もみ殻を燃やしてご飯を炊く器具「ぬかくど」への注目が、安曇野市で高まっている。昔ながらの農村生活を伝える道具としてイベントなどで好評。15日開かれた「安曇野ブランド発見ウオーク」でも、発着点の豊科南部総合公園でご飯を炊き、参加者約50人がおにぎりを味わった。安曇野市日赤奉仕団も、災害時の炊き出し用に購入を検討している。
ぬかくどは円柱形のストーブのような形。上部に炊飯釜を置き、下部にもみ殻を注ぎ入れて燃やす。米どころの安曇野ではもみ殻が豊富なため、ガスや電気の炊飯器が普及する前は多くの家庭にあったという。
現在は、ほとんど姿を消したが、あづみ農協(本所・安曇野市)が開いている「生き活(い)き塾」の参加者らが「ご飯がおいしく炊ける」と再評価。6月、同塾の会合の際にご飯を炊いたところ好評で、その後も東京都内の大学祭や同市内の食をテーマにしたイベントで実演している。
「発見ウオーク」を主催した市民や事業者の「安曇野ブランドデザイン会議」も「安曇野らしい暮らし方が体験できる」と評価。この日は、農業用水・拾ケ堰(じっかせぎ)沿いの約8キロを歩いて田園景観を楽しんだ後、おにぎりを食べた。同市明南小5年の内川恭典君(11)=明科七貴=は「ふっくらしておいしい」と喜んでいた。
市日赤奉仕団は現在、20台程度のぬかくどの購入を検討中。ガス炊飯器と比較しても、炊飯にかかる時間は同程度という。同奉仕団の等々力秀和委員長は「もみ殻は無料で大量にあり、軽くて扱いやすい。災害時にも有効で、しかもおいしく炊ける」と話していた。
(提供:信濃毎日新聞)