舎爐夢(しゃろむ)ヒュッテは閉鎖して
安曇野の池田町にて新たな展開をしています。


シャンテクティ

http://www.ultraman.gr.jp/shantikuthi/
 

〒399-8602長野県北安曇郡池田町会染552-1
TEL&FAX 0261-62-0638

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舎爐夢(シャロム)ヒュッテ
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明7958
TEL FAX 0263-83-3838

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(タイトル)
玄米・自然食で元気になれる
安曇野の隠れ宿へ

(肩ロゴ)
GEN-MAI no TABI


(リード)
豊かな自然と田園風景が広がる、信州・安曇野で
自然と調和し、シンプルな自給自足の暮らしを
実践する宿を訪ねました。
そこで食べる、自然農の畑の恵みは
ココロとカラダに充実したエネルギーを分けてくれました。


(クレジット)
写真=蟹由香 Photos: Yuka Kani

(キャプ)
取材協力=舎爐夢(シャロム)ヒュッテ
住所:長野県南安曇郡穂高町豊里 ●0263-83-3838 http://www.ultraman.gr.jp//shalom/ 
料金:大人一人1泊夕朝食つき¥9,000


(本文)
 中央自動車道・豊科インターチェンジから20分ほど、小さな看板を頼りに落葉松林のガタガタ道を分け入ると、ヨーロッパの山岳リゾートを思わせる建物が、ふいに木立ちの間に姿を現します。ここが今回の旅の目的地、玄米と自然食が味わえる宿、『舎爐夢(シャロム)ヒュッテ』です。
 宿の眼前には、北アルプスの山々に抱かれた、豊かな緑と清流が織りなす安曇野の田園風景が広がり、大きく深呼吸をすれば、カラダの中を透明な空気が満たしてくれるようです。
 舎爐夢ヒュッテは、オーナーの臼井健二さんが「自然と調和した自給自足の生活」を目指し、今から24年前にオープンしました。仲間とともに木の切り出しから、壁塗り、配管、家具の製作に至るまでを自分達の手で行い、3年の月日を費やして完成した手作りの宿です。室内は、木肌と漆喰の壁のぬくもりある表情が、穏やかな空気を漂わせ、どこか懐かしいような落ち着いた気分にさせてくれます。
 現在は宿泊施設の他、天然素材を使った衣料品やフェアトレードの雑貨、環境、食、エコロジーなどに関する書籍が購入できる雑貨店、地元の安全な食材を扱う自然食品の店、オーガニック・レストランなどが併設し、それぞれが有機的に結びついて、一つのコミュニティを形作っています。さらには、自然農学習会、シュタイナー学習会、ヨガ、ホメオパシーなどのワークショップも実施。「自然や環境に負担をかけずに共生していく、持続可能な暮らし」というコンセプトを、多面的に無理のない形で実践、発信しています。
 そんな舎爐夢ヒュッテの食事には、「自分の住む土地で採れる旬の食材を、あるがままの姿で丸ごと食べる」という、マクロビオティックの考え方が、その基本にあるそうです。食卓には、宿のすぐ前に広がる畑で収穫される自家栽培の野菜が並びます。きのこや海草類などを除く、ほとんどの食材が自給自足でまかなわれ、リクエストをすれば、アレルギー除去食にも対応してくれます。
 夕食は、完全無農薬の玄米を主食に、スープからデザートまで穀類菜食のフルコース。玄米・自然食と聞くと、精進料理のような少々ストイックな食事を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、こちらのオリジナル・レシピは、そんなイメージをいい意味で裏切ってくれるものばかりです。
 取材班がここを訪れた時の夕食のメニューは、トマトの優しい風味が味わえる野菜たっぷりの“ミネストローネ”、しゃきしゃきの食感が楽しい“トウモロコシのサラダ”、裏ごししたカボチャをふんだんに使った“もちきび団子入り夏野菜のグラタン”、メインディッシュは、香ばしい豆の香りともっちりとした食べ応えがクセになる“もちあわとひよこ豆のバーグ”、そしてデザートに“サツマイモのムース”と玄米コーヒー。
 彩り豊かなメニューの数々は、目にも楽しく、思わず食欲が刺激されます。どの料理も最小限の調味料を使い、素材のよさを最大限に生かすシンプルな味つけ。旬の野菜は、大地の滋味をいっぱいに含み、噛み締めるほどに、自然の甘みが口中に広がります。
 朝食は、とりたての野菜料理と薪の石窯で焼いたカンパーニュを、好きなだけ取って食べることが出きるビュッフェ・スタイル。室内ではなく、木漏れ日の差すテラスやバルコニーなど好きな場所で食べられるのもうれしい配慮です。そのために、朝食の時間には宿のあちこちにトースターが置かれ、ゲストは思い思いの場所で香ばしいパンの香りを漂わせています。朝の森のすがすがしい空気を感じながら、1日の始まりを迎えるのは、この上なく心地よい気分にさせてくれます。朝食に出される“パン・ド・カンパーニュ”は、自家製の天然酵母と国内産全粒粉を使い、敷地内にある石釜で焼き上げるオーナー自慢の逸品。天然酵母は干しぶどうから取り出し、砂糖や卵、油はいっさい使わずに作られています。 “玄米お粥パン”は、料理で余ったキャベツの芯や大根のしっぽ、だしを取った後の昆布などのくず野菜を玄米のお粥と一緒に炊いて、小麦粉と干しブドウを混ぜ込んで焼いたもの。ゴミを出さず、環境に優しいのはもちろんですが、何より自然のほのかな甘みが感じられるその味が、とてもおいしい。環境や、健康を優先するだけでは食事の楽しみは半減してしまいますが、まず、“おいしく食べる”という食の基本的な喜びが、存分に満たされています。これは舎爐夢ヒュッテの、どの食事にも共通して当てはまることです。
 畑では、無農薬有機農業と、“耕さず、無農薬、無肥料、草も虫も敵としない”という自然農法、パーマカルチャーガーデンが実践されています。毎朝6時に畑に出る臼井さんと同行して、見学をすることもできます。
「ここで採れたものを食卓にのせ、残飯はまた畑に放って土に返してあげる。土が肥えているから、何もしなくても、ちゃんと芽が出て実ができるんです」
「冬は体を温める野菜、夏は冷やす野菜が採れるんだから、自然は実にうまくできているんですね」
 そんな風に臼井さんから畑や農法についての解説を聞きながら、のびのびと育つ野菜を実際に目にすることは、普段きれいにパックされた野菜を見慣れている都会人には、新鮮な驚きと感動をもたらしてくれます。
 また、そうやって畑に実る野菜が調理され食卓にのるのを見る時、何からできているかわからないような食べ物に囲まれている都会暮らしの中では、“食べるものがエネルギーになり、数時間後にはダイレクトにカラダの一部になる”という当たり前のことに、いかに疎くなっていたか、ということに気づかされます。
 舎爐夢ヒュッテの食卓は、訪れる人に“食事をする”ということの本来の意味と喜びを思い出させてくれるでしょう。
自然の中でおいしく食べて、元気になる、そんな旅をしてみませんか。

(中見出し1)
土地で採れる旬の食材を
あるがままの姿で丸ごと食べる

(中見出し2)
「冬はカラダを温めるもの、夏は冷やすものが採れる。実にうまくできているんですね」

(キャプ)
右上:落葉松林を背に建つ舎爐夢ヒュッテ。シングル・ユース、ファミリー向けなど、いくつかのタイプの部屋が用意されていて、20名ほど収容できます 左上:オーナーの臼井健二さん。自然と共生するシンプルな生活を送ることを楽しみながら実践しています。臼井さんの人柄にひかれて、ここを何度も訪れる人も多いようです 下右:数千冊の蔵書がある図書スペース兼ラウンジには、趣きのある暖炉が設えられていました 下左:クラフト感あふれる室内。ベッド・カバーや照明も手作りです

(キャプ)
畑には、夏野菜が生き生きと実りをつけていました。写真はオクラ。
しなやかで力強い造形に自然の生命力を感じます

(キャプ)
1:宿の裏手では、収穫した麦の穂が風に揺れていました 2:臼井さんに畑を案内してもらっている途中で、ニンジンの種を見せてもらいました。「こうやって全部を採り切ってしまわないようにすれば、自然に種が落ちて、また新しい芽を出すんですよ」 3:畑の向こうには、北アルプスの山影が望めます。空の美しさも印象的でした 4:若いスタッフが、トウモロコシ畑で朝の収穫をしていました。その日のゲストの人数に合わせて、食べる分だけを採ります。彼女のように、自給自足の農的暮らしに関心を持ち、スタッフとして数週間〜数カ月間ここで働くことを希望する人も多いそうです 5:パーマカルチャーの手法の一つ、ティピ・ガーデン。ビルモリスンの提唱したパーマカルチャー「持続可能 多様性 調和」デザイン体系ですが、理屈を知らずとも、視覚的にもおもしろいものです 6:チキントラクター 草を食べ、排泄することで土が自然に耕される…ニワトリもそんな循環の一部を担っています 7:すがすがしい空気を味わいに、林の中を散策することもおすすめ 8:鮮やかな手つきでピザ作りをするスタッフ 9:畑の見学へは長靴を借りて。朝露に濡れる畑で、柔らかい土の感触を足の裏に感じることも、とても心地よいものです

(キャプ)
1:ランチ・タイムにカフェで食べられる、本格的なナポリ風のピッツァは絶品。バジルやトマト・ソースも畑の恵みです。敷地内にある薪の石窯で焼きます 2:天然酵母の自家製パン・ド・カンパーニュは、お土産にも(¥500)。素朴な味わいに和みます 3:洋風家庭料理のフル・コースが味わえる夕ご飯。美しい盛りつけにも心が弾みます。レシピは、オーナーの奥様のオリジナル。ここで食事をして、「なんとなく地味なものだと思っていた玄米・自然食のイメージが変わった」というゲストも少なくないのだそうです

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