2010年あづみの自然農塾 9/11(土)
1日目レポート
安曇野は朝晩の気温も下がってきて、先月よりは過ごしやすくなってきました。
雨もなく気温も高くないちょうど良い日よりの中、9月のスタートです。
<1日目のメニュー>
・13:30〜受付
・14:00〜今回のスケジュール説明
・14:30〜冬菜、ニンニクの植え方について
・16:00〜各自の畑の時間
・17:00〜温泉Time
・18:00〜野菜バーベキュー
定刻通りに始まり、シャロムのテラスで今回の内容について説明がありました。
−竹内さんのお話−
・今回のスケジュールについて説明
・長鎌購入(注文者)と同講習会(刈り方・研ぎ方)の内容について
・「野菜だより」冊子紹介
・冬菜の蒔き方、特徴について
・物販案内
・種の紹介(大根、ホウレンソウなど葉物の説明)
説明終了後、畑に移動。いつもと方向が違うような…と思っていたら、昨夜熊が通った!という付近の他家の畑へ。
新聞記事等で市内に出没していると知っていましたが、改めてその足跡を見て驚きました。
いつもの畑に移動し、冬野菜の植え付けについて講義が始まったところでゲスト講師?が登場しました。
自然農法センターの大久保さんがシャロムにみえていて、竹内さんのオファーにより、大久保さんに特別講義を
していただくことになりました!
大久保さんの自己紹介です。(抜粋)
「有機は農薬と化学肥料と遺伝子組み換え作物を作らない(使わない)という定義のみで、やり方は自由です。
森林農法、自然農から、肥料を使う、微生物利用など千差万別です。各農法を全国的に調査してまとめる動きがあり、
その事務局を担当しています。普段は、土壌生物(ミミズなど)を研究し、どういった役割をしているのかなどを
調べています。耕すタイミングと回数、後、表面の土の処理によって土の中の生き物はほとんど決まってきます。
そういった生きものの力を使った農法を研究しています。」
続いて、質擬応答Timeが設けられました。皆さん、次々と質問していきます。
以下、質問&大久保さんの回答です。(抜粋)
Ⓠ理想の土になるまで、どのくらいかかりますか?
Ⓐいろいろありますが、少なくとも10年くらいかかります。そうなるには、最初は肥料を入れて、少なくして
いきます。 例えると、人工衛星を打ち上げて、大気圏突破して軌道に乗るとその後はエネルギー0でもずっと
周回します。衛星の周回エネルギーと引力とが等しくなるような系が畑にもあるのではないか、と考えています。
始めは肥料を入れてその後微生物の力を借りて作物を育てるといった方法は、寒い地方の方がやりやすい傾向が
あります。
Ⓠ初めから自然農にしたいので、何も肥料を入れないとどうなるでしょうか?
Ⓐ20年でも難しいかもしれません。土の状態にもよります。前の人が堆肥を入れてあって良い状態であればいける
場合もあります。
Ⓠミミズの種類はどのくらいありますか?
Ⓐ100〜120種類程あり、どれが有用かは特定出来ませんが、コンポストに利用するシマミミズが畑にいたら
要注意です。 堆肥の中にいるのは良いのですが、畑にいるのは未分解の有機物が多い(根に障害が出る、
土中の窒素量増大により虫が増加する)事を示すためです。
Ⓠ耕すタイミングや回数はどうしたら良いですか?
Ⓐ一番は順番に耕す。(場所をずらしていく)耕すタイミングをずらすことが一つ。春先は比較的大丈夫です。
卵が孵る前に耕すと良いような気がしています。後は、夏は成虫のため耕しても戻ってくるため大丈夫です。
幼虫やさなぎの時に耕してしまうといなくなってしまいます。
Ⓠ耕さない場合と耕す場合とで虫の種類の多さや出方に違いはありますか?
Ⓐ耕さないと全部出て来ますし、耕すと全部いなくなります。耕す所で多く出てくるというのはありません。
作物と関係なくて、耕して増える虫はありません。草や有機物がすみかであり食べ物であるので、耕されると
住めなくなってしまいます。
Ⓠ肥料を入れ込む深さはどのくらいですか?
Ⓐ手持ちのトラクターで耕運出来る範囲の10〜15p位で、20pでも大分深いです。
堆肥をスターターとして作物、緑肥、雑草などを作るとその根が伸びていくという2段階になります。
(地面から)下は作物の根で耕すものであって、そのスターターのものを人間が用意するという関係です。
堆肥の量は一概に言えません。場所によります。ベースの土壌によって異なりますが、植物性は相当入れても
良いです。牛糞でしたら、大量に入れた最初の年は虫にあげるつもりで作って下さい。後に「害虫」を食べる
虫が来ていい方向にいくこともあります。そういった作り方も虫の関係性を作る上では、重要だったりします。
−畑のスタート方法として人工衛星の打ち上げの例えが皆さんの印象に残ったようです。
大久保さんの特別講義後、竹内さんの講座が再開。今月は、冬菜の植え付けについてです。
<白菜の植え方>
由来
・チンゲン菜とカブを掛け合わせて作られたもの
・昭和30年台に日本に入って来た野菜、入ってきたのは明治だが定着したのは戦後といわれている
特徴
・外の葉が大きい程巻く(その葉をいかに育てるかが重要)
・初期に根が乾かないようにするため葉は巻こうとせずに広がる
・はじめはロゼット型に広がって(キャベツも同様)土台や基礎を作り、その下に根が出来る
・細い根を出してそれに対応した葉が出て、重なっていく(6枚目から重なり始める)
・1日、1枚半位葉を出してくる
・重なった葉が立ち上がって結球していく
栽培時の注意点
(植え付け)
白菜は太い根が入った方が逞しいが、害虫のことを考えて苗を用意する
葉が5〜6枚位になる前に植える(適時に苗を植える)
定植前に水をたっぷりあげておく
植える前に虫の有無を確認し、いれば取り除いておく
草を敷くことで周囲の草を抑え、白菜が土台を作る手助けをする
夜盗虫を防ぐには周りの草の上に米ぬかをまいておく
白菜の横にはネギを蒔かない(巻かなくなるため)
(水やり)
植えて5日〜1週間たって雨がなかったら水をあげる(夕立のように)
夕方なら葉に当てても良い
浸透するのを待ちながら数回に分ける
地下部に広がる根の容積分をポットに見立て、それを同じ位の量をあげる
あげすぎると腐るし、足りないと枯れる
種まき・苗植えの時も最小減の量にする
植え方・手順
@ 植え付ける地上部の草を刈る(植えるところ中心に大きめに刈り、根はそのままにしておく)
A 植え穴を掘る(ポットが入る位の大きさ)
B 穴だけに水をたっぷりと注ぐ(周りの土にかからないように)
C 苗をポットから抜きとり、穴に密着させ、濡れている土で埋める(有機物が入っていない土で)
D 苗の表面の土も覆うように植えて一体化させる(両手のひらでしっかり根元を抑える)
E 根元の周囲表面を草で覆う
<レタスの蒔き方>
特徴
・涼しい気温で発芽する(5〜15℃位が適温)、20℃あると発芽しない
・玉レタス以外のほうが作りやすい(白菜にも共通)
・レタスはキク科で、タンポポの仲間
・種についている綿毛では遠くまで飛ばない
・種は土をかけなくても発芽する(光があった方が良い)
・種も2種類以上混ぜても良い(今回は2種類蒔き)
植え方・手順
@ 蒔く予定地の草を刈る(地際まで、少し広めに刈る)
A 鍬等で表層の土を削るように両脇に除く(草の種が準備されているため)
B 根切り(鋸鎌で根を切る)
C 平らにならす(鍬等で水平にする)
D 種を均等に振り撒く(5o位の間隔)
E 表土を取り除いた土を上からかけていく(種が隠れる位)
F 上から鍬で鎮圧して種を土に密着させる(手でも可)
G 刈った草を上にかけておく
<ホウレン草の蒔き方>
特徴
・地中海の出身(石灰岩が多い所)
・多めに蒔く方が収穫しやすい(雄株からの種は芽が出ない)
・東洋の種は角張っていて突起から水を吸収する⇔西洋の種は丸い
・育てにくい野菜のひとつで、ある程度肥沃でアルカリ性の土地を好む→酸性だと養分が溶出する
・アルカリにする方法の1つとして薫炭(pH9位)を使用する→pHを調節し、土が柔らかくなる
・害虫に食べられない(鳥ではモズが好む)
・涼しくなってから種を蒔く(暑さに強い西洋ものもある)
植え方・手順
@ 根切りした後、薫炭を馴染ませておく(ここまでの手順はレタスと同じ)
A 表土を除いた後に、表面を平らにする
B 1p間隔位で、多めに蒔いていく(種は多い方がうまく育ちやすい)
C 土を丁寧にかけて、鍬で丁寧に抑えていく(手でも可)
D 足で踏んで密着させる
<ニンニクの植え方>
特徴
・ユリ根で単価が高い(1個から6片、日本以外の品種では12片もある)
・根が髭根のため、ネギのように1列に植えたほうがうまく育ちやすい
・6月にネギ坊主が出る前に引き抜く(取らないと下が小さくなる)
・小さくして冬を越す必要がある(大きいと体液が薄まる)
・年内に食べるのはこの時期に蒔く
・蒔き時に注意する(早すぎると冬越し出来ず、遅いと根が張れず霜で浮く)
植え方・手順
@ 植え溝を掘り、5p間隔(大きいものは12〜15p位)で1片ずつ置いていく
(この時同じような大きさのものを並べる。大きい順など)
A 同じ高さの土を上に被せる
B 植えた目印を立てておく
<野沢菜の蒔き方>
特徴
・非常に育てやすい野菜の一つ
・カブや大根のように育てた所より形が変わる
・草の上から種をまいていく(刈る前に蒔く)
・大概の野菜はこの時期、この方法でも栽培可(その土地に根ざした野菜であれば作りやすい:例外もある)
植え方・手順
@予定地に、草の上から種を振り蒔いていく(1度に決めようとせず、往復して平均して蒔いていく)
Aかなり丁寧に地際まで刈っていく
(今生えている草は夏草のためこれからの季節枯れるので、入れ替わる)
B一度きれいにしてから(種が着地してから)草を均一に敷いていく
説明後に皆で草を刈って敷いていきました。
この野沢菜は、12月の味噌作りの時にお土産になるとのこと。今から楽しみです。
講義後、各自の畑へ。前月から今月までまだ暑い日が多かった事もあり、草もかなり茂っています。
草刈りから始めようとしたところ、スケジュールの関係上ちょっと様子見位の時間内に、となりました。
皆さん、早速畑の様子を見たり収穫したり少しでもと草刈りしたり、と大忙しです。
各自の畑の時間後、恒例の温泉Time。いつもの温泉に乗り合わせで行きます。
シャロムに戻って、夕食はバーベキューです。
火起こしからスタート。始まって間もなく、ぐっさんお手製のエビ特製ソース付きが登場!
テーブルでは、野菜(キャベツ、茄子、胡瓜、人参など)の準備が進んでいきます。
新井さんが鹿肉とトマトの煮込みを用意する傍ら、前田さんの日本海の幸(ホタテ、サザエなど)が
次々と焼かれていきます。
本場仕込のイッシー特製お好み焼きに続き、竹内さんの焼きそば・お好み焼き。
とても美味しくいただきました。今回のバーベキューに使われた小麦は前々回収穫したものとのこと。
お好み焼きにはもったいない?シャロムオリジナル品種だそうです。
その後も盛り上がり、特に明日シャロムに出張講義予定の自然農法センター中川原課長の紹介を
しながらその口調もそっくりの竹内さんの話など、皆で楽しく過ごしました。
今夜も皆で片づけ後、安曇野の空は少し曇りがちでしたが星が見え、知らなかった星の位置を教わり感動…
1日目の夜が穏やかに過ぎていきました。
9月12日(日)自然農塾レポート 2日目(雨のち曇りのち晴れ)
かんかん照りで乾燥しきった大地を潤して、明日の野良仕事の準備をしてくれているかの
ように深夜から時折降っていた雨も、夜が明けて朝一番のひと降りを仕舞いに遠ざかり..
安曇野の大地に明るい空がしだいに広がって...二日目がスタートしました。
<本日のメニュー>
6:00起床
6:30〜7:30みんなの畑自習
8:00中川原課長の長鎌&自家採種講座(キュウリ・トマトなど)
10:30ブランチ
12:30田んぼの見学
13:30みんなの畑
15:00感想会
16:00解散
自然農塾も7回目。
暑くて暑くて、永遠に続くのではとさえ感じた夏も過ぎてしまえばもう、思い出に変わって行く・・秋。 このごろはシャロムで迎える朝にも馴染んで、畑仕事をしたり、ヨガでリラックスしたり、みんなそれぞれゆったりとしたひと時を過ごして...
気合充分で課長が来られる、らしいという竹内さん達の昨日からの楽しい前振り..
さあ、期待をしながらの講座がシャロムの玄関前で始まりました。
□
第1回 長鎌(立大鎌)講座 講師:(財)自然農法国際研究開発センター 中川原 課長
中川原課長は育種・採種の専門家です。
前々回のセンター見学会でたいへんお世話になりましたが、今回はオフにもかかわらず
シャロムまでお越し頂いての特別講座開催です。
見学会の中で紹介された「長鎌の優れた機能と効果」。 鎌を通して、農・自然に対する思いを独特のハスキーな声で熱く語られる課長の言葉に...
みんなの心が反応して是非使ってみたいとの希望者が多く、課長のご好意とご尽力により長鎌の斡旋までして頂き今回の企画が実現しました。
課長のお話と実技指導、そしてこの講座のために作って来られた資料を基に以下まとめてみました。○ 鎌による草刈りの意義
・鎌は便利な道具であると共に使うことによって自分自身が楽になることができます。
・自然農法、有機栽培農法では草はとても大事でいわば主役です。
草は虫の住み家であり土壌動物・微生物の餌にもなって、ひとつの生物の社会を構成しています。 ⇒ 社会が出来ると畑の環境が安定します。
草を剥ぎ取って人間の見た目にはきれいにすることは、生物の社会にとっては
住み難いものとなります。 ⇒ 害虫が発生したり、作物自身のストレスとなってしまいます。(緑が多いと安らぎ、いろんな物があった方がのびのびと育ちます=人間も同じ)
・よく切れる鎌で刈った草の切り口はシャープで次に伸びてくる葉や茎にとっても、とても優しいのです。
○
長鎌(立大鎌) について
◆ 仕様は、刃長31cm、柄長135cm、総重量720g = かなり大きいです。
◆ 特徴は、柄が長いから腰を曲げずに両手で持って立った姿勢で草刈りができて
疲れません。(2時間位は平気で続けられるそうです)
刃に角度をつけてあるので、鎌を振り下ろして草を斜めから容易に刈り倒すことができて、3反の畑の草刈りもこれ一つでOKだそうです。
◆使い方
@
持ち方と姿勢は、
鎌を右足の前に置き(右利きの場合)自然体で立って、柄を両手とも順手(鉄棒を上から手のひらを下にして握るようにして)で持ちます。
A
草刈りのフォームは、
・腰をねじり右後方に鎌を持ち上げ刃の重さを利用して振り下ろし、腰を左にひねりながら草を刈る瞬間に腹筋に力を入れて瞬発力で切ります。
・そのまま左腕をおもいっきり後方に引き、刈り払ったときの反動を利用して左腕を伸ばし右腕を曲げて腰をねじり右後方に鎌を持ち上げて、最初のポーズに戻ります。
☆
疲れずに長時間の作業を可能にするコツは、腕の力だけで刈るのではなく鎌の重さを利用しながら草を刈る瞬間だけ力を集中するようにして、鎌と体が一体になるような感じで体全体で一連の動作をスムーズにリズミカルに一定のスピードで繰り返すことですB
草を切る感覚をつかむ
・草を切る瞬間に手に伝わる感覚をつかむことが大事で、刃先を常に意識し刃先で草を捉える気持ちで鎌がぶれず弧を描くようにして、いっぺんにたくさん刈るのではなく、手前から少しずつ刈り残しがないようにする方が抵抗が少なく能率的なのです。
C 草の状態に応じて刈り方を変える
・春の草は柔らかく、秋の草は硬い。また朝夕の湿気のある時間は草も水分を含んで刈りやすいけれど日中の暑い時間は硬くて刈りにくい、という具合に状態に応じて、柔らかいときは大振りしても硬いときは脇を閉めてコンパクトに、と刈り方に変化をつけることも大切なのです。
D 常に切れ味を保つ
・砥いだばかりの刃はよく切れても次第に切れ味が悪くなり、切ったときの感覚が鈍ってきたらすぐ研ぐようにします。その時間は休息にもなって、目安としては15〜30分刈ったら砥ぐというような感じです。
E 鎌の手入れ
・刈り終わったら必ず研いで乾いた布で水気を拭き取ってから保管します。長期間使わないときは、錆びないように油をつけておきます。
大事に使えば5〜10年は充分に使えるそうです。
☆おまけ☆
・長鎌の柄に10cm間隔ぐらいに印を付けておくと、畝の間隔や苗を植えるときの幅決めなどに使えて便利だそうですよ!(鍬の柄でも出来そうですね!)
◆研ぎ方
・鎌が普及しない一番の原因は、使っているうちに切れなくなるということだそうです。
正しい研ぎ方をマスターして常に良く切れる状態で使っていると、少々刈り方が上手くなくてもサクサクと疲れずに作業が進みます。
・まず砥石です。天然の砥石もありますが一般には人造砥石を使い「荒砥石」「中砥石」「仕上げ砥石」の三種類があります。
・荒砥石は粒度が大きく荒くて、刃が欠けたときや修正用で、中砥石は荒砥石より粒度が細かくて研磨する力と磨く力を併せ持っています。 仕上げ砥石は中砥石で研いだ後でもまだ小さい傷があるのでこれをなくし、刃先により切れ味を出すために使用します。
@
人造砥石は吸水性があるので、研ぐ前に3分間以上水に浸しておきます。
A
鎌は鋼(はがね)と地金とよばれる軟鉄を鍛接(真っ赤に焼いた二つの材料を重ね金槌でたたいてくっ付ける)してあります。黒い所が地金、裏側の光っているほうが鋼です。鋼の部分が刃になって切れるのですが、硬く折れやすいので粘りのある地金の裏に薄く付けてあるのです。研ぐときは、表の地金の部分を荒砥石で15〜20度の角度に研いで常に刃先に1〜2mm程鋼を出すように研ぎます。
B
研ぐときは、柄が動かないように壁や箱などに斜めに立てかけ、角材などの上に鎌をしっかり固定し柄の元を左手で握ります。鎌は片刃になっているので、表をよく研ぎます。砥石を刃先線に対して約45度の角度であて斜め前方に、押すときに力を入れ引くときに力を緩めて刃元から刃先までまんべんなく研ぎます。
C
刃先に鋼を出すときは荒砥石を使った方が早いですが、荒砥石は刃の表面に細かい傷ができるので中砥石を使い同じ要領で仕上げます。より切れ味をよくするためには仕上砥石を使い同じ要領でツヤが出るまで研ぎます。
これを繰り返すと刃の裏側にカエリ(刃先を指で軽く触ると鎌の裏側に刃のめくれを感じる)が出ます。刃元から刃先まで平均してカエリが出ると、刃がついたことになります。カエリを取らないと切れ味が落ちるので、裏を軽く2〜3回研いでカエリを取ります。
刃を研いでいると粘土が溶けたような砥ぎ汁が出てきますが、これが大事で研磨剤のような作用をしてよりきれいに砥ぐことができるので、あまり頻繁に洗い流さない方がいいのです。
D
砥石面は中央部が磨り減りがちなので、中央部が高くなるような気持ちで刃先が砥 石面から外れない程度に、なるべく砥石幅いっぱい満遍なく使うようにします。
E
砥石の中央部が磨り減って変形してきたら平らなコンクリートやブロックの上で擦り合わせ平らにしてから使います。(砂を指先でひとつまみ置いて水をちょっと
注いでその上から擦り合わせると早くできます)
☆刃先はすごく鋭利で危険です!
課長曰く、「鎌を使っていると必ず手を切ります。ちょっとした油断で触れただけでも簡単に切れてしまいます。切って痛みを覚えて初めて注意するようになるものなのですが、切らないうちは危ないと思いながらついついやってしまうものです。もし切っても深く切らないように、取り扱いには細心の注意をしてください」とのこと。
笑いながら軽く話されましたが、怖いですね〜みなさん本当に気をつけましょうね。
◆
まとめ
まずは切れる刃に研げるようになることです。
そして鎌は日本刀と同じで、力を入れずに鎌の重みと瞬発力で切るものです。
技術をマスターするのは難しいですが、マスターすればこれほど楽な道具はありません。
ちなみに、課長はもう長鎌道の境地に達しておられるようで..
「これはもう剣術の修行と同じという位の気持ちで、決して農作業ではなく一種の武道でありスポーツである」 中河原課長のこの一言が印象的でし
□自家採種講座
引き続いて、この道のプロ直伝の自家採種講座です。
◆キュウリの採種
普通食べているのは花が咲いてから1週間から10日の若いキュウリです。
メロンみたいに熟してくるまでには約40日かかります。
ウリ類が採種できるのは32〜33日(早いもので)から50日と幅がありますが、大体40日で種が採れます。
☆キュウリは収穫された状態でも生きていて、熟すまで腐らさずに保存しておくと
お尻が膨らんできてしっかり種を作るそうです。びっくりですね!
@ 種は全体に入っているのではなくて膨らんでいる所に在るのです。
種を切らないよう皮の部分だけに周りから包丁を入れ二つに割ります。
写真のキュウリはまだ緑がかって、少し若かったようです。
A 種の部分を「わた」と一緒に指でしごいてボウルに取り出します。
この作業を業界(?)では「種しぼり」と呼んでいるそうです。
B そのままゴシゴシ洗っても良いですが、ビニールの袋などに入れて一晩置くと発酵して種の周りの「わた」が取れ易くなります。
C 一晩おいたものを網の袋などに入れ、水道水で流しながらゴシゴシ洗います。
D きれいになった種は乾燥させて保存します。
◆カボチャの採種
カボチャはキュウリやナスと違って、食べるときにはもう種ができています。
種は必ず、食べて美味しかったものから採るようにします。
一個で2〜300粒の種が採れます。
@ 料理をするときのように半分に切ります。
☆カボチャの周りに沿うように包丁を動かしながら、全体に少しずつ深く入るように
切っていくとそんなに力を入れずに簡単に切れます。
A スプーンを使ってわたと一緒に種をボウルに取り出します。
それを手でギュッギュッと握るようにして種とわたを分離し易くします。
B 次に網の袋(お店で売っている玉ねぎとかが入れてあるような網袋)に入れて、水道水で流しながらまな板(業界では洗濯板)の上でゴシゴシ、ゴシゴシ洗います。
C しばらくすると種とわたが分離してくるので、次にボウルに水を溜めてしごきます。
水を数回替えてわたを取り除きます。
D わたが取れて種だけになったら袋からボウルに取り出して水を入れます。
E カボチャは良い種が水に浮くのです。(ズッキーニは浮いた種が良いのか、沈む方なの かよく判らないのです:竹内さん余談)
浮いた種を網や手ですくいます。
F 選別した種をまた網の袋に入れ水を切って、風通しの良い所で天日で2〜4日間乾燥させます。
なるべく早く乾燥させるのがコツで、乾いてくると種どうしがくっ付くので途中で必ず手で揉んで、オブラートみたいな薄皮が出来て指でパチンと割れて二つに離れるようになったらOKです。
☆カボチャの種はカビ易いので乾燥はなるべく早く行うようにします。
G 採種した種をビニールなどの袋に入れ保存します。
袋には採種したカボチャの特徴などを書いておきます。
Tシャツ姿の胸に汗がにじむ中川原課長(脱ぐとすごいんですがお見せ出来ないのが残念です:竹内さん談)は長鎌講座から引き続きで少々お疲れの様子...ここで師匠から竹内さんにバトンタッチです。
◆トマトの採種
トマトもカボチャと同じように食べるときには種ができています。
が、追熟と言って収穫してから少しおいてからの方が種が充実します。(メロンなども同じです)
@ まず採種の前にトマトや使用するボウルをタオルなどで拭いて水気を取り除きます。(水が入ると後工程の発酵のとき芽が出たりカビる恐れがあります)
A 包丁で二つに切ります。
B スプーンの柄でキュウリと同じようにまわりのゼリーと一緒にボウルに取り出します。
(果肉と一緒に取り出すと種の色が変わってしまいます)
C ビニール袋または、きれいなびんに入れてゼリーが溶けて消えるまで2日〜1週間放置します。 ゼリーが溶けたときに初めて種が成熟するのです。
D ゼリーが溶けたのを確認したら、ボウルに移して水洗いをして浮いた種を取り除いていきます。 この工程を余り長くやっていると水を吸い込んでしまうので出来るだけ手早くします。
E きれいになったら網袋に移して水気を取って、風通しの良い所で乾燥します。
ブランチのあとは田んぼの見学です。
周りの田んぼはもう黄色く色づき始めていますが、自然農の稲たちはまだ青々として穂が出揃ったばかりです。
そして田んぼに降り立った私たちを唖然とさせたのは.. 今、花を咲かせんとする「ハッピー・ヒル」。 これが稲穂?!と誰もが眼を疑うほどの太っとい雄姿。
はち切れんばかりに分けつした株から..爆発だーーっ! 世界一の米、収量と言われているのも納得です。 是非、味わってみたいです。作ってみたいです。
それから畑に戻って、トマト・ピーマン・カボチャや青ナスetc.・・
収穫の喜びを味わい、雨で潤った畑に秋冬野菜の種を下ろし。
野良仕事の気持ちの良い汗を流し、感想会で裕子さん手作りのおいしいケーキをいただき、7回目の自然農塾が終わりました。
それぞれの思いと長鎌を胸に(..いつの間にか握り締めていた若干3名を含む)シャロムを後にしました。
レポート前田
|