2017年5月27日 パーマカルチャー塾第3回 1日目レポート
担当:山本亮
@近況報告 13:30~
1人3分で1ケ月での変化ややったことの報告。初めて野菜を育てた、苗をつくってきたのでシェアしたい、髪を切った、日々流されてしまうのをここに来て見つめ直したいなどの報告がある。
Aパーマカルチャー建築講義1 14:00~
環境建築家である山田先生からの座学。第1部はパーマカルチャー的建築の概要について。テーマは「関係性を育む住まいとまちづくり 住まい手×環境×コミュニティ」
<パーマカルチャー建築はこれだという明確な答えはない>
・パーマカルチャーは原理原則が大切で、それをそれぞれがどう生かすのか、表現はそれぞれでいい
・皆がパーマカルチャー建築と聞いてイメージするようなもの(ストローベイルハウス、ポットハウス、廃材利用など)だけではない。
<パーマカルチャー的に考える住まいのデザインとは?>
・伝統的な木の家に注目(素材は木と土と紙と石など)⇔パーマカルチャーは場所性を重視。
⇒その土地にある材料や伝統工法を使うことが理に適う。
<現代は社会の転換点。その中で建築がうみだす価値とは?>
・エコハウスなどもあるが、現代に創られるのは商業的なため、パーカル受講生には環境や社会に資する価値をつくる楔になってほしい
・かつての百姓的な生き方(入子構造)が、現在は核家族⇒個人へと細分化。その最たる例がワンルームマンション(暮らしの外注化×閉じた暮らし)。全てが悪いわけではないが、その結果無縁社会になっている。
・人口減少と超高齢化によって、既に建築は余っている
⇒約5000万世帯に対して6000万戸以上・・・新しく作る必要はない?
⇒どうせつくるのであれば、新しい価値のあるものを
<質、時間、コト、風土を大事にした時代へ>
・逆手にとって商売する人(エコハウス等)も出ている
⇒問題は『閉じていること』。1つ1つはまじめな技術だが、商売の出汁に使われてしまっていて、周りの環境との関係性は考えられておらず、解決策にはなっていない。
⇒高気密高断熱が基本。これ自体は悪くないが、行き過ぎるとダメ。建築の環境はこれだけではない。水、空気、すべてによくないと。
・パーマカルチャー建築は環境技術のパッケージではなく、多様な関係性をつなぐこと。『箱づくりから場づくりへ』
⇒住まいをハブにして、周囲の環境や文化、人、コトとの関係性や循環をつくる。
⇒技術は大事だが、その技術だけを見ていると問題になる。関係性や全体をみるマインドをもってほしい。
<ビルモリソンの絵をつかったパーカルの考え方>
・左の絵は、工業的に生み出される大量で安い卵。確かに安いがその裏側は?社会的インパクトの大きさ。
・右の絵は、パーマカルチャーで卵を得る姿。住んでいる人が満たされる数、にわとりが生きるために必要な環境やランドスケープ。方向性はホリスティック、統合性。
<全ての生き物は環境との応答で進化してきた>
・白アリの巣にベンチレーション機能があることから、世界各地のその土地にある材料を活かした建築の方法を紹介。
⇒その土地の気候風土や社会背景に沿って建っているから良い印象を与える。表面だけをかすめ取ってマネしてもダメ。
⇒全世界の人口の半分くらい、そうした暮らしをまだしている。
<建築の閉鎖系と開放系>
・閉鎖系:寒さが厳しい、中をしっかり守る。窓は小さい(ヨーロッパ)
・開放系:モンスーン(湿気、通風に配慮)、壁ではなく軸。窓をつくるのではなく、軸をたてれば窓が出来る(アジア)
<つながっている関係:気候風土、自然のめぐみとのやりとり)
・カヤブキとワラブキ・・・茅=ススキ、ヨシ・藁=稲わら。周囲の環境によって使う素材が異なる。
・伝統的な建築は周囲の環境(石、土、竹、来、たたき)をうまくとりいれていた
⇒カヤブキは防水、冷却、熱をにがす役割。断熱と言う意味ではこんなに厚くなくてもよい(中空のためそもそも断熱効果が高い)
⇒空気が一番断熱効果の高い素材。中に空気を保てるものが断熱によい。
・伝統的な建築は木を組んで構成している⇒外して再構築⇒使えなくなったら板に⇒熱エネルギーとして回収⇒ススを畑へと無駄がなく循環。数百年の物語となる(現代の建築の寿命は平均で30年。ゴミとなる。)
・縁側は働く場、保したり内職。コミュニケーションの場になる
・家と環境と生業の三位一体が必要
<環境を観察する>
・体感温度を決める要素:気温、湿度、気流、輻射(壁や屋根も熱を持っており、それぞれがそれに応じた何かを出している)
⇒輻射系の暖房装置(ペチカなど)は重要。直接、熱を排出するタイプの暖
房よりも部屋全体を暖められ、体感温度としても暖かく感じやすい。
・世界の都市のプリモグラフを見てみると、東京は冬は低気温、低湿度の一方で、夏は高気温、高多湿でジャカルタ並。
・昔の日本人は、本当は冬の寒さ対策も考えなければいけないのに夏のことだけを考えていたよう。(寒ければ着込めばいいから?)
⇒欄間は彫り物でオシャレにするのが目的ではなく通風装置。
⇒屋根を葺かくして日射を家に入れない構造。
⇒町家も空気の出入り口(土間、中庭)や通り道をつくっている。
⇒スカスカ。天井、縁の下(床下の生態系。現代はココを閉じてしまったか
らシロアリなども問題が発生)、簀戸、家の着替え。
・中世の頃は壁で閉鎖的にした家も見られた。
⇒冬対策よりも戦国時代で襲われるのを防ぐ意味合いが大きい
・伝統建築は素晴らしいが、冬は問題。現代では温熱環境をどのように整えるかが課題。
・環境を測る装置に、輻射温度計(5千〜1万円)、温度・湿度・照度・風速計(5千円程度)、アイフォンにつける表面温度計(3〜4万円)などがある。
<輻射の利用>
・人間も輻射熱(100wくらい)を出している。だから人が集まれば暖かい。
・土壁が熱を蓄え、夏はひんやり。夜に風をひきこむと壁が冷気をため込む。
⇒蓄熱性はあるが、断熱性はないため、外に断熱材をつける必要がある。
⇒断熱材の種類は、グラスウール・ロックウールが一般的。ただし、廃棄の問題や生産過程の大量消費の問題などもある。コストが許せば(前者の2倍程度)ウッドファイバーがオススメ。ただし、カビ・ダニ対策にホウ酸処理はしている。
⇒もみ殻断熱ももみ殻自体に断熱性があるわけではなく、ギュッとつめこんだ隙間の空気が断熱効果をもつ。
<現代の住宅産業>
・クレーム産業のため、いかにクレームの出ないようにするかに注力がおかれている。
⇒画一化できる工業製品に(すべてが悪いわけでなく、戦後復興など社会的、政治的な必要性はあった)
・早く、キレイに、安く、手に入りやすい商品経済に組み込まれた。
⇒その裏で、材の入手先(外国での違法伐採のものも日本に入ってきている)や、新建材(化学物質)によるシックハウスや化学物質過敏症、伝統建築と比較して短い家の寿命(30年平均)や壊したらゴミになる問題。こうしたコストを誰が払うのか?税金?住まい手?安いように見えて裏側のコストまで見る必要がある。
⇒家の価値は20年で0になる(産業政策)。平均寿命は30年だがちゃんとメンテナンスすれば50〜100年もつ。
・自然素材による家づくりは、手間と時間とエネルギーがかかる。そして住まい手の理解も足りない。木や漆喰が割れたらクレームをだす。
・近代の建築は、空調・冷房技術によって閉じた建築へ
⇒風土との応答性を切っていった。エコハウスと言えど閉じている。
・現代の家からは働く場がなくなり、与えられるだけの一方通行のものに。
⇒消費する家から働く家に。パーカル的生産する場
Bパーマカルチャー建築講義2 15:50~
環境建築家である山田先生からの座学。第2部は、山田先生が施工した実例を基にパーマカルチャー的建築を学ぶ。
1.環境×建築
・下屋根:板金で太陽熱集熱を行い、集めた熱を床下に引き込む。
庇の長さで日照をコントロール
・格子状の雨戸:風を通しながら防犯
・土壁:蓄熱と調湿性×外側にウッドファイバー100mmで断熱
・雨水利用(地面に1tのタンク)×カスケード利用(上から順にきれいなものを洗ったり利用できる仕組み)
・食べられる庭
・植物の輻射
・障子:断熱性がある。家から逃げていく熱の3〜4割は窓からであり、障子があることでその1割がカットできる。
2.隣人とも手を結ぶ(2DKG:Gはガーデン。コミュニテイツールとしての農)
・南側に菜園を設け、各部屋の出入り口もそちら側に設けることで、コミュニケーションを促進
・無垢材のフローリング:普通の賃貸ならありえない。だが、このような場所に住みたいという人は無垢材の価値を理解しやすい。実際、2〜3回転してフローリングに傷がついてもエイジングと価値を感じてもらっている。
・北側にはゴーヤ壁をつくり、夏にゴーヤ祭りを行い、地域の方とつながる。
・パブリックスペースを設けて住民同士、住民と地域の方の憩いの場に。掲示板を置き、ニュースや新聞に取り上げられた記事を掲載。
3.住まいの統合性(里山長屋:コモンハウス、コモンハウジング)
・各住居は小さくしてプライベートは確保しつつ、共有空間を充実。
・プロジェクトとしてワークショップ(竹炭づくり、土壁づくり、餅まき、竹あみなど)をしながら徐々につくりあげ、外とのつながりや関係性を持たせる
・家をつくって終わりではなく、どういう暮らしをしたいか?
・パッシブデザイン(自然の力を上手く引き込んだデザイン)
・断熱をしっかりしているので太陽の熱だけで昼は20度くらい。夜は15度で薪ストーブだけで対応できる
・食べられる庭:畑の手入れは各自で。
4.レストラン×環境技術のショールーム
・水の循環:コテージの排水⇒バイオジオフィルター⇒池⇒風車でくみ上げ⇒菜園⇒レストラン
・ペレットボイラー(スイス製):ペレットはヨーロッパの方が発達。ただし関税もあって高い。
5.まざる場づくり
・子ども、親、ご年配の方が混ざる空間づくり
⇒デイサービス×ママカフェ×パーマカルチャー菜園
6.ベトナム
・トレーニングカフェ:教育に恵まれない人を育て、ホテルに通用するような人財にする。
・水の循環:排水⇒浄化槽⇒ポンプアップ⇒2F池⇒バイオジオフィルター⇒空芯菜⇒キレイになった川へ
・浄化槽は手造り。濾材はヤクルトの空き容器を活用。
7.シェアキッチンOkatte
・料理教室、プロによる加工品づくりなどの貸室
・食に関する映画の上映会などのイベント
8.社員寮のようなところを自然素材でリノベーション
・食器、リネン類までオーガニックに。
・アジア初のBIOHOTEL認定を受ける。
9.神山公営住宅
・地元の若者とIT関係の移住者向けの公営住宅。
・コモンハウス。町の図書館のようなイメージ。
風景と住まい手と地元の資源がシームレスにつながっているのが理想
C
夕食(ポットラック) 18:30~
1人1品持ち寄り
D 宿題(日本のシステム観察)発表 20:00~
エネルギー、有機物、水のグループに分かれてそれぞれが調べてきたことをシェア。
<エネルギー>
@灯油:家庭で使えるようになるまで何工程もかかり、また膨大なエネルギーを使って運ばれてくる。また、灯油だけを精製しようとしてもできない。輸入した原油をさまざまな用途に使えるようにしていく中でできる。灯油ファンヒー ターからロケットストーブなどへの転換。
A地熱発電:掘ってみないと分からない⇒リスク、長期性や多くの候補地が温泉地のため地元調整が課題。東日本大震災後から注目を集める。
B原発:エネルギーロス(発電損失)が非常に大きい。実際の使用量よりも。立地が消費地から遠い。劣化ウランが必ずできるプルトニウムがアメリカにいき武器利用に繋がっている。原発はいらない。
C木質バイオマス:現在の発電量の7倍近くになるほどの発電所の建設が計画されている。一方で未活用材が足りるのか?森林破壊につながる可能性もある。
<有機物>
@フードロス:本来食べられるのに捨てているもの。年間642万t。企業と家庭がそれぞれ半分ずつ出している。江戸時代は循環。生ごみや肥溜めすらお金になった。出ていくものはゴミではなく、資源ととらえ、コンポスター堆肥づくり、コミュニティの再生(肥溜めの共有?)、食べきれない食の供給、出ていくものを減らす、量り売り、商店街利用などができるのでは?また、企業面で廃棄が多くなる理由に「1/3ルール」がある。流通面の中で賞味期限に応じた廃棄ルールがあり、日本は海外よりも厳しい。昔は賞味期限などなく、製造日しかなかった。
A種:F1種(大量生産のため人工的にかけあわされたもの)がほとんど。一方
で固定種(地域で代々種取をしてつくられている)は少ない。その背景に指定産地制度(北海道なら玉ねぎ、群馬ならレタスなど)や農協の出荷規格の2つが高度経済成長期にできたことがあげられる。外食産業や流通が安定供給、規格化を求める。自給ベースから経済ベースへと変換。種屋は1千件を切っていて、日本に採種農家が減っている。その理由に単価があがってないことが言われている。
B遺伝子組換:日本の食糧自給率は39%。その背景に食の欧米化、肉食化があげられる。家畜のエサはトウモロコシや大豆が主であり、その8割が遺伝子組替作物と言われる。また、加工品に入っている甘味料やコーンスターチ、醸造用アルコールなどのなかにも入っており、知らないうちに食べている。肉を食べる機会を減らしたり、非遺伝子組み換えの肉やジビエを選ぶ
Cお米:日本のお米300品種以上。デンプン質の違いによる。農家の高齢化によって今後輸入が増えることも考えられる。北杜市では人口5万人の消費量に対して2倍の量を生産。若い人も増えており、有機農法などに取り組む。販路を広げる必要がある。
<水>
・自然の大きな循環の中で人が一部の水を利用し、循環に戻している。
・地球は水の惑星。でも人が使える水は0.01%。世界的な人口増加によって取水量が増えている。現在はアジアで、次はアフリカと言われている。
・日本は雨が多い
⇒世界平均の2倍。水資源の7割を農業用水に使用。
⇒ただし、季節によってまばらであり、また、国土が狭くて急峻なため保水能力が低い。一見、豊富だが保ちにくい。
・日本は大量の水資源を世界から輸入している(バーチャルウォーター)
⇒日本の食糧の60%は海外から輸入。バーチャルウォーターとはそれを生産するのに使っている水の量のこと。例えば、1kgのトウモロコシには水1,800ℓが必要で、それを食べて育つ牛肉1kgには水が2万ℓ必要。日本は世界最大のバーチャルウォーターの輸入国。
・水戦争・・・ウォータービジネスがおこるといわれる
・水資源の外国人による買収・・・中国人といわれるが、中国人も騙されている被害者。確かに水資源を買いたいニーズはあり、日本の法律では外国人でも土地を買える。しかし、水の採取には県知事レベルの規制があるので、実際には利用できない(その土地から湧いているチョロチョロとした水のみ)。土地を売買することで儲けようとする人の企み。
<全体の発表を聞いて想いをシェア>
・こういった機会がないと調べなかった。初めて知ったことが他にもたくさんある。国産の野菜の方が外国産よりも安全かと思ったら日本は農薬大国で使用量がものすごい多い。
・知らなければ毒になる。自分が選択していかないといけない。
・大規模になると合理性が必要になる。ミニマムであること。
・狭い国土に人口がいすぎる。人口減少も悪い事だけではない。
・小さな共同体で目に見える関係性がいい。
・自分の目に見える範囲にしようとすると都会ではやれないことが多くて限界。
・テーマが違ってもほとんど同じところにたどり着いている。
・どのように他の人に伝えるか?主体的にならないといけない。
・システムに組み込まれているということを忘れがち。
<ミカさんより>
前回の宿題で自分たちの生活がいかに外に依存していることを知り、今回は自分の周りの世界を見てみた。思った以上に大規模なしくみ、つながりになっている。みんなの振り返りに大切なことは出て来ていたので、どう広めるかという点について。パーマカルチャーの原理原則はボトムアップ。私たちの様な人が自ら楽しく実践していくことが重要。
<けんじいより>
・右肩上がり、巨大化の時代からの転換
・thinkk
globally,act locallyが重要
・軽トラキャンパーで冬も十分に過ごせた。小さくすればオフグリットも可能。
⇒小さな暮らしはビッグなこと
・地球2.5個分の生活から1個分の生活へ。「足るを知る」
・自分たちでつくりだす持続可能な多様性のある暮らし。
・現代は一見、豊か(物質的な豊かさ)。でも生きづらい。自らが変化の兆しになると思ってほしい。
5月28日(日)
7:00〜 臼井さんによる農業実習
失敗から学ぶ自然農
・畑の土は耕さない
土は耕やすと硬くなる
草がただ生えている姿は一見畑として悪そうに思われるが、自然と調和した姿である。
・間引きについて
植物は支え合って生きている。間引きは仲を引き離す行為ということを覚えておくこと。
例えば冬にトマトの種を蒔くと、いくつもの芽がでて、その中で一番大きくしっかりとしたトマトを支えるように育つ。
農業とは植物の支え合いを奪り、人間の手をいれて生産性を上げようとすることである。
「植物は支え合っているからこそ私たちは本来昼寝しているだけでいいのだ。」
・風の草刈りについて
(矢野智徳さん提唱)
草を刈る時は上だけ(風が吹いた時草がしなったり折れたりする部分だけ)を刈る。
下まで刈ってしまうと根っこが元気になり、より雑草が増えてしまう。
また、まだ生えていない種に陽が当たり芽が出てしまう。
?なぜ、全て刈らないのか?
草が生えてると、虫の居場所を奪わないので育てたい野菜に害虫が来ない。
全て(草を)奪うことで、虫の居場所が無くなる。
臼井さん「お互いが奪い合う資本主義のような競争社会になってしまう。」
刈った草は、育てる野菜の根元に置くことで栄養分になる
畝をつくり雑草を無くし、整備することで生産性が上がると言われているが、それにはトラクター、それに付随する地下燃料(石油)がいるのだ。
果たしてトータルで生産性が高いのかは謎に思うところである。
・苗、種の各種植え付けについて
□里芋
1.掘る
土は横に置く (幅:このくらい) 2. 草をかける
(土はほとんどかけない)
□トマト(苗)
1 .添え木の前あたりに穴を掘る
2.穴の横と上を軽く押さえる(もちろん、草は必要なとこだけ刈るだけで良い)
3.掘って水を入れて植えてかるく押さえる
□棉(種) (今回はトマトの横に)
1.鉈で表土を削る
2.3粒〜5粒蒔く
3.土をかけてしっかり押さえ、草を被せる。
→種についている綿は保水の役割。
□ナス(苗)(棉の隣)
1.掘る
2.水 をいれる
3.土はどちらかに寄せ、草かける。土はあまりかけない。
□ピーナツ(種)
1.鉈で表面を削る
2.ピーナツ(3粒)を植えて土を軽くかけて押さえる
3.草をかける
「一粒は大地に 一粒は鳥に
一粒は自分に」
□きゅうり(種)
1.穴の位置:添え木の手前 を掘る
2.2粒〜3粒蒔く
3.土を被せ比較的強く土を抑える
→たくさん蒔く場合、2週間おきごとに蒔くことで発育時期がかわるので、11月くらいまで食べられる
□じゃがいもの間引きについて
大きなじゃがいもをとりたいときは
2本くらいを残すと良い。(大きい良い茎を残す)
※しっかりと残すジャガイモの茎を押さえて抜くこと!!
(芋ついている茎を抜いた場合、また植えたら再度生える)
「なにが正解なのか、は無い。
一度行い、失敗し、そこから学んだら良い。
自分で学ぶことが何より大事なのである。」
・種について
本来は苗ではなく種でいい。
種の方が強く育つ
種を採るのはとても手間がいる。(「3倍にしてかえすんだぞ!」)
・添え木に藁を結ぶ
さややキュウリなどは何かを掴んで成長するので、掴みやすいように藁を垂らしてあげる
→先端に水をつけてあげることで藁が折れずに結べる。
・添え木に一周させる紐(縄?)の結び方
ポイント:内側から巻いて外に向かう
・虫の大量発生について
イナゴなどの大量発生は自然界の剪定である。
何年かに一度発生し、木々の枝を食べるが、それで木は死なない。
むしろ強い枝だけ残り、バランスを保ちながら成長していく。
人間が剪定すると、強い枝も弱い枝も切ってしまうので、虫に食べられた後強い枝が残らず木が死んでしまう。
自然界に目を向けて学んで欲しい。
起こること全てが調和されているのである。
・講座生の質問、および臼井さんからの回答(臼井さんの禅問答タイム)
Q.植える時に種類を揃えることをしてないように思った。
植えの順に脈絡はなくても良いのですか?
A.スペースは考えながら(想像しながら)
ただし同じものばかり育てると翌年以外生産量が低くなる
コンパニオンプランツ(共栄作物)や森林農業ともいわれるが、
草(世で雑草と言われるもの)が全ての関係性をつくる。
考えすぎるとわからない ので、とにかく植えてあげる。そして失敗する
学ぶ。
失敗を重ねて学んでいく方がいい。
私が答えたことは間違えだと思ってほしい。
自分の感覚が大事。
Q.適当に植えると、良い影響や悪い影響を与え合っているのか、分からないのでは?
A.科で分けて植え、科で影響を見ていくこともある。
(ちなみに、パセリなどは虫が嫌いなので虫除けになる。)
分別を持つことがいいのか分からないが、分別があることで学ぶことがたくさんある。
また草から学べることがたくさんあるので、草を生かす
問題を生かす
失敗を問題と捉え、問題から学ぶ。
なにが良いのかというのは私(臼井さん)も分からない。
昔、武田信玄は「勝ちは50でいい」と言った。
100を目指して60とり、トータルは150になるように。
実践(失敗や問題)から学ぶことがとても大事なのだ。
知識は本から貰える。その知識を活かし、失敗し、学ぶ。
「野人農法というものがある。(強制農)
ばら撒け
残ったらそれが育つものだ、という農法。
色々な農法があり、各自が提唱しているが、その方法にこだわり過ぎなくて良いと思う。
こだわりすぎは苦しい。
自分がやりたいことをやればいいのだ。(そして失敗し、学ぶのだ。)
畑で通用しない事は人生で通用しない。逆も然り。
(人生で通用しないことは畑でも通用しない)
なんでも上手くしようとせず、丁寧に生きる」。
Q.クリムゾンクローバーは筋蒔きでOK?
A.筋蒔き
三角そう?
ばら撒けば30、40パーセントの芽がでる
米は100のうち99が余剰と言われている。
農業はある意味で自然破壊なのだ。(自然界の種だけの為に育てているのでは無いから)
9:05〜 少しの休憩を挟みいよいよ美香さんによる実習・・・
食べられる庭の始まり
〜パーマカルチャーガーデンづくり〜
「オシャレに作るんだぜ!手をかけまくって!」
(自然農とはうって変わって)
・観察
(まず呼吸を自分に戻し、深呼吸。そして庭にする場の観察がはじまった。)
・各自の感じたこと、気づいたこと(全員の名前をメモできずで申し訳ありません!)
以下、段落で人が変わります
美香さん 自分の重さで土が固くなる
はじめさん 上の木が見守ってるように感じた。
穏やか
虫が少ない。
梅の奥は影になっている。
段差が結構ある。
カノコ あの草の生えていない場所は、草は生えたいかな。草を生やしたいかな。
みかさん 背の高い草がいっぱい
足元は春の草が枯れてる
水分がすごいある土
風が心地よい
こういうとこでガーデン持ちたい
寝転がってみたが草の中が涼しい
朝倉さん 思った以上に柔らかい
ベッドにいいなあ
白石さん 鳥がすごい周りにいるなあ
たっちゃん
湿気が場所によってちがう
段差と木の陰に湿気がある。掘ったらキノコがあってびっくり。
割と湿気がある
草の倒れ方が場所で違う。獣道かな?
真ん中は牧草。土手と真ん中の草の種類が違う。土の硬さのせいかな?
美香さん
一つの土地でも違いがある。まず観察することがとても大事である。
(周囲の様子も含めて)
・メジャーリングを行う
BASE MAP(実寸)作ることがまずパーマカルチャーガーデンを作る上でとても大事!
・マップに入れるもの:広さ、キノコ、梅の木、穴、(段差の)高低差
・ポイント
・メジャーは弛ませない
・梅の木:今の高さではなく最終どこまで大きくなるかが必要
・高低差があるときは水平にして測る
・メジャーの終わりに人が立ち、目印となる。
・測る人、立つ人は途中で変えることのないように
→人によって測り方のクセがある為
↑美香さん
「ここからいきまーす」 「はい、ここ1人立って〜」
・三角測量でりんごの位置を測る
→測量地に位置を知るものがある場合は三角測量方ではかる(ズレがあまりない)
〜9:40 午前の部終了
午後の部 きーさんによる
東京でのパーマカルチャー庭の実践を紹介
・きーさんの庭について(昨年5月に越す)
□家の庭の過程
初めは雨が降ると水が溜まる庭だった。
耕す → 陶土と勲炭を混ぜる →菌(シャロムから)もらい混ぜ込む。藁(無農薬)も混ぜた。
□現在育っている植物
メロン
麦
レタス
ブロッコリー
春菊
そら豆
麦(緑肥用 麦に畑を耕してもらう)
…いろんなものを適当に植えている。根菜は買っているがそれ以外は家で収穫できる。
余ったものは庭にそのままにし、肥料にしている。
計:80種類
□肥料
使用していない
□庭のサイズ
25平米(ワンルームマンションの一室くらい)
□感想
苗を育てたい、と思ってタネから個別に苗を作ったが強くなかった。しかしこぼれたタネから畑にそのまま育った芽はとても強く育った。
育苗とはなんなのかと疑問を感じ、自然に任しとけば良い、と感じた。
…きーさんの庭の実際の写真をスライドショーで見せていただいた。
一年間での変わりようと、植物の育ちが素晴らしかった。
美香さんによる
パーマカルチャーガーデンのデザイン方法
・デザイン実習を始めるにあたり、講座生からの気になることや質問の共有
Q.高低差はデザインするのか?
Q.全く手をつけていない硬い土地で性質もわからない←どこから手をつけるべきか?
・土を増やしたい
Q.耕作放棄地で荒れて外来種がたくさんいる。
とっぱらうのか共生させるのかどちらが良いのか。
Q.砂利で埋め立てられている。砂利の上で植物を植えられるのか?それとも土を引くのか。
美香さん
「何事においてもだが初めから完璧はあり得ない。
大事なのは観察。
私たちが手にいれられる土地というのは耕作放棄地が多いので、以前の大地がどのようであったかを知りにくい。
私は今の家の庭の草を地形を知るため刈った。
一年は庭の観察に努めようと思っている。(でもタケノコ生えて食べたい…)
観察は、していけばいくほど次に生かせる。けんじいも言っていたが、失敗をマイナスに捉えるのではなく次に生かす。それにより、プラスなクリエイティブができる。
また庭を作りにあたり、土地と自分の接点を考えることがとても大事。
『自分がこの庭をどうしたいのか』
それをはっきりと知る。」
・パーマカルチャーガーデンの基本
パーマカルチャーの原理から(倫理)から外れないことに留意しながら庭をつくる。(自由にではない)
1.サイトアセスメント(土地の把握)
「地球が一番のクライアント。
土地を自分に近づけるのではなく(それは循環型ではない)土地がどうなりたいかを観察する。」
1.測量での把握
2.土地の把握
3.データの把握
4.セクター(Sector)の把握
…とは
デザインしたい土地に何がどんな方向から来ているのかを把握すること
・太陽の動き方 日照時間
・季節風の動き
・火災、洪水等の方行
・獣害(動物の来る方向)
・公害等の向き
・人の流れ
・水の流れ(水にたまり具合)
・眺望が良い(外と内の関係性 流れてくるもの)
セクターを把握することで、事象に対する対応を把握できる。
例えば他の畑が使用する農薬の来る向きを知ることで、来る方向に高い植物を育ててバリアを作る、など。
5.微気象の把握
地表面から地上1.5mくらいまでの地表面の状態によって,著しい影響を受ける気層内の気象。
6.ゾーンの把握(使用頻度の把握)
・ゾーン0 自分の場所
・ゾーン1 1日一回訪問…など
・ゾーン2 3日に1回
・ゾーン3 1週間に1回
・ゾーン4 一ヶ月に一度
・ゾーン5 ほとんど訪れない
ゾーンに分けることで植えるものをデザインしやすくする
ゾーンが分かれているからデザインするときにまとめてみる…など
7.地力の把握
土質(激しいものが生えていたら刺々しい土地かも)
水はけが悪い、産業廃棄物が埋まっている…等
8.資源の把握
手にある、または手にはいる人や資材について。
ニワトリ小屋の機能の分析リスト例
□小屋作成にあたっての必要物
にわとり、網、資材、敷くもの(藁)、餌、水、虫、風通り、太陽光…etc
小屋から出てくる物:肉、卵、鶏糞、ひよこ、羽、熱、鳴き声、癒し
□利用頻度
・1日に一回は行く必要がある→家の近くが良い→が、匂いや鳴き声を考えた場所(近すぎないか、風向きは…など)
・鶏糞ができるから菜園の近く
□機能
熱ができるからホットハウス…日が当たるところにニワトリ小屋
2.クライアントビジョン
土地の観察に続き人の観察(クライアントの希望はなにか根っこの部分を探っていく)
…家族構成、希望構成予想、経済活動等
そしてビジョンステイトメント(コンセプト)ゴールの設定を行う。
3.コンセプトデザイン
ビジョンステイトメントに合うように必要な物、機能、活動をリストにしていく。
サイト(庭にする土地)が必要としていることをしてあげる。
・機能の分析のリスト化(そこをどのように使うか)
機能分析とは
※コンセプトデザインを行う際は、材料を限定しない。機能としてリストアップする。
4.ワーキングデザイン
・ゾーンを集約的に決め、機能を設定する。
(水の流れ、どこに何を植えるか等)
・長期的な計画(長期と短期の目標等を考えていく)
美香さんのインドでの経験をスライドショーで見せていただき具体的実践例を学ぶ。
そして
シャロムの食べられる庭を作ろう!へ の道
13:00〜
・サイトアセスメントの実践
→グループに分かれ、サイトアセスメントを行い、そこから可能性とチャレンジ面を考察し発表
グループ分け:庭チーム、シャロムチーム、畑チーム、情報チーム
※内容については添付のPDF参照
・クライアントビジョンの実践
→臼井さんへのインタビュー
「どんな庭をつくりたいのですか?」
・食べられる庭
・こんな庭もあると知らせられる庭
・植物の多様性が豊かな庭(高低、種類が薬草食用など豊富)
・平面的な畑とは違う
・日陰もあり、生き物も住む
(バイオダイナミック農法※も含めながら)そこにいるだけで心地よい庭
・幸せになれるエデンの園、ピースガーデンを作りたい
・ある意味で表現の庭
・食べられる庭を作っていきたい
・楽しめる庭
・〇〇農法ではなく(こだわらない)ピースフルな農法
・重層性
・持続可能
・パーマカルチャーガーデンのモデル園としての機能ももたせたい
ロックスパイラルガーデンを作ることでキーホールガーデンの説明もできるようになる
なぜなら語られていることを表現することでより具体的に説明できる。言葉を可視化したい。
・チキントラクター(小規模がいい)がある庭
・「真善美 所作振る舞いに無駄がない 美しさを追求した庭」
・講座生からのインタビュー
Q.誰に楽しんでもらいたい?
A.ここに訪れる人に楽しんでもらいたい
Q.予算は?
A.この辺の資源を生かして作る。
あるものを上手く生かす。
瓦もウッドチップもただでできる
(金額の提示は無し)
Q.採れたものはどうする?
A.レストランやわかちあいマルシェなどで
・次回への宿題(絵+ビジョンステイトメントをはっきりさせること)について
宿題内容
・サイトのもっている機能活動、ケンさんの持っているビジョンの機能、活動(木の移植(りんご・もも・クヌギなど))…を挙げ、イメージ図を作成する。
・イメージを膨らませて、固めてどんな庭を作るのか「青写真」を作る。
※庭にする土地のスペースで考えること
・みんなで書いたサイトアセスメントを参考にする。
サイトアセスメントやこの宿題(イメージ図や機能のリスト化)の意義
・書いたものがこれから庭をつくりあげて行く中で羅針盤になる
・どうしても作っていると忘れがちになることがあるが、(何事にもおいて)理念がなくなると発展しなくなる。そして物事の本質を失いやすい。そうなることのないように。
・5月の講義のシェアを終え美香さんによる
総括
「最後のシェアでみんながみんな地震で包括ができたと感じる。
一人ひとり、ポイントをおさえつつ、観点が異なる。
その多様性が素晴らしい。
集団ではなく個人に力を取り戻させることができる。
みんなの美しさやビジョンが溢れ出ていること、これからも出て行くことが素晴らしいと思う。
けんじいが何度も言ったようにTRY
AND ERRORを繰り返して学んでいきましょう。
自分のワクワクを信じて前に進んでいければ、素晴らしい未来があるんではないでしょうか」
□自身のシェアの書き起こし(追記あり)とレポートを終えて
今回、臼井さんことけんじいが、「真善美 所作振る舞いに無駄が無い」「美しい」「美しく無い」と美しさについて言及していたことがとても素敵だと感じました。ここ何年かの私の生きていきたい在り方の理想が、「真善美 所作振る舞いに無駄が無い」だからか、アンテナがそこに対してキャッチしやすかったのだと思います。美しいことを求めることは、二番手に捉えられがちですが、そうではなく。一番でも二番でもなく。行いに(所作に)一緒に必ずついてくるものなのでは無いでしょうか。それを追求していくことがまた、パーマカルチャーの理解に繋がっていくのだと思いました。
美しさを求めることは、求めないことと比較して時間がかかります。
時間がかかれば美しいとは一概には言えませんが、時間がかかり丹精込められたものは美しいし、美しいものは永いこと世界に残っています。
美しさを求めないから、大量生産と大量消費ができるのではないでしょうか。
美しいものは大事にしたいし、人がなにかを大事にしている姿はとても美しいと思います。
子どもに、美しいもの感じさせてあげたいと思います。そして美しいものを多感に感じられる生き方をしてほしいと思います。
今回もたくさんの学びを、ありがとうございました。
ササモリ カノコ
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