安曇野自然農学習会 2006.6.18
日時 2006年6月18日(日)
講師 佐伯彰(さえき・あきら)竹内孝功(たけうち・あつのり)臼井健二(うすい・けんじ)
レポート こう・ぷみん
農的暮らし。自給自足。家庭菜園。それぞれの方がそれぞれの想いでやってきて、50名もの方が集りました。草や虫を敵としない自然農。たんなる農法ではなく、暮らしを身近にするためのメッセージが込められているのでしょうか。こんな生き方、暮らし方もあるんだ、してもいいんだ、となんだか安心できるものがありますね。
今回は、田植えをしました。耕していない田んぼにどのようにして田植えをするのか。
畑にて、トマト(夏野菜)の観察と誘引をしました。
シャロムヒュッテで今日の日程の打ち合わせ後、田んぼに向かいました。
カーシェアリングをして移動。空いている席を融通し合って楽しく相席。無駄なガソリンを使わないですし、道すがらでてくる話が不思議に縁あり楽しいですね。
田んぼの観察
(レンゲの種とり)
先月、あたり一面、桃色に覆いつくしたレンゲの花が枯れ、実を結んでいます。
ちょうど、冬草が枯れ、夏草に変わる時期です。
レンゲの種をみんなで採集した。枯れたレンゲのなかに黒い鞘があります。その鞘を手でもみほぐすとレンゲの種があらわれます。この種を、稲の収穫前、秋に播き、来年5月桃色の花があたり一面咲き、実を結ぶのです。
種をとることで、桃色のレンゲ畑が目に浮かぶのは素晴らしいですね。
種をとることで、種を播くことで、想像できる楽しみがふえましたね。
(田植え)
草を掻き分けながら、畑で苗を移植するように、丁寧に稲の苗を移植していきます。水が入っていないので、畑の作業と同じですね。枯れたレンゲが田んぼを覆い尽くし、敷き草になり他の草が生えていません。冬草のレンゲが枯れ、夏草である稲が育つ準備が上手い具合にできているのです。今回、見事に、自然の営み、草の移り変わりを観察することができました。
苗床には、ほとんど草もなく、苗がきれいに生えそろっています。2ヶ月前、苗床作りと種籾まきを丁寧にしたおかげですね。葉が5枚でている苗を植えていきます。農家では、苗の葉が2枚半でたのを目安に植えるところが多いようです。自然農の場合、小さい苗を数多く植えるのではなく、大きな苗を植え、分けつを促進します。奈良県の川口さんは、葉が5枚でた苗を1本ずつ分けて植えていきますが、気温の低い安曇野では、生育が遅いため2〜4本を1株にして植えていきます。自然農は、唯一の農法があるのではなく、その土地、気候にあわせることができる無理のない農であると感じます。
苗床に前々回播いたあきたこまち(うるち米)と プラグ米の
しらげもち(もち米)を、3畝の田んぼに植えました。
(田植えの手順)
@
苗の準備
A
植える場所の準備
B
苗を植える(竹串で植える方法、のこぎり鎌で植える方法)
@ 苗の準備
苗床から鍬を使って苗を剥がし、一株2〜3本の苗に分けます。
A 植える場所の準備
今回、株間30cm、条間40cmで田植えをします。
株と株の間を30cmとります。30cm間隔に結び目がある紐を田んぼの両端から直線上に張ります。この紐にそって植えると直線上に並びます。同じように、40cm離して(条間40cm)、間隔30cmで植えていきます。
のこぎり鎌の長さは35cmです。握りこぶしは10cm。よく使う道具、身体の手や足の長さを覚えておくと長さを図るときの目安になります。
B苗を植える
今回、苗を植える方法として、佐伯さんから竹串を使う方法、竹内さんからのこぎり鎌を使う方法を紹介していただきました。
(竹串を使う方法)
(1) 竹串で穴をあける。
長さ30pの竹串を使えば、30cm間隔の紐の結び目は必要ありません。結び目のない紐を両端から張り、紐に沿って、竹串を横にすることで、長さ30cmの間隔を簡単にとることができます。
(2) 苗を植える。
根が長く伸び上に出るので、根が外に出ないように下に入れます。深植えすると分けつが進みにくいので、水平の高さになるように植えます。苗床に植わっていた状態、そのままで植えるのが理想的です。畑での移植と同じように丁寧にします。
(のこぎり鎌を使う方法)
(1) 植える場所の草を刈り、どける。
(2) 植えるところにのこぎり鎌を差し込んで、穴をあける。
(3) 苗を差し込んで土をもどす。
去年の株が残っていたら、その横に植えてもいい。苗の茎の下が赤いのは、草の場合があるので注意。
(4) 苗の株元に草をかける。
「習ったことは忘れる。体験したことは思い出す。発見したことは腑に落ちる」
50人での田植え。こんなに大勢ですると楽しいですね。手を動かしながら、おしゃべりしながら、
楽しみながらの作業です。
自然農の田んぼは畑と同じく、耕しません。農家で見られる代掻き(しろかき=平らにする)をしていません。そのため、4メートル間隔に溝を掘り、田んぼ全体に水が行き渡るように工夫しています。
貯めた水が漏れないように、畔を塗って固めます。特に、自然農の畑では、耕さず、除草剤も使わないので、田んぼの中には多くのミミズや虫がいます。そのため、それを食べようとしてモグラが畔に穴を掘るので、畔塗りは大切な作業です。2日に分けて丁寧に仕上げます。
前回、畔塗りをしたときに播いた畔豆も芽をだし、すくすく育っています。
田植え後、入水しました。苗の株元が浸るほど水をはります。
田んぼで記念撮影です。
畑に戻ってくると雷が鳴り響いていました。
「雷が鳴ると、稲の育ちがよく、おいしい米ができる」と伝えられています。
昔の人は経験的に、雷が鳴るとおいしい米ができることを知っていたのです。
そこで、稲を夫に、雷をそのパートナーの妻に見立て、稲妻と呼んだそうです。
科学的には、雷が走ることで、空気中の窒素を分解し、窒素化合物を作物が効率良く吸収できるようになります。科学的に解明したことを、昔の人は経験的に知っていた。
昔の人の知恵から教えられること、気づかされることが多いです。興味深いですね。
(ジャガイモの観察)
(ニンジンの観察)
ニンジンの花が咲いています。もうすぐ種を結びます。その畑で採れた種を同じ畑で播くと、年々、育てるのが簡単になります。自家採種することで、その畑にあった種になっているのでしょうね。「自然農が広まっているなかで、自家採種することが脈々と受け継がれ、広がっているのはすばらしいですね」と竹内さん。
(トマトの観察)
トマトの枝葉が繁ってきたので、整枝しました。
今回は、一本仕立て。
(手順)
@
わき芽をかく。
A
茎を紐で結ぶ。
@わき芽をかく。
茎と枝の間から出ている新しい芽(わき芽)をすべてとります。
A 茎を紐で結ぶ
トマトの花が咲く(実を結ぶ)向きは、一方向。一番花を手前に向けることで、収穫しやすくなります。
紐は、花がとれないように8の字に結びます。こうすることで、大きな実をつけても大丈夫です。
「萎れているトマトは、感染している場合があるので、一度、触った場合には、他のトマトには触れない方がいいです」と竹内さん。
(キュウリの観察)
「キュウリは、実をつけやすい」と竹内さん。5節より下のわき芽をとり、キュウリ自身の草生を育てます。キュウリからすると、実を残し、子孫を残す役割を全うしすれば、実をつける必要がないのです。はやくから実をつけるキュウリは、わき芽をかくという手間をかけてあげることで、長い期間、実を結び収穫することができるのです。
草マルチ(敷き草)の下には、根が張っているのがうかがえます。キュウリは水を欲します。
キュウリの勢い、元気がないときは、こんなことを試しています。と、竹内さん。
@
花の実をとる(キュウリ自身の身体の負担を軽くする)。
A
水をやる。
B
最後に、肥料。
市販の種は、プロ農家用で、肥料で生育するように設計されています。
そういうことから、自分自身で種を播き、自家採種し、また種を播き、と繰り返すことで、自然農にあった、その土地にあった種に育っていくのです。
振り返りと自己紹介タイム
名前、どこから来たのか、今関心があること。
いつも感じるのは、ただこれだけで話が膨らんでいくのが面白いことです。
今、この時機に出会うのは縁があるからでしょうか。得るものが多いです。
追伸:畔塗り、田んぼの溝堀。その他、気がつかない点もろもろ。今回、楽しく作業ができたのも前もって準備をしていただいたスタッフの皆さまのおかげです。それにしても、スタッフの皆さんも、楽しみながら笑顔で作業ですね。農は楽しいものです.
6月30日
骨折して2週間ほど入院 すっかり畑が草に覆われてしまいました。キャベツもブロッコリーもだいぶ大きくなりました。
田んぼの様子です。
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