔き方はとても丁寧です.」
竹内さん「必要なものは、必要なときに必要なだけ生じる、、その人にとって一番ベストのタイミングで何かが起こっていると思っています.そして、自然農というのは畑だけではなく、都会にいても自然の営みを感じて生きることは出来るのだと思います.」
駐車場で皆さまと握手して最後にシャロムを出る時、なんとも言えない寂しさを感じました.こんな充実した時間を過ごさせていただいて、本当にありがとうございました.
来年のビジョンで来年もぜひシャロムへ来たいという方がたくさんいました.
もし、ぐっさんの卒業生向けの畑が出来たら、ぜひそこでお会いしましょう!
篠宮
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