(稲の種籾まき)
稲の種籾まきをしました。まずは、種籾(たねもみ)の選別です。
今回は、水選(すいせん)という方法で、播く種籾を選びました。
手順は、
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バケツに水を入れる(貯めた雨水を利用すると塩素がないのでよりよい)。
B 種籾を水の中に入れる(水の下に沈む種籾と、上に浮く種籾があるのを発見できる。上に浮くのは、種の中身が入っていないものや充実していない軽いもの。播くのは、充実した実のある沈んだほうの種籾)。
C 上に浮いた種籾を捨てる(田んぼの苗代近くで、種籾を捨てると鳥が食べるので注意)
D 水の下に沈んだ種籾を取り出し、ザルにあげて水をきる(種を播く前日にすると良い)。
※農家では、塩水を使った塩水選(えんすいせん)で種籾を選別します。塩水の濃度は、生卵が浮くぐらい。水から塩水に変えることで、種籾が浮きやすくなるので、厳しい選別方法になります。同様の方法で、塩の代わりに泥を使った泥選水という方法もあります。
種籾の量は、自然農でする1本植えの場合には、1反(300坪)で6〜7合。
今回は、田んぼでの広さが3畝(90坪)なので2合を準備し、株間30cm×畝間40cmで一株ずつ植えます。
収穫した籾は、籾摺り(もみすり)をして玄米に、玄米を精米すると白米になってご飯になります。
(カーシェアリングをして、畑から少し離れた田んぼへ行きました。)
(シャロムの田んぼにて)
田んぼには、レンゲ、ナズナが生えています。ほかにも名前の知らない草がいっぱいです。
田んぼも畑と同じように草で、生命力で、満ちはじめようとしています。
農業経験のない私には、草のある田畑に見慣れているせいか、草があるほうが落ち着きます。
みなさんはどうでしょうか。
百姓が田畑に草を生やしたままにすると、怠農と呼ばれたそうです。
自然農を実践されている川口由一さんは、昔、福岡正信さんが書かれた『わら一本の革命』を読まれ感銘し、3年間、福岡式自然農法を実践されたそうです。それでも収穫にはいたらず、その後も試行錯誤されたようです。その際、川口さんにとって、稲の苗床づくりをおこなったことがその後のきっかけになったそうです。川口さんにとって、特に、稲の苗床つくりが原点だったのかもしれません。竹内さんは言われます。福岡さんは農法。川口さんは栽培。と。
今回、シャロムの田んぼの広さは3畝なので、苗床は1.2m×4mで十分とのことです。
通常、苗床づくりは、収穫後、10、11月の作業。安曇野では12月にします。
苗代には、陸苗代(おかなわしろ)、水苗代、折衷苗代(陸→水)があります(苗代とは、種籾から苗に生育させること)。なんで水をはるかというと、水は土に比べて急激な温度変化がないため、温度を一定に保つのに管理しやすい方法だからだそうです。また、水マルチ(マルチ:覆うこと)で草の生長を抑えることもできます。世界中に多くの農法があるけれども、水田ほど、何百年も土を疲弊せずにした農法はないそうです。
(苗床つくりの手順)
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鋸鎌、鍬で苗床にする部分の草を刈る。
A
表土を1センチ削り草の種をどける。
B
スコップで溝を掘る。溝は通路にする。深さは、あまり必要ない。段差があるのが大切。
モグラよけになる
C 鍬の背で土の表面を押しつけ、平らにする(鎮圧する)。
表土を平らにするのは発芽をそろえる効果があります。
D 種を播く。
種籾を1cmの間隔で播く。密になったところは手でまばらにしていく。
E土をかける。
表土をどけた草の種が混ざっていない土をかけます。覆土は、種籾の3倍くらいの厚さで均一にかけます。苗床の脇の表土をどけて、その下の土をかけました。湿った土をかけるのは、苗床下層の水分を含んでいる土となじませ、下層から水の吸収をよくするためでもあります。
この作業も、川口さんは、驚くほど丁寧にやられます。はじめが肝心なんですね。
種まきは、一人ですると一日作業ですが、みんなでするとあっという間ですね。
かける土は、草の種が落ちている表土を剥ぎ取った表土の下の部分の土。種籾の3倍くらいの厚さで均一に土をかける。また、湿った土をかけるのは、苗床の下層の湿った土とくっつけやすくし、下層からの水のとおりをよくするため。川口さんは、驚くほど丁寧にやられます。
F 鎮圧する。
鍬の背で押さえつけていき、平らにします。押さえつけることにより、覆土と下土(苗床)とがつながり、下層から水分が吸収しやすくなります。この上に稲わらをかけます。
G 藁をかける。
まず、3〜5センチメートルに切ったわらをかけます。その上に、米ぬかをふりかけます。
さらに、その上に、長いわらを敷きます。
このわらが保水して発芽を促します。発芽したら長いわらは曇りの日などに除きます。この時よく鳥に食べられますので糸を張るかパオパオなどで被覆します。
下の農具は、「押し切り」。稲わらを切る道具です。押し切りがない場合には、はさみで切ります。わらがない場合には、燻炭(くんたん:籾殻をいぶしたもの)を撒いてもいいです。あるものを利用します。
※この作業を秋にする場合には、土の上に米ぬかをまいて、稲わらを長いまま敷きます。
藁は分厚く敷きます。それにより藁の下は水分が保たれて発芽がよくなります。
最後に、田んぼで記念撮影です。みんないい笑顔ですね。
感想 同じ関心をもっている人と巡りあうのはおもしろいです。どこか共有できるものがあって、でも、それぞれ生き方、暮らし方が自分とは違っていたりして。これからの暮らし方を考えるなかで、実践するうえで、魅かれる話がどんどんでてきます。畑での立ち話。
シャロムに帰って交流会 コタツでゆっくりしながらのお話。
これからもよろしくお願いいたします。 こう・ぷみん
(畑苗代の作り方)
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できるだけ湿潤な場所を選ぶ。
A
丁寧に丁寧に表面の草を刈る。
B
表土を1cm削る。耕さなければ草の種が表土にあります。(草の種の発芽を防ぐため)
C
周りに溝をつくる。(水位を低くし、また、溝に水が溜まることにより、乾燥を防げるため)またモグラよけにもなる。
D
根切りをする。(根っこを切ってあげる)
E
上から叩いて整地。(条件が変わって生育が異ならないよう、なるべく凹凸がなく、平らにした方が平等に育つ)
F
種籾を均等に蒔く。(種籾を1cmの間隔で播く。密になったところは手でまばらにしていく)
G
草の種のない、掘った深いところの土を、種の2〜3倍の厚さに均等にかけてあげる。(種が動かないように気をつける)
H
上から土を押さえる。(下の土とつながり、自然の水で給水して発芽できるようにしてあげるため)
I
カットしたワラを上からまんべんなくかけて覆う。(乾燥を防ぐため)
J
周りの溝に草をつめ、乾燥を防ぐ。
K
米ぬかを表面に薄くまく。(表面の乾燥を防ぐためだが、まきすぎると発芽の邪魔をしてしまう)
L 保湿力を高めるために、厚くワラを敷き詰める。10センチくらい。
これで保湿力が高まり藁の下はしめって発芽には好条件となる。この藁は発芽してきたらはずす。
夕方か曇りの日がよい。このときに鳥害に注意する。糸を張ったり パオパオをかける等しないと雀が見事に食べてしまう
M 藁が風邪でとばされないように竹や棒を置いて完成。
今回はパオパオを上から被せてとめました。(光と水は通すが、風は通さない)
さて、特別に、前々から準備のしてある苗床作りの方法も教えていただきました。ワラの積んである下の土は、生物の多様性に富んだ豊かな土でした。藁の下にはミミズがおり土は団粒化が進んでいました。
基本的には前年からの準備のない苗代と作り方は同じです。今回の場所はとても湿潤で水が溜まりやすく、表面に草の種も根もないので、@〜Dの工程の必要がありません。
あとは同じです。必要のないことはやらない。土と会話して、必要なものを補ってあげる。ただし、必要のない無駄なことはする必要はない。おせっかいはしません。
自然農の考え方には、競争ではなく共生という理念があり、どの子も自立してそれぞれで育っていけるような援助が大切なんですね。みんなが平等に育っていけるように・・・とても優しい農法ですね。
苗代作りが終わった後は、前年の畝で野菜の種蒔き(苗作り)の仕方を教えていただきました。
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